hiyamizu's blog

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久坂部羊『砂の宮殿』を読む

2023年04月21日 | 読書2

 

久坂部羊著『砂の宮殿』(2023年3月17日KADOKAWA発行)を読んだ。

 

KADOKAWAの紹介文は以下。

「6,000万円ぐらい、命の値段としては高くもないだろう」

外科医の才所准一は、大阪で海外富裕層向けの自由診療クリニックを運営している。
抗がん剤・免疫療法の趙鳳在、放射線科の有本以知子、予防医学の小坂田卓という優秀な三人の理事とともに最先端のがん治療を提供し、順調に実績を重ねていたところ、久しぶりに訪ねてきた顧問が不審死を遂げる。
これは病死か事故か、それとも――。
高額な治療費への批判も止まず、クリニックに吹き荒れる逆風に、才所はどう立ち向かうのか。

 

 

カエサル・パレスクリニックの理事

才所準一(さいしょ):クリニックの設立者で理事長。44歳。がん細胞を可視化する「CCC法」(トリプルシー・メソッド)を実用化し、ロボット手術が得意の外科医。アメリカ人の妻との離婚経験者。

 

有本以知子(いちこ):BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)が専門の放射線科医。40歳。才所と同じくジョンズ・ホプキンス大学病院に留学していた。潔癖すぎる性格で周囲と軋轢を生みやすい。

 

趙鳳在(チョ・ボンジェ):才所の大学時代の同級生で、抗がん剤と免疫療法を担当。叔父は韓国財閥カエサルグループの会長で、クリニックの建設資金を提供。品が良く温厚。

 

小坂田卓(おさかた・すぐる):予防医学の専門家。遺伝情報からAIで将来の病気を予測する富裕層向けの「ゲノム未来ドック」(健診部門)を担当。シニカルでドライな性格。41歳。

 

 

元大学の学長でクリニックの顧問の福地が大学で助手だった草井をクリニック雇用するようにとやって来たが、二人で帰る途中、駅のトイレで福地は倒れ、運ばれたクリニックで死亡する。遺族は死因に疑問を持つ。

 

才所は、30代前半の上方舞の雅志乃(まさしの)と知り合う。彼女はヤクザの若頭の愛人だった過去があった。

 

すい臓がんで、米国、独で手術は無理と言われたドバイの大金持ちが、才所の手術、趙の抗がん剤治療、有本のBNCTを受けて退院した。

 

そして、独立ジャーナリストの矢倉がうろつきまわり、週刊誌がクリニックの噂をばらまく。さらに儲け第一の才所と、患者第一の有本、趙に亀裂が生じ始める。

 

 

初出:1~7は「小説 野生時代」2022年4月号、以降、73まで書下ろし

 

 

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読むの?  最大は五つ星)

 

登場人物が類型的など、通俗的過ぎる。面白く読めるが、テーマが何だったのかが、読み終わってわからなくなった。

医師の名声、病院の利益と患者のリスクのバランス等に悩む才所に、「まだ若いなあ」と思っていたのに……。

 

手術の状況説明などは臨場感があって面白かった。

 

 

久坂部羊の略歴と既読本リスト

 

コメント
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