一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

きょう2月21日は、木村義雄十四世名人の生誕日

2023-02-21 23:12:36 | 男性棋士
きょう2月21日は、木村義雄十四世名人の生誕日。名人は1905年生まれだから、今年で生誕118年になる。
木村十四世名人の偉業はあらためて述べるまでもない。実力名人制初の永世名人であり、将棋界の礎を作った人物でもある。
木村十四世名人の実力はいかほどだったのか。大山康晴八段や升田幸三八段に名人戦で勝利しているから、やはり相当な強さだったと推測される。
文筆にも長けており、23歳のときには、駒落ち全集「将棋大観」を上梓。その定跡は現在でも広く指され、後年復刻もされた。文字通り、不朽の名著である。
ただ私の年齢でも、木村十四世名人の動く姿はほとんど見ていない。引退後は、朝日新聞社前での名人戦大盤解説が評判だったというが、私は当然見ていない。
テレビでは、早指し将棋選手権のある回で、解説者が大内延介八段(当時)だった。そのときなぜか木村十四世名人が別室にいて、大内八段に「解説がうまいね」と褒め、大内八段がとても恐縮していたのを憶えている。
このあたり、いまの若い将棋ファンが大山十五世名人の動く姿を見ていないのと、同じ感覚だろうか。
ところで私は、木村十四世名人の子孫の方にお目にかかったことがある。その方は目もとのあたりが十四世名人にそっくりで、気品が感じられた。
木村十四世名人は1986年、満81歳の盤寿の年の、11月17日に逝去。言うまでもなく、同日は「将棋の日」である。ヒトは原則的に、亡くなる日は選べない。それなのにこの命日は奇跡的で、将棋の神様がこの日を選んだとしか思えない。まさに将棋一代の人生であった。
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折田五段の成績はどうなっている・4

2023-02-20 23:24:13 | 男性棋士
昨年12月19日に、「折田五段の成績はどうなっている・3」を書いた。それから2ヶ月経ち、何局か対局があった。では、12月20日以降の成績を付加しよう。

5月19日 第94期棋聖戦一次予選1回戦 ○矢倉規広七段
5月19日 第94期棋聖戦一次予選2回戦 ●牧野光則六段
5月27日 第12期加古川青流戦2回戦 ○小山直希奨励会三段
6月23日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦4回戦 ○杉本和陽五段
7月7日 第8期叡王戦四段戦2回戦 ●徳田拳士四段
7月19日 第12期加古川青流戦3回戦 ●里見香奈女流五冠
7月28日 第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○伊奈祐介七段
7月28日 第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ●村田顕弘六段
8月15日 第64期王位戦予選1回戦 ●安用寺孝功七段
8月25日 第31期銀河戦予選1回戦 ○藤原直哉七段
8月25日 第31期銀河戦予選2回戦 ●阪口悟六段
9月7日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦5回戦 ○森下卓九段
9月20日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦決勝 ●石川優太五段
10月6日 第35期竜王戦5組5位決定戦 ○南芳一九段
10月20日 第71期王座戦一次予選1回戦 ○中田功八段
11月2日 第71期王座戦一次予選2回戦 ○池永天志五段
11月18日 第71期王座戦一次予選3回戦 ●都成竜馬七段
12月27日 第36期竜王戦ランキング戦4組1回戦 ●船江恒平六段
1月13日 第49期棋王戦予選1回戦 ○島本亮五段
1月17日 第73期王将戦一次予選1回戦 ○浦野真彦八段
2月3日 第49期棋王戦予選2回戦 ○谷川浩司十七世名人
2月16日 第73期王将戦一次予選2回戦 ○都成竜馬七段
(今年度13勝9敗)

