hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

青山フラワーマーケットが経営する「TEA HOUSE」でランチ

2021年03月12日 | 食べ物

 

「TEA HOUSE」のアトレ吉祥寺店でランチした。

 

アトレ吉祥寺の東館B1にある「AOYAMA・FOWER・MARKET」の「TEA HOUSE」でランチした。

昨年3月以来、1年ぶりだ。

 

隣が花屋になっていて、中で繋がっている。「空間屋」を標榜するだけあって、通路は広々で、席も垂れ下がるポトスで囲われていてくつろげる。

 

今週の花はチューリップ。

 

どの席にもずらりと八重のピンクのチューリップが並ぶ。フラワーアレンジメントなどの教室も開かれている。

 

 

注文したのは、二人とも「自家製フレンチトーストとハーブサラダ スープ、飲み物付き」1,100円。このほか、トッピングやスイーツが追加できる。

 

私の飲み物はスウィートアールグレイ(写真手前)で、相方はフルーツティー。

 

こってりと美味しい玉ねぎのスープ。

 

大きな食パンでなく、バケットのフレンチトーストが食べやすい。

 

帰りにチューリップを頂いて、ご機嫌で帰宅。

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知念実希人『神話の密室』を読む

2021年03月11日 | 読書2

 

知念実人著『神話の密室 天久鷹央の事件カルテ』(新潮文庫ち7-36、2020年9月1日新潮社発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

まるで神の御業のような不可思議は「密室」の謎

アルコールが一滴もないはずの閉鎖病棟で泥酔を繰り返す人気小説家。キックボクシングのタイトルマッチ、勝利の瞬間にリングで死亡した王者。かたや厳重な警備の病院で、こなた千人以上の観客が見守る中で。まるで神様が魔法を使ったかのような奇妙な「密室」事件、その陰に隠れた思いもよらぬ「病」とは?  天才女医・天久鷹央が不可能犯罪に挑む。現役医師による本格医療ミステリ!

 

《天久鷹央》シリーズの最新刊で、11作目。

 

プロローグ

天久鷹央(あめく・たかお):医会総合病院の医師で、病院の理事長の娘で、副院長も兼務。抜群の能力でを、他の科で診断がつかなかった患者を診察して病名を突き止める統括診断部の部長。童顔のため中学生に間違われるが、「私は二十八歳のれっきとしたレディだ」と憤慨する。

小鳥遊優(たかなし・ゆう):天久や鴻ノ池からは小鳥(ことり)先生と呼ばれる。天久鷹央とペアとなり(タカタカペア)謎を解明するとともに、天久鷹央から内科医・診断医として学びながら、人付き合いが苦手な彼女の対人関係を支援している。30歳の男性医師。
鴻ノ池舞:女性研修医。口が悪く、小鳥遊の天敵。

 

Karte. 01 バッカスの病室

泥酔状態で緊急搬送された宇治川心吾は、天医会総合病院の精神科にアルコール依存症の治療のために入院予定だった。宇治川はデビュー作を超える作品をなかなか書けないストレスで酒に走る有名作家だった。妻の真穂子と原稿締切りを過ぎて焦る担当編集者の野中が駆け付ける。

酒を持ち込めないよう管理されている個室の病室のなかで、2日後、酩酊している宇治川が発見された。室内から酒や、液体容器は発見されなかった。宇治川はどのようにして酔い潰れたのか……。


Karte. 02 神のハンマー

小鳥遊の大学時代、空手部のコーチだった早坂翔馬がキックボクシングの日本タイトルマッチに挑戦する。当時の部の主将だった轟勇人がリングドクターを、部の後輩だった轟の妹、現在早坂の妻・律子がセコンドを務める。早坂は10年前、チャンピオン目前で大怪我して、今日、チャンピオン不破雷也に挑戦する最後のチャンスをつかんだ。奇跡の反撃で勝利のベルトを巻いた早坂は崩れ落ちた。轟は心臓マッサージをしながら除細動器を操作する。しかし、早坂は搬送先の天医会総合病院で死亡したが、頭蓋内に大量の出血はなく、死因が不明だった。

 

エピローグ

 

