一昨年の夏からだか秋からだか、ふだんの生活の中で、「オエッ」とやるようになった。
オエッ、ゲホゲホ。
あまりにも頻繁にやるので両親も心配して、医者に診てもらえとうるさく言ってきたが、医者は怖くてかかれない。
そのうち2013年の区の検診になり、胃や肺の結果は「異状なし」だったので、そのまま何もせず放置していた。
ところが今年の区の検診の直前の3月中旬に、食道に強い違和感を感じ、私はついに、医者に診てもらった。
結果は「逆流性食道炎の疑い」の雰囲気。2週間分の薬を処方してもらった。
薬はよく効き、違和感もなくなった。またその後の区の検診でも「異状なし」となり、ほっと一安心したのである。
ところが最近、またも食道に違和感を感じるようになり、というか、以前にも増しておかしくなり…正確に書くと、食物が食道を通るとき、いかにも食物がそこを通りました、というイヤな存在感を感じるようになり、あまりにも気持ち悪いので、26日の終業後にかかりつけの医者に行ったわけだった。
今度は先生も只事ではないと見たのか、内視鏡検査を勧めてきた。3月の診察では、大学病院を紹介するようなことを言っていたので、そこで検査するのかと思いきや、その設備が当院にあるとのことだった。
しかし私は3月の区の検診でバリウムを飲んで、「異状なし」の診断を戴いている。あれはどうなのかと問うと、あれは胃を診るもので、食道は見ていないでしょう、とのことだった。
そう言われたら、私は内視鏡検査を受けるしかない。検査日は27日か29日と問われたので、27日を所望した。こんなもの先延ばしにしてプレッシャーを増大させるより、早いところ済ませてしまうほうがいいと考えたからだ。
内視鏡検査とは言うまでもなく、先端に小型カメラが付いている直径数ミリの管を鼻もしくは口から入れて、食道や胃を見て回る、というヤツである。
先日観たテレビでは、元宝塚の紫吹淳が鼻から管を通す形で内視鏡検査を受けていた。またその後観た別の番組でも、あるタレントが同じ検査で、鼻から管を通されていた。
現代の医学の進歩は目覚ましい。まあ、コンピューターが将棋のプロ棋士を平手で破る時代だ。医学界だって推して知るべしである。いまは「鼻から管」がふつうになっているのであろう。またそれは、鼻から管を通せるほど、管が細くなっていることも意味する。
これはありがたいことで、「口」より「鼻」のほうが患者の負担も少ないと思う。それでなくたって、私はふだんゲーゲーやっているのだ。喉に異物を通されて、ゲエホッ!! ウゲーーーー!! とやらない自信はなかった。
そして先生から改めて、事前の説明があった。内視鏡検査の手順や当日(つまり27日)までの準備である。いわく、「内視鏡を通す直前に、喉に麻酔薬を塗る」「前日(つまり26日)は夜9時までに食事を済ませる」「検査当日は水やお茶以外は飲まない」などであった。
さらに、同意書の記入も求められた。検査にはごくまれに、「偶発症」が起こるらしい。主なものは出血や穿孔(消化管に穴が開くこと)だが、死亡例もあるという。その可能性は0.0002%だが、あることはあるのである。今回の同意書はもちろん、不測の事態のための「保険」ということになろう。
最悪、27日が私の命日になるかもしれないが、いまさらジタバタしてもしょうがない。また内視鏡検査の結果、患部に悪性の腫瘍が見つかる可能性だってあるが、どんな結果になろうとも運命と割り切り、私は検査に臨むことにしたのである。
27日は午前8時45分に医者に出向いた。自宅から徒歩3分の距離だからラクだ。別に自慢するわけではないが、自宅からはスーパー、コンビニ、図書館、耳鼻科、幼稚園、小・中学校などが近距離にあり、とても便利なのだ。
診察室から別室に通されると、先生が
「この管を口から通します」
と言った。
エエッ!? 口から入れるの!? は、鼻から入れるんじゃなかったのか!?