竜王ランキング戦4組で船江六段に屈したが、その後4連勝。とくに、谷川十七世名人、都成七段に勝った星が光る。
前回、記事のおわりに「(フリークラスを脱出するには)都成七段のような若手実力者にも勝たないと、目標は達成できない」と書いた。そこで都成七段に雪辱を果たしたのは素晴らしい。
そして問題のフリークラス脱出だが、例の「年度18勝12敗」は、来月までにあと5勝(3敗)が必要である。今月に行われるであろうNHK杯予選がカギで、ここで3連勝すれば、一気に道は開ける。反対にこの1回戦で負ければ、今年度の脱出はない。
それよりも、直近が7勝2敗なので、もうひとつの条件「いい所取り20勝10敗(など)」を狙うのがいいと思う。これなら期間に関係なく、以降を「13勝8敗」で行けばよい。これはもう、十分に現実的な数字である。
逆に、このチャンスがモノにできないようなら、フリークラス脱出は当分先になる。
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中田宏樹八段、逝去

2023-02-15 23:03:38 | 男性棋士
2月7日、中田宏樹八段が死去した。享年58歳。
将棋界には3人の「中田八段」がいるが、最も「玄人受け」する将棋が宏樹八段だったと思われる。
中田宏樹八段は1985年四段。デビューからよく勝ち、1986年度は40勝14敗で、羽生善治四段といっしょに勝率第一位賞(.741)を獲得した。
1991年、第32期王位戦で、谷川浩司王位への挑戦権を得る。第1局、第2局と連勝して世間をあっと言わせた。惜しかったのは第5局。二枚竜を作って必勝の局面を作ったが、寄せ損ねて逆転負けした。七番勝負はこの敗戦が響き2勝4敗で敗退したが、もし第5局を勝っていたら、新たなタイトルホルダーが生まれていたかもしれない。
2002年、第15期竜王戦で、挑戦者決定三番勝負に登場。だが、阿部隆七段に1勝2敗で敗れ、長蛇を逸した。
そして最近、中田八段の将棋で注目されたのが、2019年・第32期竜王戦の、ランキング戦4組・藤井聡太七段戦だった。
将棋は相矢倉になった。序盤から中田八段の構想が冴え、終盤まで来て中田八段の必勝形。
そこで藤井七段に、棋史に残る銀捨ての鬼手が出た。中田八段は▲同竜と取ったが、これが痛恨の敗着。藤井七段に逆転の一手が出て、中田八段は涙を呑んだ。
中田八段は公式戦通算770勝で、自慢の勝局はいっぱいあるはずだ。だが中田八段には、痛恨の敗局に名局が多かった。

冒頭に戻り、私は恥ずかしながら、中田八段が休場していたことを知らなかった。そんなに体調が悪かったのか。
それにしても58歳は早い。喪主がご母堂というのも虚しさが募る。独身主義者だったのか離婚経験者だったのかは知らぬが、「独身者は既婚者より寿命が短い」という事実を突きつけられた気がして、あすは我が身と、胸が締め付けられる思いだった。
携帯電話もパソコンも持たなかったとは素晴らしい。周りに迎合せず、自身が信じる道を突き進んだ。
日本将棋連盟は10日、中田八段に九段を追贈した。孤高の九段に、合掌。
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折田五段の成績はどうなっている・3

2022-12-19 23:29:27 | 男性棋士
8月16日に「折田四段の成績はどうなっている・2」を書いたが、その後の成績はどうなったのだろう。ちょっと書いてみよう。