本書は新潮文庫書き下ろし。

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

寝転んで読んで、著者に騙されて、楽しむ分には良いが、謎は医学を良く知らないと解明できないし、わざとらしい天久のキャラにも乗っていけない。

 

《天久鷹央》シリーズは初めて読むのだが、登場人物のキャラが極端で、漫画チック。私の好みには合わない。謎解きも、無理筋で、医学的にはその通りなのかもしれないが、素人にとっては予想できない謎になっている。

 

 

知念実希人(ちねん・みきと)の略歴と既読本リスト

 

 

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3月9日、井の頭公園の花模様

2021年03月10日 | 散歩

 

3月9日(火)10時ごろ、井の頭公園を散歩した。

 

定点の桜観測地点1のひょうたん橋からの桜。彩り何もなし。

 

2019年3月28日はこんなに見事だった。

 

「お! 咲いている」と思ったが、コブシの花。

 

他に彩りと言えば、スイセンのみ。

 

七井橋ふもとの定点の桜観測地点2。相方は「ただの棒ね」と切り捨てた。

 

2019年3月28日にはこうだった。

 

でも、よく見ると、蕾が。

 

拡大すると、けっこう膨らんでいる。

やはり、満開は3月末か?

 

番外編で公園内の都立公園用のマンホールの桜

 

 

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東野圭吾『殺人現場は雲の上』を読む

2021年03月09日 | 読書2

 

東野圭吾著『殺人現場は雲の上 新装版』(光文社文庫ひ-6-20、1990年8月20日初版・2020年8月20日新装版発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

新日本航空スチュワーデスのABコンビといえば、エー子こと早瀬英子、ビー子こと藤真美子の二人組。ルックスも性格も正反対の二人は社内でも有名な大の仲良し。しかし、二人がフライトで遭遇するのは奇妙な謎だった!? ホテルで殺された乗客、シートに残された赤ちゃん、遺書の落とし物……。聡明なエー子とおっちょこちょいなビー子の二人が推理に挑む!

 

国内便スチュワーデス(CA)の早瀬英子(エー子)と藤真美子(ビー子)が活躍する7編の短編集

 

登場人物

早瀬英子:エー子。新日本航空のスチュワーデス(デス)。東大中退、才色兼備、控え目。

藤真美子:ビー子。新日本航空のデス。三流短大卒、顔も目も円い。

北島香織:新日本航空のチーフスチュワーデス。二人の先輩で、特にビー子を厳しく指導する。

浜中:新日本航空のパイロット・機長、禿げ、肥満。

小塚:新日本航空のパイロット・機長

佐藤:新日本航空のパイロット・副操縦士(コウ・パイ)。彫りの深いマスク。

遠藤新:日本航空の客室課長

金子博子:新日本航空の客室課首席

 

 

「ステイの夜は殺人の夜」

クルーが泊まった鹿児島のホテルのスナックで乗客だった本間と一緒になる。夫人は部屋で休んでいると、彼はサンドウィッチを注文して届けさせた。夫人は絞殺死体となって発見された。容疑者には、サンドウィッチの消化から推定される死亡時刻にはアリバイがあった。

 

「忘れ物に御注意ください」

赤ん坊連れ25組が二人が乗務した機に乗ってきた。羽田に到着後忘れ物があった。赤ん坊だった。乗る時も降りる時も人数確認し問題なかったのに、なぜ一人の赤ん坊が残ったのか?

 

「お見合いシートのシンデレラ」

CAと向かい合わせの席をお見合いシートという。なんとビー子はお見合いシートで中山に電話番号を聞かれた。その後、運転手・田村付きの車でデートに誘われた。中山の資産は約20億年だという。親戚へのお披露目会にはエー子も招かれた。なぜビー子が選ばれたのか、結婚式でその理由が明らかになる。

 

「旅は道連れミステリアス」

エー子は、東京での同窓会へ出席するという旧知の和菓子屋『富屋』の当主・富田と言葉を交わした。離れた席でビー子は30歳前の女性・堀井から浜松町のホテルを尋ねられ、Sホテルを教えていた。翌日二人はSホテルで刺殺死体で発見された。痴情の果ての無理心中だろうか?

