南杏子著『ディア・ペイシェント』(2018年1月25日幻冬舎発行)を読んだ。
幻冬舎の繰り返しがあるし、長すぎる宣伝文句は以下。(原文に改行を追加)
クレーム集中病院で、若き女性医師が“モンスター・ペイシェント”に狙われた!? 失敗しようと思う医師はひとりもいない。けれど、医師と患者が解りあうのは、こんなにも難しいのか――。
現役医師が、現代日本の医療界の現実を抉りながら、一人の医師の成長を綴る、感涙長篇。
病院を「サービス業」と捉え、「患者様プライオリティー」を唱える佐々井記念病院の常勤内科医になって半年の千晶。午前中だけで50人の患者の診察に加え、会議、夜勤などに追われる息もつけない日々だった。そんな千晶の前に、執拗に嫌がらせを繰り返す“モンスター・ペイシェント”座間が現れた。
患者の気持ちに寄り添う医師でありたいと思う一方、座間をはじめ様々な患者たちのクレームに疲弊していく千晶の心の拠り所は先輩医師の陽子。しかし彼女は、大きな医療訴訟を抱えていた。失敗しようと思って医療行為をする医師はひとりもいない。
医師と患者が解りあうことはこんなにも難しいのか――。
座間の行為がエスカレートする中、千晶は悩み苦しむ。 現役医師が、現代日本の医療界の現実を抉りながら、一人の医師の成長を綴る、感涙長篇。
真野千晶:川崎市にある佐々井記念病院の常勤内科医。35歳独身。父は山梨の診療所の医師で妹の万里が事務を手伝っている。母は認知症で老人ホームへ入所。
浅沼智恵子は診断ではほぼ正常なのに調子が悪いと主張する。挙句に認知症試験を拒否して退場。
保坂剛士は薬をきちんと飲まず、不要な精神安定剤ヤルキンや、母親のための湿布を要求する。
こんな患者ばかりで診察時間ひとり3分半が倍以上になっている。
高峰修治:病院の事務長で実質的に経営を支配している。事務局主任の沼田は忠実なしもべ。
浜口陽子:千晶の6年先輩で専門は心臓病。姉御肌。
金田直樹:千晶の2年先輩の内科医。カネゴン。
蓮見勇夫:警備員
座間敦司:千晶をねらう謎の男
本書は書き下ろし。
私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
医者と患者との間の軋轢がテーマだ。本書に登場する患者のほとんどは問題があり、その辺はよく書けている。
しかし、現実は問題ない患者がほとんどだろう。一方で勤務医には癖が強かったり、親切ではない人もけっこう多い。まあ、どっちもどっちと言ったところか? 勤務医の激務とその中で誤診をしないように集中するのは、保険完備であっても、大変だろう。一方では病院での待ち時間が長時間なのも調子の悪い患者には大変つらいことなのだ。
外来患者のSML:Sは要領よいスムーズ。Mは悪気はないが、まどるっこしい。Lは台風なみのLow Pressure で、「何かあれば訴えてやる」と身構えている。