西荻の一欅庵(いっきょあん)で8名の若手落語家の話芸を古民家で聴く「古典廻し」を聞きに行った。
落語については、前日のこのブログ「一欅庵での落語」。
今回は、落語の後の建物見学会のご報告。
一欅庵(いっきょあん)は杉並区西荻にある昭和8年に宮大工によって建てられた二階建ての洋館付の和風住宅で、登録有形文化財になっている。
門のそばに大きな欅の樹がある。「欅」という字はケヤキと読む。と偉そうに言っても、若者は読める。ナチスの制服で世界的に有名になった「欅坂46」で常識になっているのだ。落葉高木で巨木になる。
一欅庵の落書き(公式ブログ)
明るいときの門からの眺め。
ここが落語が行われた客間。
庭は昔は隣の家まであったそうだ。
床の間と書棚?
床の間の横の欄間も凝っている。
床の間の柱も今ではとくに高価な木材だそうだ。かって私が住んでいた家にもあったと思うが。
欄間も手が込んでいる。
廊下のガラス戸の上の柱は奥まで一本。
字がはげ落ちた額もなにか趣があると思ってしまう。
天井板も今では手に入らないものらしい。
隣には暖炉のある洋間があり、当日の控室になっていた。
二階から見た庭
ここにも立派な和室があり、
床の間の梁?はまだら模様の竹で、
書斎のガラスは模様入り。他の部屋のガラスも手延べの板ガラスで表面がデコデコしており、向こう側の景色が少し歪んで見える。そういえば、私の子供の頃、ガラスを通してみる景色は歪んでいた。(下注)
一階の元離れだった和室は奥様のための部屋で、すべてが優しく、小作りで、心地よい。
元の部屋に戻ると日はとっぷり暮れていた。
玄関には小石を埋め込んだたたきが。
門柱には一欅庵の表札。
振り返ればシルエットになった古民家がくっきり。
注)
現在の板ガラスはフロート方式で作られる。錫を溶かすと真っ平に広がる。その上に錫より比重の軽い溶融ガラスを流すと、上下とも真っ平な板ガラスができる。明治から大正期のガラスは手延べ板ガラスで、微妙に表面が波打っていて、デコデコしており、向こう側の景色が少し歪んで見える。
この手延べガラスは日本ではもう製造していないため、古い建物の補修ができない。値段が高価な輸入品はあるが、厚さ3mm固定だ。特殊な透明な塗料をガラスの表面にコーティングし、ガラスに擬似的に揺らぎを入れた「昭和レトロ風ガラス」が販売されている。