hiyamizu's blog

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町田康『湖畔の愛』を読む

2018年07月25日 | 読書2

 

町田康著『湖畔の愛』(2018年3月20日新潮社発行)を読んだ。

 

宣伝は以下。

龍神が棲むという湖のほとりには、今日も一面、霧が立ちこめて。創業100年を迎えた老舗ホテルの雇われ支配人の新町、フロントの美女あっちゃん、雑用係スカ爺のもとにやってくるのは――。自分もなく他人もなく、生も死もなく、ただ笑いだけがそこにあった。響きわたる話芸に笑い死に寸前! 天変地異を呼びおこす笑劇恋愛小説。

 

衰退地域にある九界湖ホテルの従業員と客たちのドタバタをお笑い風に描く3編。登場人物は皆、くせ者。
数年前から経営が傾いていた創業100年の九界湖ホテル側の人物は、

オーナーは父の後を継いだが、資金繰りに苦労。吉林省育ちで、中国人風のしゃべり方をする美女、
ホテルマンとしての誇りを持つ禿げ頭の支配人の新町と、美人のフロントの圧岡(あっちゃん)いずみ、

オーナーの父親の莫逆の友(親友)で、奇行を目こぼしされている雑用係のスカ爺(須加治一郎)。

「湖畔」

やって来た初老の客・太田の話す言葉が、真摯に対応しようとする新町にも意味不明で、客は怒りはじめる。やってきたスカ爺は、なんなく彼と話しができた。太田は真心研究が高じて一般語を話せなくなったという。

 

「雨女」

嬉しくなると激しい雨を降らしてしまう雨女の超美人・船越恵子が来たせいで、ホテルは陸の孤島になってしまう。建築デザイナーの吉良鶴人は恵子が好きなのだが……。そこに人気女性雑誌VOREGYAの取材チーム。編集者の山野百兵衛、カメラマンの大馬、可愛子ぶるライターの赤岩などが登場してハチャメチャ。龍神まで登場し、スカ爺の活躍の場が……。

「湖畔の愛」

ホテルの経営者が代わり、オーナーと太田は首になり、会計士の資格をもつ綿部が新支配人になった。新町と圧岡はフロントに留まった。湖に落ちて死んだスカ爺の後釜は鶴岡老人。

立脚大学演劇研究会の合宿中に、3人の美女が加わる。なかでも絶世の美女・気島淺は、あきらかに才能が無い男を才能あると勘違いする悪癖があり、辺見チャン一郎に夢中になり、ある日突然目覚めて決別したのだった。研究会の岡崎奔一郎を見て電流が走り、研究会に入会し、ホテルにやってきた。遅れていたその岡崎と、大野ホセアがホテルに到着し、気島をめぐる恋のさや当てが始まり、鶴岡老人を追いかける元暴力団組長のソニア商会の白藤たちがやってきて、複数の騒動が起こる。

 

 

初出:「新潮」(湖畔2013年5月号、雨女2014年6月号、湖畔の愛2017年9月号)

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?)(最大は五つ星)

 

いくらなんでもこのドタバタはないでしょう。ナンセンスギャグも笑いを取ってなんぼなのに、おもろない。良いのは話のテンポだけ。それでいて読み終えてしまったのが、くやしく、残念。

町田さんは才能あるのだから、突っ走らずに、もう少し抑え気味にして欲しい。

 

 

町田康(まちだ・こう)

1962年大阪府生まれ。パンク歌手、詩人、俳優で、作家。

1996年に発表の処女小説「くっすん大黒」でドゥマゴ文学賞、野間文芸新人賞

2000年「きれぎれ」で芥川賞

2001年「土間の四十八滝」で萩原朔太郎賞

2002年「権現の踊り子」で川端康成文学賞

2005年「告白」で谷崎潤一郎賞

2008年『宿屋めぐり』で野間文芸賞を受賞

その他、『夫婦茶碗』『パンク侍、斬られて候』『人間小唄』『ゴランノスポン』『ギケイキ 千年の流転』『ホサナ』『生の肯定』『猫にかまけて』シリーズ、『スピンク日記』シリーズエッセイ『破滅の石だたみ

 

このブログの今村夏子のこちらあみ子」に書いたのだが、「こちらあみ子」の

太宰賞受賞会見で、ある記者からの「特異なケースの人の話で自分たちとは関係ないと思う人もいるのではないか」との質問に、選考委員の町田康さん(本書(こちらあみ子)の解説を書いている)は「こわれたトランシーバーで交信しようとする姿はまさにぼくたちの姿じゃないのですかッ!?」と答えたそうだ。

町田康はパンク歌手で、無頼者の作家としか思わなかったが、これを知って好きになった。

 

 

使いたくなった表現を一つ。

「おほほ、って感じよね。まるで吐瀉物だったわね。田舎は駄目ね。…人間として遺伝子を組み換えた方がいいわね。…」

 

コメント
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