 

とても大事な落し物

二人が乗務する機内のトイレに署名がない遺書が落ちていた。早く落とし主を見つけ自殺を阻止しなくては。遺書には踏まれた跡があった。

 

「マボロシの乗客」

新日本航空に脅迫電話が掛かってきたが、悪戯電話だと思われた。

 

「狙われたエー子」

エー子が何者かに命を狙われたが、思い当たる節がない

 

1989年8月実業之日本社刊、1992年8月光文社文庫

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

短編なので深さはないが、軽く、仕掛けを推理しながら楽しく読める。ただそれだけと言えば言える。

 

 

東野圭吾の略歴と既読本リスト

 

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藤野千夜『じい散歩』を読む

2021年03月07日 | 読書2

 

藤野千夜著『じい散歩』(2020年12月20日双葉社発行)を読んだ。

 

本の題名は、2012年まで6年続いた地井武男のTV番組「ちい散歩」のもじり。

大工から一時は建設会社を経営するようになった89歳の明石新平は今では朝の散歩が日課だ。幼馴染と言ってよい88歳の妻・英子はどうも認知症が始まっているようで、なにかというと、出かける新平に「富子に会うんでしょ」と非難する。昔浮気がばれてとっちめられた新平は、いまだに女性には愛想がよい。


長男の孝史(たかし)は高校中退後、55歳の現在まで2階で引きこもり。次男の健二は独立してフラワーアーチストになっているのはいいが、恋愛対象は男性で自称「長女」。三男の雄三は、グラビアアイドル撮影会のイベント会社を興したが、日常的に赤字で、限りなく金を無心する。多額の借金を抱えながら、なんの邪気もなさそうなのが空恐ろしい。

 

新平の5歳下の弟の定吉は大手の建設会社勤務だし、英子の姉でシングルマザーのすみれ姉の娘・さなえは、と言ってももう60歳だが、一時期3人の息子の世話をしてもらっていたこともあり、いまだに行き来がある。

息子が3人いても誰も結婚せず、孫もナシ。相変わらず浮気妄想にかられる英子の話を否定するより、まず話を聞いた方が良いと健二からアドバイスされたが、新平は大正生まれのわがままな長男、共感重視のコミュニケーションは難しい。「バカか」と言い捨てて、今日も散歩に出る。

 

「…こんな家族は、嫌だとお思いでしょう? でも、この家族は実在します。……私、明石新平は九十四、妻の英子は九十三歳になりました……」と終わる。

 

 

初出:第一話は「文學界」2018年2月号、その他は「小説推理」2019年12月号~2020年9月号

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

困った息子たち、どんどんおかしくなる古女房、でも平然と、建物を愛で、喫茶店で一休みし、女性にちょっかいを出し、姿勢よく元気に一人散歩をゆったりと楽しむ90歳にならんとする新平。

 

武骨でエロい大正生まれの頑固者の新平、社会の負け組だろう3人の息子たち。ぼけ始め浮気の疑念に取りつかれた英子まで、結局なんだか楽しそうに思えてくるな一家のお話。「いいじゃない」

 

 

藤野 千夜(ふじの・ちや)
1962年福岡県北九州市生まれ。麻布中学校・高等学校、千葉大学教育学部卒業。
漫画雑誌の編集者を経て、

1995年「午後の時間割」で海燕新人文学賞を受賞し小説家デビュー。
1996年『少年と少女のポルカ』で野間文芸新人賞候補
1998年『おしゃべり怪談』で野間文芸新人賞受賞
1999年「恋の休日」で芥川賞候補
2000年「夏の約束」で芥川賞受賞(同性愛者のカップルを中心に現代の若者風俗をえがいた)
2006年『ルート225』が映画化
その他、『中等部超能力戦争』『時穴みみか』『D菩薩峠漫研夏合宿』『編集どもあつまれ!』『君のいた日々

スカートをはいて会社に行き、首になった実績があり、女性として生活。

 

 

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凛とした女性たち 

2021年03月06日 | その他

 

五木寛之の『ふりむかせる女たち―忘れえぬ女性(ひと)たち』を紹介した11年前の私の2009年のブログを読んでいて、よみがえった思い出を以下に書いてみたい。

 