私は愕然とした。
(つづく)
オエッ、ゲホゲホ。
あまりにも頻繁にやるので両親も心配して、医者に診てもらえとうるさく言ってきたが、医者は怖くてかかれない。
そのうち2013年の区の検診になり、胃や肺の結果は「異状なし」だったので、そのまま何もせず放置していた。
ところが今年の区の検診の直前の3月中旬に、食道に強い違和感を感じ、私はついに、医者に診てもらった。
結果は「逆流性食道炎の疑い」の雰囲気。2週間分の薬を処方してもらった。
薬はよく効き、違和感もなくなった。またその後の区の検診でも「異状なし」となり、ほっと一安心したのである。
ところが最近、またも食道に違和感を感じるようになり、というか、以前にも増しておかしくなり…正確に書くと、食物が食道を通るとき、いかにも食物がそこを通りました、というイヤな存在感を感じるようになり、あまりにも気持ち悪いので、26日の終業後にかかりつけの医者に行ったわけだった。
今度は先生も只事ではないと見たのか、内視鏡検査を勧めてきた。3月の診察では、大学病院を紹介するようなことを言っていたので、そこで検査するのかと思いきや、その設備が当院にあるとのことだった。
しかし私は3月の区の検診でバリウムを飲んで、「異状なし」の診断を戴いている。あれはどうなのかと問うと、あれは胃を診るもので、食道は見ていないでしょう、とのことだった。
そう言われたら、私は内視鏡検査を受けるしかない。検査日は27日か29日と問われたので、27日を所望した。こんなもの先延ばしにしてプレッシャーを増大させるより、早いところ済ませてしまうほうがいいと考えたからだ。
内視鏡検査とは言うまでもなく、先端に小型カメラが付いている直径数ミリの管を鼻もしくは口から入れて、食道や胃を見て回る、というヤツである。
先日観たテレビでは、元宝塚の紫吹淳が鼻から管を通す形で内視鏡検査を受けていた。またその後観た別の番組でも、あるタレントが同じ検査で、鼻から管を通されていた。
現代の医学の進歩は目覚ましい。まあ、コンピューターが将棋のプロ棋士を平手で破る時代だ。医学界だって推して知るべしである。いまは「鼻から管」がふつうになっているのであろう。またそれは、鼻から管を通せるほど、管が細くなっていることも意味する。
これはありがたいことで、「口」より「鼻」のほうが患者の負担も少ないと思う。それでなくたって、私はふだんゲーゲーやっているのだ。喉に異物を通されて、ゲエホッ!! ウゲーーーー!! とやらない自信はなかった。
そして先生から改めて、事前の説明があった。内視鏡検査の手順や当日(つまり27日)までの準備である。いわく、「内視鏡を通す直前に、喉に麻酔薬を塗る」「前日(つまり26日)は夜9時までに食事を済ませる」「検査当日は水やお茶以外は飲まない」などであった。
さらに、同意書の記入も求められた。検査にはごくまれに、「偶発症」が起こるらしい。主なものは出血や穿孔(消化管に穴が開くこと)だが、死亡例もあるという。その可能性は0.0002%だが、あることはあるのである。今回の同意書はもちろん、不測の事態のための「保険」ということになろう。
最悪、27日が私の命日になるかもしれないが、いまさらジタバタしてもしょうがない。また内視鏡検査の結果、患部に悪性の腫瘍が見つかる可能性だってあるが、どんな結果になろうとも運命と割り切り、私は検査に臨むことにしたのである。
27日は午前8時45分に医者に出向いた。自宅から徒歩3分の距離だからラクだ。別に自慢するわけではないが、自宅からはスーパー、コンビニ、図書館、耳鼻科、幼稚園、小・中学校などが近距離にあり、とても便利なのだ。
診察室から別室に通されると、先生が
「この管を口から通します」
と言った。
エエッ!? 口から入れるの!? は、鼻から入れるんじゃなかったのか!?
私は愕然とした。
(つづく)