「昔の思い出 (6)音痴製造法」に書いたように、小学校の学芸会で口パクを命じられた。今回はその後のことも含めて書いてみた。
小学校の学芸会の合唱の練習しているとき、先生が、皆を止めて言った。
「誰か違う人がいる。冷水君、ちょっと歌ってみて。・・・・・・やっぱりそうね。あなた、学芸会のときは、口だけあけて声出しちゃだめよ!」
学芸会の当日、一番前の列の私は先生の言いつけを守り、声を出さなかった。ただし、口は真一文字にむすんだままで。
学芸会後、先生から「なんで口を開かなかったの!あなたって本当にいやな子ね!」とえらく怒られた。自分でも確かに、いやな子だと思ったが、評判の美人で、そして子供心に好きだった先生に嫌らわれて、へこんだ。
こうしてトラウマを抱えた音痴が完成した。
以来、親の遺言だからとか言って、頑強に人前で歌うことを拒否していたが、どうやら人前で歌えるようになったのは、大学に入ってからだ。施設で、大きな木を切り倒したり、コンクリートの崖を作ったり、小屋を建てたりするボランティアを何年が続けた。
夏休みの暑い盛りの重労働は汗をガンガンかいて気持ちよいものだが、日陰に入って2時間ごとの休憩が必須となる。冷たい麦茶など飲みながらボーとしていると、必ず歌の好きな仲間が外国の歌など歌い出す。私も、爽快な肉体疲労の中で、歌うことへの変なこだわりが消えて、最初は小声で、そのうちみんなに負けず力いっぱい歌っていた。
こうして、トラウマからは解消されたが、本来の音痴はときどき顔を出す。歌っている最中に何か少し違うかも知れないなと思った瞬間、自信が無くなる。声帯が硬くなり、明かに違うと思った瞬間、メチャクチャになりそうになる。ここが踏ん張りどころとばかり、丹田(たんでん)に力を入れて、かまわず歌い続ける。
音楽は音を楽しむもの。多少の違いは編曲の才能と思って、ともかく大きな声で歌を楽しむことにしている。
小学校の学芸会の合唱の練習しているとき、先生が、皆を止めて言った。
「誰か違う人がいる。冷水君、ちょっと歌ってみて。・・・・・・やっぱりそうね。あなた、学芸会のときは、口だけあけて声出しちゃだめよ!」
学芸会の当日、一番前の列の私は先生の言いつけを守り、声を出さなかった。ただし、口は真一文字にむすんだままで。
学芸会後、先生から「なんで口を開かなかったの!あなたって本当にいやな子ね!」とえらく怒られた。自分でも確かに、いやな子だと思ったが、評判の美人で、そして子供心に好きだった先生に嫌らわれて、へこんだ。
こうしてトラウマを抱えた音痴が完成した。
以来、親の遺言だからとか言って、頑強に人前で歌うことを拒否していたが、どうやら人前で歌えるようになったのは、大学に入ってからだ。施設で、大きな木を切り倒したり、コンクリートの崖を作ったり、小屋を建てたりするボランティアを何年が続けた。
夏休みの暑い盛りの重労働は汗をガンガンかいて気持ちよいものだが、日陰に入って2時間ごとの休憩が必須となる。冷たい麦茶など飲みながらボーとしていると、必ず歌の好きな仲間が外国の歌など歌い出す。私も、爽快な肉体疲労の中で、歌うことへの変なこだわりが消えて、最初は小声で、そのうちみんなに負けず力いっぱい歌っていた。
こうして、トラウマからは解消されたが、本来の音痴はときどき顔を出す。歌っている最中に何か少し違うかも知れないなと思った瞬間、自信が無くなる。声帯が硬くなり、明かに違うと思った瞬間、メチャクチャになりそうになる。ここが踏ん張りどころとばかり、丹田(たんでん)に力を入れて、かまわず歌い続ける。
音楽は音を楽しむもの。多少の違いは編曲の才能と思って、ともかく大きな声で歌を楽しむことにしている。