五木さんがまだ「青年のしっぽをくっつけていた頃」に外国で出会った何人かの女性たちについて書いた本で、いずれの女性も、厳しい環境の中で、せつないほど凛としていて、矜持がある魅力的な女性たちだ。

 

「マンハッタンの雪の夜に」

ニューヨークの地下のレストランのカウンターで隣り合わせた老婦人は、「私も作家なのよ。・・・まだ一冊の本も出版してないけど・・・」「子どもたちが大学を出て、それぞれちゃんと独立してやって行けるようになったもんだから、それから書きはじめたのよ」・・・「さあ、そろそろ帰ってタイプを打たなきゃ。夜おそくまで寒い部屋で仕事を続けるのって、いい気持ちね。作家であることの充実感をおぼえて、人生ってすばらしいわ、とつぶやいたりするの。だって、わたしには目標があるし、それに向かって努力する力がまだ残っているんですもの」と言う。

 

そして、五木さんは書く。

「まだ一冊の本も出していないけど、自分は作家なのだ、と、何のためらいも、てらいもなく言い切るその老婦人に、ぼくはアメリカ人の或る良き一面をかいま見せられたような気がしたものです。」「雪の晩、かじかむ指に息を吐きかけながらタイプを打ちつづける老無名作家のイメージは、ぼくを勇気づけ、もっとがんばらなくては、と、自分に言いきかせる力を持っているのです。」

 

 

私自身も「いつか小説を書いて」と夢想することはある。ただ、一行目を書くとあとはすらすら出てきて止まらなくなると思っているので、ためらっているのだ。 なんちゃって、私のような軟弱男と違い、かの国の女性は自信満々、胸を張って大股で街を闊歩している。そうしなければ、厳しい競争社会の中で生きていけない不安に押しつぶされてしまうので、必死で凛としていなければならないのだろう。

 

「バルセロナの大和撫子」

五木さんは語る。「ぼくは日本人として、すばらしい日本女性が次々と異国の男性にさらわれていくのを、心やすらかに手をこまねいて見ている気はしません。そういうときは、なぜか急に愛国者になってしまうのです。」

 

私のブログ「フリーマントルへ」に以下のようなことを書いている。
朝食後、オーストラリア西海岸のフリーマントルへ車で行った。出店をひやかしていたら、美人で理知的な日本人女性と、頼りなさそうだがやさしそうなオーストラリア人のパートナーが売っていたカセットを利活用した財布が目に付いた。

 

「日本人女性のパートナーを見ると、2タイプのどちらかだ。一つはやさしいが、お金を稼げない人。もう一つは、お金は稼ぐが、とても厳しい人だ」と言っていた人がいた。

 

それにしても、いつも思うが、素敵な日本女性はみんな外人さんに持っていかれてしまう。なんとかならないものだろうか。私は既に一人だけ確保しているので、それ以上は無理なのだ。

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ジョン・ル・カレ『スパイたちの遺産』を読む

2021年03月05日 | 読書2

 

ジョン・ル・カレ著、加賀山卓朗訳『スパイたちの遺産』(ハヤカワ文庫NV1460、ル41-26、2019年11月15日早川書房発行)を読んだ。

 

裏表紙にはこうある。

引退生活を送るピーター・ギラムは、かつて所属していた英国情報部から呼び出された。冷戦期の射殺事件の遺族が、親の死亡原因は英国情報部、そしてギラムとその師スマイリーにあるとして訴訟を起すというのだ。厳しい追及を受け、ギラムはやむなく極秘資料を渡すが……。やがて明かされる衝撃の事実とは? 名作『寒い国から帰って来たスパイ』『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』の続編! 解説/上岡伸雄

 

ピーター・ギラムは、かって英国情報部の組織“サーカス”のチーフであるコントロールのもと、ジョージ・スマイリーの下で活躍していたが、老齢となりフランス・ブルターニュの村で引退生活を送っていた。

 

