台車が先行している0系新幹線。まだ着工していませんが、作るからには多少はマシなものにしたいと思い、資料集めをはじめました。
まずは教科書「最盛期の国鉄車両6 東海道新幹線」を購入。いつもながらの詳細な解説と、Webではあまり見られない開業から1970年頃の写真が嬉しい1冊です。

形式図はすでに「20100系文庫」様のサイトからダウンロードしてあり、これをベースに模型化寸法を求めました。いろいろ考えた末、ローカルスケール1/90はやめて、どこへ出してもおかしくないよう1/87でいくことにしました。車体長286ミリは作り慣れている1/80の20m級車より2センチ以上も長く、改めてその大きさに気が引き締まります。素材は定石通りペーパーを予定しています。

基本的には広窓の特急車両なので、こと側面に関しては難しい工作を必要としません。したがって、工作のポイントは微妙な3次曲面の前頭部と、細かいスリットが並ぶ屋根上(空調)の表現に集中します。
前頭部は、飛行機や船舶模型のように断面の異なる板を並べ、それに帯状の外板を貼って研磨成形する方法、角材から削り出す方法、木型をつくって温めたプラ板をプレス成形する方法などが考えられますが、いずれにしても地道に作るしかなさそうです。とりあえず2個できればよいので腹をくくるしかありません。
と思っていたら、意外なモノが目に入りました。
えー!?まさかぁー・・・

おちゃらけではありません。私は真剣です。
さっそく図面と照らし合わせてみました。

うーむ。どうもイメージが違うようです。横から見たラインは結構いいセンいっていますが、上から見たフォルムがまったく違いますね。「だんごっ鼻」と呼ばれてはいても、それなりの流線形をしているということがよくわかりました。
残念なのはこのタマゴがMサイズだという点で、Sならいけるんじゃないか?という期待感は捨て切れませんが・・・
ともあれ、まずは実車による前頭部の形状把握と、屋根上の空調の確認が先決と判断し、0系保存車に会いに行くことにしました。鉄道博物館は先日行ったので、今回のターゲットは青梅鉄道公園にある22形の保存展示車です。
入場料100円を払って園内へ。まずはD51 452が出迎えてくれます。その向こうにはクモハ40 054が「立川」の方向板を出しています。0系そっちのけで床下を覗きまくり、ここですでに20分が経過。

やっとその先に進むと今度はED16 1が鎮座。端梁の内側の構造がよくわからず改造が止まっている、EF13の参考にうってつけです。ここでもなめ回すように撮影して20分以上経過。

他にも寄り道をして、結局「新幹線広場」の0系にたどり着いたのは入館から1時間後でした。こんな感じで一段低くなった場所に展示されています。車号は22-75で東京向き先頭車です。
ところが、一見してわかったのは、屋根の空調スリットが見事に消されている!ということでした。はるばるやってきたのに、これには参りました。埋め込まれたというより、別物にそっくり交換されているような印象でツルツルです。

気をとりなおして各部を点検。運転台窓からその後ろにかけての微妙なラインは下の写真のとおりで、これは何とか理解できました。しかし、乗務員ドアから前頭部にかけての横っ腹の曲面については、結局、どの方向から見ても具体的なイメージがつかめず仕舞いでした。もう感性でいくしかないようです。

後部からみたところ。ふだんは外幌に遮られて見えない妻面のようすがよくわかります。貫通路の両脇に、主電動機用の大きな風洞が2本取り付けられています。

スカート先端の造作です。V字形のフィンも微妙なつくりですね。排障器も含めたボルトの頭の表現は、スマートな中に潜む力強さを表現するうえで避けて通れそうにありません。

ちなみにスカートの裏側はこうなっていて、5層に重ねられた厚板を3本のステーががっちりと支えていました。

もうひとつ残念だったのは、床下機器(とモーター)もきれいさっぱり取り外されていることです。雑誌やWebの写真ではスカートの影になってよく見えないので、ぜひ実物で検証したかったのですが・・・

一方この車両は、客室内はもとより運転室内にも自由に入ることができます。客室に一歩足を踏み入れるとあのツンと鼻を突く消毒の残り香があり、唯一、生きた証が感じられた瞬間でした。シートは転換式のままで、灰皿にはJNRマークがありました。

今の電車とは隔世の感がある、無骨でアナログな運転台。前後と上下は狭いものの、幅があるのでそれほど窮屈には感じません。

遊んでしまった・・・

展示館の中には16番のパノラマ鉄道模型や各種展示があります。
その中で、試験車B編成と思われる模型が展示してありました。

量産車とは若干違いますが、ここで屋根上の様子がわかります。空調のスリットは左右非対称で、海側(写真左)が吸気用で縦縞、山側(写真右)が排気用で横縞となっています。ただし客室内空気は床下に排気されるので山側のものは空調装置の熱排気用だそうです。
いずれにしてもスジ彫りだけでは迫力がないので、地道に切り抜くか、エッチングを特注するかでしょう。根気もお金もない場合はどうしましょうかねぇ・・・

これでだいぶ0系の構造が理解できてきました。実は多摩エリアにはまだ0系もしくはその仲間が保存されているそうです。
1両は昭島市民図書館つつじが丘分室、通称「新幹線図書館」の21-100号車。そしてもう1両は国分寺市「ひかりプラザ」(新幹線資料館を併設した公共施設)にある951-1試験車です。
いずれも比較的すぐ行ける場所なので、近日中にぜひ追加取材したいと思います。
参考:
新幹線図書館:「汽車・電車1971~」(M.TADAさまHP)
ひかりプラザ:国分寺市公式HP
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まずは教科書「最盛期の国鉄車両6 東海道新幹線」を購入。いつもながらの詳細な解説と、Webではあまり見られない開業から1970年頃の写真が嬉しい1冊です。

