東野圭吾著『美しき凶器』(光文社文庫 ひ6-7、1997年3月20日発行)を読んだ。
裏表紙にはこうある。
安生(あんじょう)拓馬、丹羽潤也、日浦有介、佐倉翔子。かつて世界的に活躍したスポーツ選手だった彼らには、葬り去らなければならない過去があった。四人は唯一彼らの過去を知る仙堂之則(これのり)を殺害し、いっさいのデータを消去。すべてはうまく運んだかに思われたが…。毒グモのように忍び寄る影が次々と彼らを襲った! 迫りくる恐怖、衝撃の真相! 謎が謎を呼ぶ傑作サルペンス!
謎はほとんどなく、肉弾戦のシーンが続く。東野さんのハードボイルドだ。
ドーピングの後遺症で小笠原が自殺した。安生、丹羽、日浦、佐倉の4人は、ドーピングの過去が暴かれ、現在の地位を失うことを恐れ、過去のデータを持つ仙道之則の屋敷に忍び込んだ。結局、仙道を殺してしまい、屋敷に火を放った。
しかし、地下の部屋からモニターでその様子を目撃していた娘がいた。仙道が育て上げた超人的能力を持ちモンスターで、警官を始めであった者を次々と殺し、復讐のため安生、丹羽、日浦、佐倉を追う。彼らも秘密を守るためにも返り討ちにしようとするが・・・。
1992年10月カッパ・ノベルス(光文社)刊
私の評価としては、★★(二つ星:読めば)(最大は五つ星)
タランチュラ娘は次々と爽快に男たちを殺していく。スピード感ある展開で読めるのだが、スーパー能力を発揮するターミネーター似のタランチュラ娘は漫画的だ。こんな小説ならどこにでもあるので、東野さんには時間つぶししてもらいたくない。
登場人物
安生拓馬(あんじょう・たくま): 元重量挙げの世界的選手。アスレチック・クラブの取締役。
安生恵美子:拓馬の妻。アスレチック・クラブの社長の娘。
丹羽潤也:元陸上400mの日本代表選手。会社の陸上部コーチ。
日浦有介:元陸上ハードルの選手。スポーツライター。
日浦小夜子:有介の妻。妊娠中。
佐倉翔子:元体操選手。TVのアシスタント・キャスター。
小笠原:元スキー距離競技の選手。ドーピングの後遺症での動脈硬化に悩み自殺。
仙堂之則(せんどう・これのり):元医者。
娘:タランチュラと称される。仙堂が育て、改造した七種競技の桁外れの女子選手。身長190cmほど。
加藤:警視庁捜査一課・課長
紺野:警視庁捜査一課・警視
根岸:警視庁・警部補
柴藤(しとう):県警本部の巡査部長
山科:県警本部の警部
日下:神奈川県警の警部
田代:成城署の刑事
吉村幸雄:派出所勤務。殺人のあった焼けた建物を調べていて殺され、拳銃を奪われた。