ある日、英国情報部からロンドンに呼び出され、東西冷戦時の有効な情報源確保である<ウィンドフォール>作戦⦅『寒い国から帰って来たスパイ』の中で英国情報部員アレック・リーマスが遂行した作戦⦆について詳細に問いただされた。リーマスと、その恋人エリザベス(リズ)・ゴールドがベルリンの壁で東ドイツ側に射殺され、リーマスの息子・クリストフと、エリザベスの娘・カレンが、その死亡責任は英国情報部にあるとして訴訟を起こそうとしている。

 

<ウィンドフォール>作戦の資料は消えていて、スマイリーも行方知らずで、ピーターは責任を問われそうで、厳しい追及を受ける。追及担当は、英国情報部の弁護士で“歴史”担当のローラと法務課長のバニーだ。パスポートを取り上げられ、追い詰められたピーターは<ウィンドフォール>専用のロンドン市内の隠れ家セーフハウス、通称スティブルズの場所を教えざるを得なかった。いまだにそこにはミリー・マクレイグが住んで、管理していた。そして、徐々に……。

 

当時英国情報部は、ジョージ率いる<隠密>グループと、後に二重スパイを分かるビル・ヘイドン率いる<委員会>は激しく権力を争っていた。

<メイフラワー>=カール・リーメック:英国情報部東欧ネットワークの中心人物。

<チューリップ>=ドリフ・ガンプ:同ネットワークの一員の女性。息子はグスタフ。

エマヌエル・ラップ:元シュタージ高官。ドリスの上司。

ハンス=ディーター・ムント:元シュタージの副長官。フィードラに対抗。

ヨーゼフ・フィードラ:元シュタージ対敵諜報課長。ムントに対抗。英国情報部の情報源。

タビサ:ピーターの弁護士

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

さすが、実際に英国情報部のスパイだったル・カレの作品だ。絵空事でなくリアル感が充実。その分、裏切り、だまし合いなど複雑怪奇な人間関係の糸がからまっていて、ややこしい。会話も、裏の裏の読み合いで、面白いのだが、読むのにくたびれる。
スパイ物だが、撃ち合い、取っ組み合いも少なく、リアルだ(想像するに)。

 

ちなみに私はル・カレの作品を読むのは初めてで、関連の前作の知識がないので、本作品も理解しにくい点が多く、もどかしい思いをした。

 

 

ジョン・ル・カレ John le Carre (1931年10月~2020年12月)

イギリスのドーセット州生まれ。オックスフォード大学卒業後、イートン校で教鞭をとる。東西冷戦期にイギリスの諜報機関MI5に入ったが、MI6に転属し、旧西ドイツのボンにイギリス大使館の二等書記官として赴任、その後ハンブルクの総領事館に勤務した。

1961年に『死者にかかってきた電話』で小説家としてデビュー

1963年、第三作の『寒い国から帰ってきたスパイ』でアメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞と英国推理作家協会(CWA)賞ゴールド・ダガー賞受賞
スマイリー三部作『ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ』(1974年)、『スクールボーイ閣下』(1977年、CWA賞ゴールド・ダガー賞受賞)、『スマイリーと仲間たち』(1979年)が人気。
最新作(最後作)は2020年7月『スパイはいまも謀略の地に』


加賀山卓朗(かがやま・たくろう)
1962年生、東京大学法学部卒、英米文学翻訳家

訳書、ル・カレ『地下鉄の鳩』、シズマン(共訳)『ル・カレ伝』

 

 

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2月(2)の花

2021年03月04日 | リタイヤ生活

 

2月26日に届いた花

まだ蕾の4本のチューリップ、ほころびかけの左の3本のアネモネ、真ん中に聳える白い2本のストック、2本のタマシダ。

 

翌日には一挙に華やかに。

 

早くもチューリップが開いた。オレンジ色のチューリップは八重だ。

 

アネモネも精一杯開いた。かねもねえ のに。

 

ストックが何かバレリーナのようだ。ストックって、花房は円錐形じゃなかった?