5月19日 第94期棋聖戦一次予選1回戦 ○矢倉規広七段
5月19日 第94期棋聖戦一次予選2回戦 ●牧野光則六段
5月27日 第12期加古川青流戦2回戦 ○小山直希奨励会三段
6月23日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦4回戦 ○杉本和陽五段
7月7日 第8期叡王戦四段戦2回戦 ●徳田拳士四段
7月19日 第12期加古川青流戦3回戦 ●里見香奈女流五冠
7月28日 第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選1回戦 ○伊奈祐介七段
7月28日 第16回朝日杯将棋オープン戦一次予選2回戦 ●村田顕弘六段
8月15日 第64期王位戦予選1回戦 ●安用寺孝功七段
8月25日 第31期銀河戦予選1回戦 ○藤原直哉七段
8月25日 第31期銀河戦予選2回戦 ●阪口悟六段
9月7日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦5回戦 ○森下卓九段
9月20日 第35期竜王戦5組昇級者決定戦決勝 ●石川優太五段
10月6日 第35期竜王戦5組5位決定戦 ○南芳一九段
10月20日 第71期王座戦一次予選1回戦 ○中田功八段
11月2日 第71期王座戦一次予選2回戦 ○池永天志五段
11月18日 第71期王座戦一次予選3回戦 ●都成竜馬七段

8月25日以降、8局指して5勝3敗。今年度は9勝8敗と、ひとつ勝ち越しになった。
この中で特筆すべきは竜王戦での昇級で、5組昇級者決定戦で石川五段に敗れたときは万事休したと思われたが、5位決定戦がまだあった。橋本崇載八段の引退につき昇級枠が増えたからで、3組以下の定員調整がここまで波及したのだ。
ここで折田四段は南九段に勝ち、ギリギリのところで昇級となった。しかも竜王戦の連続昇級により、五段に昇段した。これは快挙といっていい。
だが、フリークラス脱出でおなじみの「年度18勝12敗」の線はほぼ消えた。脱出にはとにかく爆発的な連勝をするしかないが、都成七段のような若手実力者にも勝たないと、目標は達成できない。
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堀口一史座七段、ついに八段昇段!!

2022-12-16 22:40:45 | 男性棋士
八段昇段まで「あと1勝」に迫っていた堀口一史座七段(47歳)が、きのう15日に行われたC級2組順位戦・佐藤紳哉七段戦に勝ち、めでたく八段に昇段した。
では、あと1勝からの戦いぶりを見てみよう。

5月10日 題94期棋聖戦一次予選1回戦 ○石川陽生七段
5月10日 第94期棋聖戦一次予選2回戦  ●西尾明七段
6月16日 第81期順位戦C級2組1回戦 ●井田明宏四段
7月8日 第8期叡王戦七段戦1回戦 ●近藤正和七段
7月14日 第81期順位戦C級2組2回戦 ●古賀悠聖四段
7月21日 第16回朝日杯一次予選1回戦 ●藤森哲也五段
8月5日 第64期王位戦予選1回戦 ●石川陽生七段
8月12日 第81期順位戦C級2組3回戦 ●阿部光瑠七段
8月26日 第31期銀河戦予選1回戦 ●塚田泰明九段
9月9日 第81期順位戦C級2組4回戦 ●田中悠一五段
10月13日 第81期順位戦C級2組5回戦 ●横山友紀四段
10月17日 第71期王座戦一次予選1回戦 ●加藤桃子女流三段
11月10日 第81期順位戦C級2組6回戦 ●今泉健司五段
12月15日 第81期順位戦C級2組7回戦 ○佐藤紳哉七段

堀口七段はここ数年調子が悪いので、「あと1」になってもスンナリ昇段とはいかないと覚悟していたが、果たしてその通りになった。約7ヶ月、12連敗。相手棋士の内訳は、西尾七段はC級1組所属だが、ほかはC級2組かフリークラス、女流棋士だった。それでも難産だった。ちなみに七段昇段からは18年8ヶ月かかり、190勝329敗、勝率.366だった。
私は、勝ち星による昇段には否定的である。どんなに勝率が悪くてもそれは関係ないわけで、それは段位の価値を貶めている気がするのだ。
現行の規定では、引退してからでも昇段はあり、もはや何でもあり、の様相である。
だけど将棋ファンはよけいな口出しをせず、黙って受け容れればいいのだろう。
ともあれ堀口先生、八段昇段、おめでとうございます。
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