hiyamizu's blog

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清水由美『日本人の日本語知らず。』を読む

2018年10月28日 | 読書2

 

清水由美著、ヨシタケシンスケ絵『日本人の日本語知らず。』(世界文化社2010年12月10日発行)を読んだ。

 

日本語教師が、外国語としてみた「日本語」視点から、日本語はイイ加減でも、あいまいでもないし、難しくもないと語る。日本語ならなんなく使えているあなたは、意外と日本語の構造、使い方を知らず、何故か説明できない。

愉快な文例、しゃれた挿絵を楽しみながら、日本語を再発見できる。 

表音文字

英語のアルファベットは表音文字というが、たとえば「a」はいろいろな読みがある。たいして、日本語のひらがな、カタカナは一貫して読み方が同じ、正真正銘の表音文字だ。例えば、駅名はひらがなで書いてあれば、だれでも読める。ロンドンの地下鉄のように、つづりとアナウンスのあまりの差にとまどうこともない。

 

ところでひらがな、ぜんぶ読めてます? ほんとうに?

「成田空港」は「なりたくうこう」ではなく、発音は「ナリタクウコオ」となる。「う」はその前に音が「ウ段」だったら「ウ」で、「オ段」だったら「オ」の口の形のままで読めばよいという法則がある。

 

例外はある。旧仮名遣いで「とほり」「とをか」「ほほばる」のように、もともと「ほ」や「お」が使われていたものに限っては「お」を使うというルールになってしまっている。

数は少ないが、よく使う言葉で、「そのとお(う)り」「ほお(う)ばる」「こおり(氷)」「とおか(十日)」「おおきい(大きい)」「おおい(多い)」となる。

 

ら抜きことば

すべての一段動詞と、不規則動詞の「来る」を可能の意味にするときには、「ら」を入れ、「見られる」「食べられる」「来られる」が正しい。しかし、一つの活用形に可能と尊敬の二つの意味を持たせているのが無理で、ラ抜き現象に日本は征服されるだろう。

「(納豆)は食べられますか?」は尊敬か可能かがわからない。そこで、可能はラ抜き、尊敬はラ入りにすれば、尊敬だとわかる。

 

サ入れ

「させていただく」というのは「あなたのお許しをいただいて、します」という気持ちの表現だ。電車のドアを「閉めさせて」も、芸能人が「お付き合いさせて」も、私の許可は必要ないので、むしろ馬鹿丁寧、慇懃無礼に聞こえる。「ドア、閉めます」、「付き合っております」で良い。

 

形容詞と形容動詞

「安い、はやい、おいしい」は形容詞で、名詞の前では「い」をつける。

「きれい、静か、親切、楽観的、ワタシ的」は形容動詞で、名詞の前では「な」をつける。

 

自動詞と他動詞

「お茶が入りましたよ」(入れたのは私ですけどね。私だって忙しいんですけどね。)というようなイイコトの場面では日本語人は奥ゆかしくも自動詞を使う。マンガでは、太めの女性がスカートを試着して「やぶれたわよ?」女性の店員がにっこりしなが ら「お客様がやぶいたんです。」

 

陳述副詞

「文末を予告する副詞」で、「否定を呼ぶ副詞」に「ちっとも」、その他「疑問」「仮定」などの副詞があり、最後まで言わなくても解ってしまう。マンガでは、 花束をもった男性がおじぎをしながら「もしよかったら…」、女性もおじぎを返しながら「残念ながら…」。以下は言わぬが花で、思いやりなのだ。

 

ほめる

「いい授業だった」など教師のデキを面と向かってほめるのは学生の身ではルール違反となる。相手の技量をほめる、評価するというのは、日本(語)社会においては、「上から目線」の行為で、目下の者がしてはいけないことなのだ。

 

 

清水由美(しみず・ゆみ)
岐阜県高山市生まれ。東京外国語大学英米語学科卒業、お茶の水女子大学大学院修士課程修了(日本言語文化専攻)。日本語教師、日本語教師養成講座講師。千葉大学国際教育センター非常勤講師 
著書に、『辞書のすきま すきまの言葉』


ヨシタケシンスケ
神奈川県茅ケ崎市生まれ。筑波大学大学院芸術研究科総合造形コース修了。広告美術や依頼造形の仕事をするかたわら、書籍も雑誌でも活躍中。

著書に、『しかもフタが無い』

裏表紙の絵は、「このスカートのためにダイエット(目的)」「ダイエットしたためにリバウンド(原因)」

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

著者は外国人に日本語を教えるプロ。普段意識しないで使っている私達に、外から見た日本語も知っている著者が日本語のあれやこれやを面白く、なるほどと語っている。少々難しい文法も出ては来るが、ユーモアある軽妙な語り口、面白いエピソードで楽しく、なんとなくわかりやすく、読めてしまう。

 

なぜそうなのかを説明すると、どうしても文法の話になる。私は、日本語は一応使えるし、試験の点など気にしないので、学校での文法関連の勉強をすべてパスしてしまったので、この点では話についていけなかった。

 

目次
まえがき
1.日本語は難しい、か?   …ひらがなさえ読めれば、ぜんぶ読めちゃうのに?
2.ところでひらがな、ぜんぶ読めてます? ほんとに?   …「う」と書いて「お」と読めとはこれいかに。
3.しつこいようですが、ひらがなはエライ!   …五十音表といいながら、動詞の活用表でもあるのだ。
4.らぬき、れたす、さいれ   …群れる動詞たち。
5.ナウい人とナウな人、どっちがナウ? …形容詞も群れるのだった。
6.品詞の谷間   …群れをはぐれた動詞たち。
7.お茶が入りました。   …入れたのは私ですけどね。
8.日本語はあいまい? 非論理的?   …だってわかっちゃうんだもん。
9.みなまで言うな。   …しっぽがなくてもわかる理由。
10. 米洗ふ前を螢の二ツ三ツ   …ホタルの生死を分けるもの
11.私はこれでやめました。   …意志の力で変わる意味。
12.ウチ向きの日本の私   …ここはそれ、あれですから。
13.ウチとソトの交流   …行くよ来るよ、あげるよくれるよ。
14.しぇんしぇー、ちゅくえ   …ターラちゃん♪
15.ありますですかそれともありますですか?   …発音しない発音
16.ててったってっ   …詰めて縮めて試練の聞き取り問題
17. 先生はとても上手に教えました。ありがとうございます。   …ほめるな危険!
18.お~星さ~ま~ギーラギラ♪   …ことばの海に漂う点々
あとがき   …日本語はうつくしい。

コメント
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