hiyamizu's blog

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マイクル・Z・リューイン『眼を開く』を読む

2020年03月11日 | 読書2

 

マイクル・Z・リューイン著、石田善彦訳『眼を開く』(A HAYAAWA  POCKET  MYSTERY  BOOKS  No.1792、2006年10月10日早川書房発行)を読む

 

裏表紙にはこうある。

とうとう私立探偵免許が戻ってきた。長く辛かった失意の時代とはおさらばだ。また私立探偵アルバート・サムスンとしての日々が始まる――営業再開にあたって、家族や友人たちも祝福してくれた。ただひとり、幼なじみの親友ミラー警部をのぞいて。確かに免許を失ったいきさつから彼とは疎遠になっていたのだが……やがて復帰後初の大仕事が舞い込んだ。依頼は大手の弁護士事務所から。だがその仕事とは、ミラーの身辺調査だった! 彼の身にいったい何が起きているんだ? 心やさしき私立探偵アルバート・サムスン復活。待望のシリーズ最新作!

 

アルバートが依頼されたのは、法廷でミラーの人格を攻撃するために使える事実を集めることだった。(p132)

 

 

アルバート・サムスン:主人公の私立探偵
サム:アルバートの娘

ポジ―:アルバートの母。<バッドのダッグアウト>を経営。

メアリー・コントラリー:ネオンサイン業者。アルバートの恋人。

ジェリー・ミラー:警部。アルバートの昔からの友人。インディアナポリス市警で最も地位の高いアフリカ系アメリカ人

ジェイニー:ジェリーの妻

ヘレン:ジェリーとジェイニーの娘

マーセラ:ジェリーの恋人

ホーマー・プロフィット:警部補。アルバートの元ガールフレンドのアデルの夫。

リーロイ・パウダー:警部補。アルバートの友人。

 

ロニー・ウィリガ―:連続殺人事件容疑者

カーロ・サドラ―:情報提供者。仇名は“チップ”。バー<ミルウォーキー・タヴァ―ン>で働く。

 

クリストファー・ホロウェイ:パーキンズ・ベイカー・ピンカス&スターヴィック法律事務所弁護士

カール・ベントン:同・共同経営者。ロニー・ウィリガ―の主任弁護人。

トム・トーマス:エイムズ・ケント・ハーディック法律事務所弁護士

 

ボリス、フォンテーン、ローシェル:ポジ―の友人

ジミー・ウィルソン、ジョー・エリスン:近所の住人。ジミーはネオンサインにこだわる。ジョーはバスケ。

ノーマン・タブス:ポジ―の店のコック。片腕。

ティモシー・バトル:司祭

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)

 

話は一本道でなく、左右に揺れ、サイドストーリーも多く、厚みのある物語になっている。しかし、本筋となる謎は深みのあるものでもなく、驚きもない。手慣れたベテランの力作と言ったところか。

 

互いに意地はりながら、気持ちを伝えあうアルバートとメアリーの会話が楽しい。

 

 

マイクル・Z・リューイン Michael Z. Lewin

1942年、 アメリカ・マサチューセッツ州スプリングフィールド生れ。5歳でインディアナポリスに移住。

ハーバード大学を卒業後、高校教師。

妻に薦められたチャンドラーの小説を読んで作家を志し、1971年渡英し、アルバート・サムスン主人公の『A型の女』でデビュー。

他に、アルバート・サムスン・シリーズの『A型の女』、『死の演出者』、『内なる敵』、『沈黙のセールスマン』、『消えた女』、『季節の終り』、『豹の呼ぶ声』、本書『眼を開く』や、リーロイ・パウダー警部補シリーズの『夜勤刑事』、『刑事の誇り』など。

 

 

石田義彦(いしだ・よしひこ)

1943年北海道生まれ。2006年没。ライターとしてミュージシャンに取材。翻訳家。

1970年早稲田大学法学部卒。

主な訳書、リューイン『A型の女』『内なる敵』、ライアル『黄金を紡ぐ女』など多数。

 

 

気の利いたセリフ

役に立つ証人を見つける可能性は、宝クジに当たるよりも低かった。だが、ホロウェイはこういった。「やってくれ」ポケットのなかの小切手がこたえた。「はい、もちろんです、ボス」(p85)

 

メアリーとアルバート、二人ともケガをしてようやっと自宅にたどり着き、アルバートはベッドに倒れこみ、気がついたら朝だった。

どこか近くから、メアリーの声が聞こえた。「はじめて朝まで一緒にすごした夜ね。なんてロマンチックなんでしょう」

 

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