今井清人編「村上春樹スタディーズ 2000-2004」2005年5月、若草書房発行を読んだ。
村上春樹に関する評論を3冊ほど読んだが、今回はその第2弾。
作家・村上春樹およびその作品に関し、1999年後半から2004年という期間に発表された論文をまとめた本。
村上春樹に関する批評:
山根由美恵、山崎真紀子、小谷野敦、舘野日出男、加藤典洋、太田鈴子、明石加代、半田淳子、松浦雄介、池田信寛、遠山義孝、許均瑞
解説:今井清人
文献総覧:山根由美恵
なお、この本の続編である「村上春樹スタディーズ 2005-2007」が2008年3月に若草書房から発行されている。
村上春樹を評価する批評家は、川本三郎、福田和也、加藤典洋、川村湊、竹田青嗣、柘植光彦などで、批判的なのは、坪内祐三、渡部直己、柄谷行人、蓮実重彦、笠井潔、千石英世、畑中佳樹などだそうだ。
どうやら、批評家を二分しているらしい。批評商売繁盛で結構なことだ。
いくつか挙げる。
小谷野敦「のノルウェイの森を徹底批判する」では、男性は「一度でよいからこんな風にモテテみたい」と思い、女性は「ワタシもこんなオシャレなカイワがしてみたいわ」と思い人気になっている。
私が春樹を容認できない理由は、たった一つ。美人ばかり、あるいは主人公好みの女ばかり出てきて、しかもそれが簡単に主人公と「寝て」くれて、かつ二十代の間に「何人かの女の子と寝た」なぞというやつに、どうして感情移入できるか、という、これに尽きるのである。
斉藤美奈子は、「どうせ元々RPG小説なんだから」と言ったらしい。
加藤典洋は、「スプートニクに恋人」で、小説世界/現実世界、第一世界/第二世界/第三世界の話かを丁寧に分析して図に書いて説明している。ご苦労様。
私の評価としては、★☆☆☆☆(一つ星:無駄)
村上春樹とその作品に関する論評本を3冊続けて読んだためもあり、とくに細かいことをグジャグジャ言っているのこの本にはうんざりして、途中読み飛ばした。
夏目漱石と村上春樹を対照させて論評したり、村上春樹の作品の中の中国への違和感を記述した部分をえぐり出し、差別意識があると論じたり、重箱の隅を強引で、我田引水な論理で決め付ける。
もう文芸評論本はこりごりだ。小説は、私には、面白く読めればそれで良し。