山田奈美著『ぬか漬けの基本 はじめる、続ける。』(2016年3月25日グラフィック社発行)を読んだ。
ぬか漬けを始めたい人へ。ぬか床づくりの基礎と毎日のお手入れ法、トラブルQ&A、基本の野菜・肉・魚の漬け方を解説。
ユニークなぬか漬けのバリエーションや、ぬか漬けを使ったレシピも紹介します。
私・冷水はぬか漬けを、相方から十分な引き継ぎもなくほぼ自己流でなんとか10年以上続け、大根、キュウリ、人参などごく平凡な野菜の漬物を食卓に出している。飽きが来ている最近では、3,4日、ぬかを混ぜることなくほっぽらかしにして酸っぱすぎになることも多い。
3年前に一冊、有元葉子著『ぬか漬け帖』を読んだが、あらためて初心にかえるために本書を読んでみた。
以下、手抜き漬けの私の例を、( )で追記する。
1章 ぬか床をつくろう
ぬか床の保存容器は陶器製の甕やホーローが最適で、少量の場合などにはプラスチック製蓋つき容器やジップ付き小袋でもよい。また、ぬか床の材料、風味のつけ方が詳しく解説されている。
(ちなみに私は、冷蔵庫にも入れられるプラスチック製蓋つき容器に、スーパーで買ったぬか床の素を入れて、捨て漬けをして漬けている。ぬかが減ったら入りぬかを買って追加している。そこそこで良い人は神経質にならなくてよいと思う。
容器が水を通さないので、小さな穴をたくさん開けたレモン汁の容器をぬか床の真ん中に埋めて水を取っている。毎回結構な量の水が溜まる。)
ぬか床のかき混ぜ方は、底と表面を入れ替えるつもりでかき混ぜる。
(プラスチック容器は容器に触れるところのぬかが固くなるので、必ずほかのぬかと混ぜ合わせる。
ぬかのかき混ぜ方は、箸一本でかき混ぜる。知人にも「手で混ぜなきゃ」と注意されたし、本にも、「手でかき混ぜた方が良い。その人らしいぬかになるような気がする。」とあった。しかし、私は「気がする」より「簡易さ」を求めるので箸にしている。
ぬか床は写真のように、団粒状になった位にかき混ぜるのが、耕す畑と同じように、ちょうどよいのではと独断している。)
{夏の暑い日は容器ごと冷蔵庫に入れて避難する。この時、レモン汁容器の中の水を捨ててからにしないと、溜まった水がぬかに溶け込んで凍ってしまうことがある。)
2章 基本の漬け方
野菜・魚介類・肉のつけ前の下処理:きゅうりやなすなどえぐみのある野菜は塩でよくもんでからつける。じゃがいもや、かぼちゃなど固い野菜は、固さを残して茹でて、水気を切って冷ましてつける。
(肉や魚介類も漬けられるようだが、私は不安で漬けたことがない。別の小袋で漬けるようだ。)
ほぼ何でも漬けられるようだが、おいしそうと思ったのは、下茹でしたかぼちゃ(夏半日、秋冬1日)、浅漬けのセロリ(冬1日、春半日~1日)、2,3時間天日で干したしいたけ(1日)、皮に1,2箇所切り込みを入れた固めのミニトマト(半日)、だしを取ったあとの日高昆布(半日~1日)、4つ割の皮ごとにリンゴ(半日~1日)、ゆで卵(1日)、チーズ(1日)
3章 ぬか漬けカレンダーとトラブルQ&A
昆布はぬか床にうま味を増し、唐辛子は酸化を防止する。
特にプラスチック容器は毎日のかき混ぜが必要。無理なら冷蔵庫で一休み。
ぬか床にうっすら白い膜ができたら、産膜酵母なので混ぜ込んだら良い。
ぬか床から取り出した野菜についたぬかは床に戻す。
ぬか漬けに向いていない野菜は、ゴーヤ、ねぎなどの苦みや臭みが強い野菜や、完熟トマトやレタスなど水分が多い野菜。
4章ぬか漬け・ぬか床を使ったレシピ 略
5章 うれしい、ぬか漬けの健康効果 略
私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)
変わり漬け、ぬか漬けレシピなどに大きくページを割いているので、初心者より経験者向け。
しかし、写真が多く、文章は簡潔でわかりやすい。
漬物の専門家というより、薬膳理論を学び、発酵食を実践しているようなので、幅広い観点から見た漬物を知ることができる。
山田奈美
国際中医薬膳師。「食べごと研究所」主宰/北京中医薬大学日本校卒。東京薬膳研究所代表の武鈴子氏に師事し、薬膳理論や食養法について学ぶ。雑誌・テレビなどで発酵食や薬膳レシピの制作・解説等を行うとともに、神奈川県・葉山のアトリエ「古家1681」で「発酵教室(ぬか漬け、味噌など)」「和の薬膳教室」などのワークショップを開催。
著書に『体を温め、めぐりをよくする妊娠中のごはん』(家の光協会)、『漬けるだけ 発酵食レシピ』(アスペクト)、『つよい体をつくる離乳食と子どもごはん』(主婦と生活社)他。