椰月美智子著『つながりの蔵』(2018年4月27日KADOKAWA発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
祖母から母、そして娘へ。悩める少女たちに伝えたい感動の命の物語。
41歳の夏、同窓会に誘われた遼子。その同窓会には、蔵のあるお屋敷に住むの憧れの少女・四葉が来るという。30年ぶりに会える四葉ちゃん。このタイミングで再会できるのは自分にとって大きな一歩になるはず――。
小学校5年生のある夏。放課後、遼子と美音は四葉の家でよく遊ぶようになった。広大な敷地に庭園、隠居部屋や縁側、裏には祠、そして古い蔵。実は四葉の家は幽霊屋敷と噂されていた。最初は怖かったものの、徐々に三人は仲良くなり、ある日、四葉が好きだというおばあちゃんの歌を聞きに美音と遼子は遊びに行くと、御詠歌というどこまでも悲しげな音調だった。その調べは美音の封印していた亡くなった弟との過去を蘇らせた。四葉は、取り乱した美音の腕を取り蔵に導いて――。
少女たちは、それぞれが人に言えない闇を秘めていた。果たしてその心の傷は癒えるのか―。輝く少女たちの物語。
現在
遼子は、夫との間に小6の双子の時生とひかりがいる41歳で、新潟に住む。30年ぶりに小学校のクラス会で美音、四葉と会う。
小6の時
母・雅子は42歳、父・光信は44歳、祖母・登巳子は69歳。遼子の兄・浩之は17歳の高校生で映画作りに熱中。兄の彼女は沙知。
白石美音(みおん)は、江里口(旧姓)遼子の保育園から同級生。美音の4歳下の弟・利央斗(りおと)は2年前に亡くなった。同級生の柊介(しゅうすけ)が好き。
藤原四葉は遼子、美音と小学校の同級生で、蔵のあるお屋敷に住んでいる。
初出:「小説屋sari‐sari」2017年10月号~12月号
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
おじいさんが読む本ではなく、YA(ヤングアダルト)の本だ。
でも、女の子の仲良し仲間の離合集散ぶりなどは多少おもろい。
四葉が相手の想いを読み取る能力を持っていたり、3人が蔵の中で、会いたい人に会える非現実的場面にはついていけない。
表紙の絵や口絵がやさしく可愛い。装画は岡田千晶。
椰月美智子(やづき・みちこ)
1970年神奈川県生まれ。
2002年「十二歳」で講談社児童文学新人賞を受賞しデビュー。
2007年の「しずかな日々」で野間児童文学賞、坪田譲二文学賞を受賞
2009年『るり姉』『ガミガミ女とスーダラ男』
その他、『フリン』『未来の手紙』 など。
「WEB本の雑誌」「作家の読書道」「第102回:椰月美智子さん」で、藤原ていの『流れる星は生きている』を感動した小説にあげていたが、その理由が、自身は幼い二人の子を連れてスーパーへ買い物に行くだけで、クタクタなのに、満州から3人も子供を連れて帰るなんて考えられないというもの。
「…ぼく最初からわかってたの。丈夫じゃないから長くは生きられないって。でも、お父さんやお母さん、お姉ちゃんたちに会いたかったから生まれてきたんだよ。…」(p178)
(幼い子どもが死んでしまうのは、なにより悲劇だと思う。しかし、幼子が死産で生まれなかった方が良かったかと言うと、幼子にとっても、両親、家族にとっても生まれてきた方が良かったのだと思う。そう思うべきなのだろう)
「男の子は六年生になっても、本当に甘えん坊だ。その代わり、男の子は親離れが早いのだろうと遼子は思う。」(p207)