形式図はすでに「20100系文庫」様のサイトからダウンロードしてあり、これをベースに模型化寸法を求めました。いろいろ考えた末、ローカルスケール1/90はやめて、どこへ出してもおかしくないよう1/87でいくことにしました。車体長286ミリは作り慣れている1/80の20m級車より2センチ以上も長く、改めてその大きさに気が引き締まります。素材は定石通りペーパーを予定しています。

基本的には広窓の特急車両なので、こと側面に関しては難しい工作を必要としません。したがって、工作のポイントは微妙な3次曲面の前頭部と、細かいスリットが並ぶ屋根上(空調)の表現に集中します。
前頭部は、飛行機や船舶模型のように断面の異なる板を並べ、それに帯状の外板を貼って研磨成形する方法、角材から削り出す方法、木型をつくって温めたプラ板をプレス成形する方法などが考えられますが、いずれにしても地道に作るしかなさそうです。とりあえず2個できればよいので腹をくくるしかありません。
と思っていたら、意外なモノが目に入りました。
えー!?まさかぁー・・・

おちゃらけではありません。私は真剣です。
さっそく図面と照らし合わせてみました。

うーむ。どうもイメージが違うようです。横から見たラインは結構いいセンいっていますが、上から見たフォルムがまったく違いますね。「だんごっ鼻」と呼ばれてはいても、それなりの流線形をしているということがよくわかりました。
残念なのはこのタマゴがMサイズだという点で、Sならいけるんじゃないか?という期待感は捨て切れませんが・・・
ともあれ、まずは実車による前頭部の形状把握と、屋根上の空調の確認が先決と判断し、0系保存車に会いに行くことにしました。鉄道博物館は先日行ったので、今回のターゲットは青梅鉄道公園にある22形の保存展示車です。
入場料100円を払って園内へ。まずはD51 452が出迎えてくれます。その向こうにはクモハ40 054が「立川」の方向板を出しています。0系そっちのけで床下を覗きまくり、ここですでに20分が経過。

やっとその先に進むと今度はED16 1が鎮座。端梁の内側の構造がよくわからず改造が止まっている、EF13の参考にうってつけです。ここでもなめ回すように撮影して20分以上経過。

他にも寄り道をして、結局「新幹線広場」の0系にたどり着いたのは入館から1時間後でした。こんな感じで一段低くなった場所に展示されています。車号は22-75で東京向き先頭車です。
ところが、一見してわかったのは、屋根の空調スリットが見事に消されている!ということでした。はるばるやってきたのに、これには参りました。埋め込まれたというより、別物にそっくり交換されているような印象でツルツルです。

気をとりなおして各部を点検。運転台窓からその後ろにかけての微妙なラインは下の写真のとおりで、これは何とか理解できました。しかし、乗務員ドアから前頭部にかけての横っ腹の曲面については、結局、どの方向から見ても具体的なイメージがつかめず仕舞いでした。もう感性でいくしかないようです。

後部からみたところ。ふだんは外幌に遮られて見えない妻面のようすがよくわかります。貫通路の両脇に、主電動機用の大きな風洞が2本取り付けられています。

スカート先端の造作です。V字形のフィンも微妙なつくりですね。排障器も含めたボルトの頭の表現は、スマートな中に潜む力強さを表現するうえで避けて通れそうにありません。

ちなみにスカートの裏側はこうなっていて、5層に重ねられた厚板を3本のステーががっちりと支えていました。

もうひとつ残念だったのは、床下機器(とモーター)もきれいさっぱり取り外されていることです。雑誌やWebの写真ではスカートの影になってよく見えないので、ぜひ実物で検証したかったのですが・・・

一方この車両は、客室内はもとより運転室内にも自由に入ることができます。客室に一歩足を踏み入れるとあのツンと鼻を突く消毒の残り香があり、唯一、生きた証が感じられた瞬間でした。シートは転換式のままで、灰皿にはJNRマークがありました。

今の電車とは隔世の感がある、無骨でアナログな運転台。前後と上下は狭いものの、幅があるのでそれほど窮屈には感じません。

遊んでしまった・・・

展示館の中には16番のパノラマ鉄道模型や各種展示があります。
その中で、試験車B編成と思われる模型が展示してありました。

量産車とは若干違いますが、ここで屋根上の様子がわかります。空調のスリットは左右非対称で、海側(写真左)が吸気用で縦縞、山側(写真右)が排気用で横縞となっています。ただし客室内空気は床下に排気されるので山側のものは空調装置の熱排気用だそうです。
いずれにしてもスジ彫りだけでは迫力がないので、地道に切り抜くか、エッチングを特注するかでしょう。根気もお金もない場合はどうしましょうかねぇ・・・

これでだいぶ0系の構造が理解できてきました。実は多摩エリアにはまだ0系もしくはその仲間が保存されているそうです。
1両は昭島市民図書館つつじが丘分室、通称「新幹線図書館」の21-100号車。そしてもう1両は国分寺市「ひかりプラザ」(新幹線資料館を併設した公共施設)にある951-1試験車です。
いずれも比較的すぐ行ける場所なので、近日中にぜひ追加取材したいと思います。
参考:
新幹線図書館:「汽車・電車1971~」(M.TADAさまHP)
ひかりプラザ:国分寺市公式HP
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