文:伊坂幸太郎、絵:マニュエーレ・フィオール『クリスマスを探偵と』(2017年10月30日河出書房新社発行)を読んだ。
宣伝文句は以下。
大学生のときに著者が初めて書いた小説(初出『文藝別冊 伊坂幸太郎』/2010年小社刊)を自身の手により完全リメイク!
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舞台はドイツのローテンブルク。探偵カールはクリスマスイブに、50過ぎの男の浮気調査をしている。男は金持ちの中年女性の豪邸へ入って行き、カールは公園のベンチで休憩する。
声をかけられた若い男といろいろ話をするうちに、カールの父親が常に機嫌が悪く、母親に当たっていたこと、浮気の気配があったこと、クリスマスに、裕福でないので無理だと思っていたが、自転車を頼んだことなどを話し始める。結局、その高価な自転車を手に入れたのだが、父親は母親の大事な指輪を・・・。
マヌエーレ・フィオール
1975年、イタリアのチェゼーナ生まれ。
2000年、建築学の学位をヴェニスで取得後、2005年までベルリンで漫画家、イラストレーター、建築家。
2011年『秒速5000km』(“Cinq mille kilom’etres par seconde”)でアングレーム国際漫画祭最優秀作品賞受賞
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
あの伊坂さんのはじめての小説とあらば、伊坂ファンを自称する私は読まざるを得なかった。それで?
う~ん、まあまあかな。謎を含んで話が進み、最後も意外性があるのだが、話の流れがぎくしゃくしている。人物のキャラも特に魅力があるわけではない。18歳で書いたことを考えればすばらしい出来なのだが。
77ページの本に絵が14枚。絵本というより、大きな挿絵入りの小説で、小説としては中途半端。
表紙の絵を見た瞬間、「おお、ローテンブルグだ」と思った。
絵は趣があるのだが、小説とぴったしとはいいがたい。