 

2日後の28日には最盛期? ストックもはぼ円錐形に咲きそろった。

 

チューリップを真上からパチリ。精巧にできていて驚異。

 

アネモネは夜に閉じる。

 

 

 

 

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湯川豊編『須賀敦子エッセンス2』を読む 

2021年03月03日 | 読書2

 

湯川豊編『須賀敦子エッセンス2 本、そして美しいもの』(2018年7月30日河出書房新社発行)を読んだ。

 

イタリア文学者でエッセイの名手だった須賀敦子のかっての担当編集者・湯川豊が、須賀敦子没後20年を記念して全集から厳選、編纂した短編集。『須賀敦子エッセンス 1 仲間たち、そして家族』に続くそのⅡ。

 

Ⅰ 本 須賀敦子の本との出会いを描く9篇/ Ⅱ 美しいもの 8編/ Ⅲ サバの詩7篇/解説――読む少女の行方 湯川豊

 

パリの図書館を訪ねながらフィレンツェの図書館を思い出していた。

ふたつの国の言語をまもりつづける、それぞれの国の図書館が、自分のなかで、どうにかひとつのつながりとして、芽をふくまでの、私にはひどく長いと思えた時間の流れについて考えていた。枠をおろそかにして、細部だけに凝り固まっていたパリの日々、まず枠を、ゆったりと組み立てることを教わったイタリアの日々。さらに、こういった、なにやらごわごわする荷物を腕いっぱいにかかえて、日本に帰ったころのこと。二十五年がすぎて、枠と細部を、貴重な絵具のようにすこしずつ溶かしては、まぜることをおぼえたいま、私は、ようやく自分なりの坂道の降り方を覚えたのかもしれなかった。(p173)

(この部分、パソコン入力して、須賀さんの文章は、漢字を避けてひらがなで書く場合が多く、読点も多いことに気がついた。でも、この文章は読みやすくはない。)

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

『須賀敦子エッセンス 1 仲間たち、そして家族』には、はるか昔にイタリアで出会い、仲間となった多くの魅力的な人たちが、哀愁をもって描かれていて、私を魅了した。しかし、この本は、須賀さんの本との出会い、なつかしいイタリアの町の訪問記が主体である。少女時代の本との出会いには、「ふむふむ」と引き込まれたが、イタリアの町の散策、仲間とまでは言えない影響を受けた人々の話は、興味はあってついつい読み進めてしまったが、入れ込むほどではなかった。

 

 

須賀敦子の略歴と既読本リスト

 

 

湯川豊(ゆがわ・ゆたか)

1938年新潟生まれ。慶應義塾大学卒業後、文藝春秋入社。須賀敦子担当の編集者だった。「文学界」編集長、同社取締役を経て東海大学教授、京都造形芸術大学教授を歴任。

2010年『須賀敦子を読む』で読売文学賞。

著書、『須賀敦子エッセンス 1 仲間たち、そして家族』、本書、『イワナの夏』『本のなかの旅』『丸谷才一を読む』『星野道夫・風の行方を追って』など。

 

須賀の編集者だった湯川は「解説」で須賀の文章の秘密について以下のように書いている。

須賀は夫の死後1971年に帰国してから8年後に、ナタリア・キングズブルグの『ある家族の会話』の翻訳し、連載した。完了後、進められて最初のエッセイ『ミラノの霧の風景』を書いた。

ナタリアは文章を「読むように」書けばよいのだと気付き、彼女の新しい文体を作り上げた。須賀はナタリアの翻訳作業を進める中で、より自分の思うような文章が書けるようになって、長いあいだ書きたいと思っていたエッセイを書いたと思われる。

「ひとが、自分の体の一部にとりこめるような文章を読む。あるいは、体の一部にとりこめるように、読む。そして、そういう文章を書くということが、「読むように」書く、ということではないか。」と湯川は考えている。

 

 

 

巻末にある7篇のサバの詩よりも、分かりやすいジョッティの詩(p204)が気に入った。

 

「ヒヤシンスの記憶」

 

