一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

66たび大野教室に行く(その3)・納得いかない

2014-05-13 00:14:16 | 大野教室
上手(平手)・植山七段
下手・一公

▲7六歩△8四歩▲7八飛△8五歩▲7七角△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△3二玉▲3八玉△3三角▲2八玉△2二玉▲3八銀△3二金▲6七銀△1二香
▲5六歩△1一玉▲7五歩△6四歩▲6八角△6三銀▲7六飛△2二銀▲7七桂△5二金▲5八金左△4二金右▲1六歩△8四飛▲5七角△5四銀▲1五歩△9四歩▲9六歩△2四歩
▲4六歩△2三銀▲3六歩△2二金▲3七桂△3二金右▲4五歩△4四歩▲同歩△同角▲4七金△4三銀▲4六金△5四歩▲8六歩△同歩▲8五歩△8二飛▲8六飛△1四歩(第1図)
▲同歩△1七歩▲同香△1四銀▲1六歩△1五歩▲同歩△同銀▲同香△同香▲2六銀△1二香▲4五金△1七香成▲3九玉△4七歩▲5八金△6五歩▲1四歩△1六成香
▲4四金△同銀▲4七金(第2図)

きょうは生徒が多いから、指導する棋士は大変である。ひとり終わればまたひとりと、どんどん生徒が入れ替わり、休むいとまがない。今後このような状況に陥ったときのためにも、何らかの改善策が必要である。
私の左ではHanaちゃんが飛車落ちで指導を受けている。△8七にと金を作られ下手が芳しくないと思ったら、飛車角を巧みに捌き、たちまち上手を投了に追い込んでしまった。
Hanaちゃん、お姉さんの活躍がいい刺激になっているのだろう。Hanaちゃんも早く女流棋士になってほしい。

植山悦行七段は端を攻める。私は得した銀を2六に打ち、防戦一方だ。
私の▲4五金にしばらく考えていた植山七段、「そうか、これが植山流か!」と叫び、△1七香成から△4七歩とした。
打たれてみて、なるほどと唸る歩だ。私など数時間考えても浮かばない(ただし△1七香成では、もちろん△1八香成もあった)。次に△2六角▲同歩△2八銀があるので、私は▲5八金と上がったが、これではつらい。
それでも▲4四金と角を取って▲4七金と歩を払い、下手十分と見ていたのだが…。

△5五歩▲6五歩△5六歩▲同銀△5二飛▲6一角△5六飛▲同飛△5五歩▲8六飛△5六銀▲同金△同歩▲同飛△5五歩▲8六飛△5八金▲6六角△2六成香▲同歩
△5七銀▲3四角成△4八金▲2八玉△6六銀不成▲1九飛△3三銀▲1二馬△同金▲1八香△3八金▲同玉△4七角(投了図)
まで、116手で植山七段の勝ち。

植山七段は「まあこうだな」と△5五歩。私は▲6五歩と落ち付く。植山七段△5二飛に▲6一角。飛車が逃げれば▲3四角成で、これが銀と成香の両当たりになる。
これで上手はどうするのだろうと見ていたら、植山七段は「ええい!!」と△5六飛と切ってきた。植山七段、ヤキが回ったのだろうか。私は笑顔で飛車を取る。正直、この将棋はもらったと思った。
ところが、再度の△5五歩以下の攻めが意外にうるさい。私は自然に応接しているが、どうも食い付かれている感じである。△5八金に▲6六角など、将棋の手として絶対におかしいのだが、代わる手も分からなかった。
そうして気がつけば下手玉は風前の灯である。上手ばかりが指し手を進め、下手の駒得もなくなった。私は▲1八香と据えもうひと頑張りするつもりだったが、平凡な△3八金をうっかり。キッチリ即詰みに討ち取られた。

感想戦では、私が47手目に▲4五歩といったのがやや軽率で、▲2六歩と突くべきと教えられた。さらにマズかったのが▲8六歩以下で、これは上手に歩を持たせただけの悪手だったようだ。「△8三歩は死んでも打てません」は、形勢我にあり、の植山七段の軽口だったのだ。
また終盤で△5六飛と切った手も予定で、
「大沢さんは私がやむを得ず飛車を切ったと思ったでしょうけど、これで十分指せると思いましたよ」
と植山七段。「これが穴熊なんです。(4四で)角金交換ならこちらもそんなに損してないし、大沢さんの(得した)銀もここ(2六)に打たされてるしねえ。そちらの飛車も働いてないし。だから最初から私がいいと思ってましたよ」
終盤は私も指せると思ったのだが、あれは大局観を誤っていたのか。「だからイビアナには振り飛車も穴熊にするしかないんですよ。コンピューターなら人間がイビアナを指しても振り飛車で十分勝てるけど、人間同士はそうはいかない。私なんかもそっちを持って、イビアナに何回負けたことか。あの形で勝てるのは大山名人(などの一部棋士)だけです」
植山七段、きょうは結構シビアである。「大沢さん、▲8六歩から私に1歩を持たせて、攻めていらっしゃい、とやったでしょ。あれが本当の隙になっちゃいましたネ」
私にそんな腹づもりはなかったが、植山七段はそう曲解したようだ。
…ということで振り飛車にまったくいい所なく感想戦は終わったが、私はいまひとつ納得できないでいた。振り飛車がイビアナ相手に穴熊しか対抗手段がないのでは、将棋が衰退してしまう。本局は私の指し手に問題があったはずである。
と、Fuj氏に話しかけられる。Hanaちゃんも女流王座戦に出場するのだが、対戦相手の対策に苦慮しているという。まあ勝負は時の運で、なるようにしかならない。自分の将棋を指せば、勝ち星もついてくるだろう。Hanaちゃんにも、女流王座戦の勝利の暁には、何かプレゼントを差し上げよう。
さて私は別所でひとり、対植山七段戦の研究をする。こういうとき、私は諦めが悪いのだ。
84手目△5五歩のとき、私は▲6五歩と取ったが、ここで▲4五歩はなかったか。本譜は△4四の銀に大暴れされたので、とりあえずは局面を収める意味である。
やがて大野八一雄七段、Fuj氏も交じり、3人でごちゃごちゃやっていると、それを見かねた植山七段が入り、未練の研究に付き合ってくれた。
しかし▲4五歩にも、△5六歩以下角を取って△5九角の筋があり、下手に芳しい変化は出なかった。ううむ…。
時刻は午後8時近くになり、植山七段はここで退席。だが私は、まだ納得がいかない。プロの教えだろうと何だろうと、理解不能なら納得しないのである。
たしかに△5五歩前後の局面は、我が美濃囲いは崩れ、銀は質駒になっており、飛車も遊び気味で、自慢できる棋勢ではなかった。ただそれにしたって、角香交換の駒得は小さくないのではないか。上手も攻め駒が豊富にあるわけではなく、下手だってまだまだ指せると思うのだ。
ただ▲4五歩は絶対に必要だと思う。では▲4四金△同銀と角金交換をした直後に▲4五歩と打ったらどうかと考えた。
(つづく)
コメント (2)
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