hiyamizu's blog

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黒川伊保子『女の機嫌の直し方』を読む

2017年12月23日 | 読書2

 

 黒川伊保子著『女の機嫌の直し方』(インターナショナル新書008、2017年4月12日集英社インターナショナル発行)を読んだ。

 

 表紙裏にはこうある。

なぜ女たちは思いもかけないところで不機嫌になるのか?“女の機嫌”は男にとって永遠の謎だ。

だがこの謎は、脳科学とAI研究でいとも簡単に解き明かすことができる。女性脳は共感のため、男性脳は問題解決のためにことばを紡ぐ。だから両者はすれ違い、優秀な男性脳ほど女を怒らせるのだ。

女性脳を知り、女の機嫌の直し方がわかれば生きるのがぐっと楽になる。すべての男たちに贈る福音の書!

 

女性脳と男性脳の違い

話の流れ:女性は発端から時系列に沿ってプロセスを語る「プロセス指向共感型」。男性はゴールから遡る「ゴール指向問題解決型」。

 

視点:男性は遠くを俯瞰的に広く見て、依怙贔屓しない。これに対し、妻は恋人は「なぜ私と隣の小母さんを公平に見て審判を下すような口の利き方をするの。何があっても私の味方じゃないの」と反発する。女性は近くにあるものの表面をなめるように見て、針の先ほどの変化も見逃さない。デートしたときも、女性は男性が注意散漫に見えて、自分にしっかり集中したくれていない。愛が足りないと感じてしまう。

脳の構造:男性脳は縦に深く使い、小脳が著しく活性化するため、空間認知力が高い。

女性脳は脳梁が太く、「感じる領域」の右脳と、「言葉を紡ぐ領域」の左脳の連携が非常に良く、察する天才であり、状況の変化に応じて動ける臨機応変力を持つ。

男性脳は、空間認知力を究極なまでに使うとき、右左脳連携がほぼゼロになる。感覚器からの情報(右脳)が、潜在意識(左脳)に上がらない。つまり、脳を最大限にフル回転しているとき、男たちは、ただ、ぼうっとしているように見えるのである。

 

 

 女性たちの口にする「カワイイ!」は、「可愛い」という評価を伝えるこどばではない。「私、心が動きました~、あなたも動いた?」という意味なのだ。

 

 女性が不機嫌になる理由はさまざまあっても、解消する方法はひとつ。それは「共感すること」だという。「いきなり問題解決」は仇になる。「察しない=大切に思っていない」となる。

 たとえば、「今日、昼間は暖かかったのに、急に寒くなったでしょ。薄着して出かけて、えらい目に遭っちゃった」なんて妻が言ったとき、「ほんと、急に寒くなって、びっくりしたね」と共感すれば、そこで会話は幸せに完結なのに、「朝から天気予報で言ってたろ」なんて頭に浮かんだことをそのまま言うから、「私が朝、どれだけ忙しくしていると思ってるの!?」とまくしたてられることになっちゃうのである。

 

 待ち合わせに遅刻したとき、・・・ほとんどの男性は、遅れてきた理由を言い募る。・・・ここでしなければいけないのは、彼女の“20分”の気持ちを慰撫することなのだ。「寒かったでしょう?ごめんね」「あなたのような人を、こんなところに20分も待たせて、どうしよう」なんて言ってくれれば、遅れてきた理由も聞きやしない。

 

 ことばは心を連れてくる。

「心にないセリフでいいの」・・・「でもね、その優しいことばに、奥さまがほろりとして笑顔になったら、あなたはきっと言ってよかったと思うはず。あとから、優しい気持ちが追いかけてくる。それで十分」・・・

 この男女のミゾは深くて、・・・。意外に幅が狭くて、ことばの橋がかけられる。

 

 

私の評価としては、★★★★★(五つ星:是非読みたい)(最大は五つ星)

 

 「男性は問いかけを解決しようとするが、女性はそんなこと求めてなくて共感して欲しい」のだとか、「女性はトラブルをしっかりひきだしに入れていつでも使えるようにする」などの男女の差について私に知識はあった。もちろん、知識があっただけで、差を克服というには程遠い状況であった。わかっていてやらないのは一層悪いと言われている。

 

 この本は夫婦の間の行き違いの具体例がいくつか提示されていて、双方の気持ちは納得できるものだ。さらに、その差の生ずるところと克服への道を教えてくれる。男性、とくに理工系男性必読の書だ。

 

 残念ながら、その克服方法は、女性に出来る限り合わせるという方法であり、男性には厳しいものだ。でも、我が家だけでなく、多くの家庭で女性が我慢を重ねているのは事実だろうから、どちらが正しいというのではなくて、歩み寄るのは男性の方だろうと思う。

 しかし、いまだに、男の沽券を捨てて、相手に追従するのに抵抗感があり、お体裁を言う気がしない。相手と違うことを言わなければ意味がなく、議論にならないのではとの気持ちもある。しかし、心地よい老後をお互いに過ごすために、やるべきことはすでにはっきりしている。

 

 

 

黒川伊保子(くろかわ・いほこ) 
1959年長野県生まれ。人工知能研究者/脳科学コメンテーター。

奈良女子大学理学部物理学科卒業。

富士通ソーシアルサイエンスラボラトリにて、人工知能(AI)の研究開発に従事。

2003年(株)感性リサーチを設立、同社代表取締役に就任。脳機能論とAIの集大成による語感分析法を開発し、マーケティング分野に新境地を開学した感性分析の第一人者。

年間100回を超える講演・セミナーを行う。

著書に『怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか』 (新潮新書) 、『恋愛脳』『夫婦脳』『家族脳』(新潮文庫)、『日本語はなぜ美しいのか』(集英社新書)、『「ぐずぐず脳」をきっぱり治す! 』(集英社)、『キレる女 懲りない男――男と女の脳科学』(ちくま新書)、『英雄の書』(ポプラ社)など

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