白と薄むらさきの

二本のヒヤシンス、さっき

ぼくにくれながら、ちょっと

笑ってた、きみに似ている。

蒼い顔して、白い歯をみせ、

しっかりとぼくにさしだしながら。

いま、コップのなかで蒼ざめて咲く

花たち、色あせた壁を背に、

窓からはいって、すりへった石の上を

よこぎっていく日のひかりのとなりで。

すべてのなかで燦めいているのはあの

蒼ざめた薄むらさきだけ。夜あけが

残した、ひとつの炎。

よい匂いが、家にあふれる。

まるで、ぼくたちの愛のようで、

それ自身は、ほんとうになんでもなく、

ただ蒼いという、それだけだが。燦めく蒼さで、

燃える蒼さで、希望とおなじ、いい匂いで。

ぶと、気づくと、胸いっぱいにひろがる、

その匂い。ぼくの家が、きみの家で、

きみとぼくとが、テーブルに

クロスをいっしょにひろげ、

ぼくたちが準備しているのを

ちっちゃな足で、背のびして

のぞく、だれかさんが、いて。

 

ほほえましい幸せいっぱいの詩だ。しかし、ジョッティは晩年、二人の息子をロシア戦線で亡くし、妻は精神を病んだという。詩に出てくるテーブルクロスを共に広げた妻と最後に出てくる息子を。

「燦めく」はきらめくと読むなら、「煌く」ではないのか?

 

 

無辜(むこ):罪のないこと。(ご無沙汰で失礼しました)

 

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筒井康隆『短編小説講義』を読む

2021年03月01日 | 読書2

 

筒井康隆著『短編小説講義 増補版』(岩波新書(新赤版)1792、1990年6月20日発行、2019年8月22日増補版発行)

 

表紙裏にはこうある。

「短篇小説を書こうとする者は,自分の中に浸みこんでいる古臭い,常識的な作法をむしろ意識して捨てなければならない」。その言葉どおりに数かずの話題作を生み出してきた作家が,ディケンズら先駆者の名作を読み解き,黎明期の短篇に宿る形式と技法の極意を探る。自身の小説で試みた実験的手法も新たに解説する増補版。

 

目次

1 短篇小説の現況

形式上の束縛を嫌い、より自由に書こうとして生まれた文学形式こそが小説だった。しかし、とくに日本では
短編小説はお稽古事化していて、カルチャーセンターなどで短編小説作法として教えられている。

近代小説というジャンルが確立していなかったときの、現今の短編小説作法の枠から大きくはずれたものを紹介する。

2 ディケンズ「ジョージ・シルヴァーマンの釈明」
3 ホフマン「隅の窓」
4 アンブロウズ・ピアス「アウル・クリーク橋の一事件」
5 マーク・トウェイン「頭突き羊の物語」
6 ゴーリキー「二十六人の男と一人の少女」
7 トオマス・マン「幻滅」
8 サマセット・モームの短篇小説観

9 新たな短篇小説に向けて

ぼくの理想の短編小説とは……孤高に存在し、誰にも真似られることのない短編小説。そのためにはその独特形式と技法がそのテーマや内容によってしか生かされず、他のいかなるものにお応用のきかない短編小説。それがぼくの理想である。(p150)


10 ローソン「爆弾犬」
11 筒井康隆「繁栄の昭和」
⦅増補版で追加⦆

あとがき

増補版あとがき

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

お勧めの短編小説作法を求めているわけではないのだが、ただ従来にない新しい形というだけでは、基礎的小説作法も知らないド素人ははぐらかされた感が強く残るだけだ。

筒井さんは、「最も新しい小説を書くためには、過去の小説、現在の小説を大量に読み、飽きあきしなければならない」と言うが、そんなことできない。そもそも、私は新しくて面白くない小説より、新しくなくても面白い小説を読みたいのだ。ただ、昔々、カフカの『変身』を読んだとき、変な小説と思ったが、芋虫になったのにあっさり受け入れてしまうなど変に面白かった。同じような面白味だけだと飽きるので、新しい面白さを教えてくれる小説が確かに最高なのだろう。

 

例題として提示されている短編小説が面白くないし、上手とも思えない。枠を外れている例として挙げられているのだが、それにしてももっと他になかったのだろうか。

 

 

筒井康隆(つつい・やすたか)
1934年大阪に生まれ。同志社大学文学部卒業。

主な著書、『時をかける少女』『大いなる助走』『虚人たち』『文学部唯野教授』『虚航船団』『旅のラゴス』『不良老人の文学論』『創作の極意と掟』など。

 

 

世故(せこ)い

 

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