イアン・マキューアン著、宮脇孝雄訳「黒い犬」200年7月、早川書房発行を読んだ。
表紙の裏にはこうある。
ヨーロッパ戦後思想史を背景に、鬼才が夫婦の魂と愛の軌跡をサスペンスフルに描く。イギリスでベストセラーを記録した、ブッカー賞作家による注目の長篇。
原題 : Black dogs
イアン・マキューアンは1948年英国ハンプシャー生まれ。イースト・アングリア大学(UEA)の創作コースの修士論文として書いたのが短篇集「最初の恋、最後の儀式」First Love, Last Rites (1975)で、サマセット・モーム賞を受賞。最初の長編「セメント・ガーデン」(1978)と「異邦人たちの慰め」(1981)はブッカー賞候補。「イノセント」(1989)、「黒い犬」(1992)、そして、長編「アムステルダム」Amsterdam (1998)で98年度のブッカー賞を受賞。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)
話の筋としては表紙裏の説明以上のストーリー展開はほとんどない。「黒い犬の真実」というのも驚くようなことが特に説明されるわけでもない。
主な話は、合理主義の夫バーナードと神秘主義?に陥った妻ジューンの愛し合いながらの対立だが、夫からの話が長く語られ、妻の考えは最後の方に少しでてくるだけで、私には分かった気がしなかった。
しかし、まさに崩壊していくベルリンの壁伝いに歩きながらの私とバーナードとの会話は心理描写も含めて知的で面白く読んだ。
マキューアンの初期の本は残酷で、タブーに挑戦するものだったが、1992年に書かれたこの本にはグロテスクな表現はまったく見られず、このころから変わっりはじめたのかもしれない。「アムステルダム」ではシャレた知的な小説家になっている。
表紙の裏にはこうある。
かつては共産主義者の同志として、そしてなによりも深い愛情で結びついていた夫婦バーナードとジューン。なぜ、彼らは突然破局を迎えたのか?私は義理の両親にあたる二人の人生に強い興味を抱き、回想録にまとめるため、独自に真相を探りはじめた。二人から話を聞くうち、やがて彼らが袂を分かった背後に“黒い犬”の存在があったことが判明する。犬の姿を借りた“悪”に出会い、すべてが変わったと主張するジューン。
悪の象徴など、ジューンの妄想にすぎない、と一笑に付すバーナード。
“黒い犬”は実際に存在したのか?それともジューンが生みだした想像の産物なのか?私は彼らの人生を影のように覆う “黒い犬”の真実を追究するが…。
悪の象徴など、ジューンの妄想にすぎない、と一笑に付すバーナード。
“黒い犬”は実際に存在したのか?それともジューンが生みだした想像の産物なのか?私は彼らの人生を影のように覆う “黒い犬”の真実を追究するが…。
ヨーロッパ戦後思想史を背景に、鬼才が夫婦の魂と愛の軌跡をサスペンスフルに描く。イギリスでベストセラーを記録した、ブッカー賞作家による注目の長篇。
原題 : Black dogs
イアン・マキューアンは1948年英国ハンプシャー生まれ。イースト・アングリア大学(UEA)の創作コースの修士論文として書いたのが短篇集「最初の恋、最後の儀式」First Love, Last Rites (1975)で、サマセット・モーム賞を受賞。最初の長編「セメント・ガーデン」(1978)と「異邦人たちの慰め」(1981)はブッカー賞候補。「イノセント」(1989)、「黒い犬」(1992)、そして、長編「アムステルダム」Amsterdam (1998)で98年度のブッカー賞を受賞。
私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)
話の筋としては表紙裏の説明以上のストーリー展開はほとんどない。「黒い犬の真実」というのも驚くようなことが特に説明されるわけでもない。
主な話は、合理主義の夫バーナードと神秘主義?に陥った妻ジューンの愛し合いながらの対立だが、夫からの話が長く語られ、妻の考えは最後の方に少しでてくるだけで、私には分かった気がしなかった。
しかし、まさに崩壊していくベルリンの壁伝いに歩きながらの私とバーナードとの会話は心理描写も含めて知的で面白く読んだ。
マキューアンの初期の本は残酷で、タブーに挑戦するものだったが、1992年に書かれたこの本にはグロテスクな表現はまったく見られず、このころから変わっりはじめたのかもしれない。「アムステルダム」ではシャレた知的な小説家になっている。