おはようございます。ヒューマン・ギルドの岩井俊憲です。
『フロイト―視野の暗点』(ルイス・ブレガー著、後藤素規・弘田洋二監訳、大阪精神分析研究会訳、里文出版、税込み7,500円)をもとにフロイト派から見たアドラーについて、これからいよいよ本格的にスタートします。
まずは、フロイトとアドラーが出会う、いわゆる心理学「水曜会」の誕生のいきさつは、次のとおりです。
フロイトの『夢判断』を読んでウィーンの新聞に好意的な批評を寄せたヴィルヘルム・シュテーケルは、1902年にフロイトのもとを訪ね、精神分析について議論するための小さなグループを作ってはどうかとフロイトに提案しました。
続いて、『フロイト―視野の暗点』には、次の記述があります。
フロイトは、彼の講義に参加していた2人の医師、マックス・カーハンとルドルフ・ライトラー、そして今ひとり開業医アルフレッド・アドラーにも呼びかけ、精神分析について議論するための集いを水曜日の夜にフロイトのオフィスで開くことにした。
このことに関して『初めてのアドラー心理学』(アン・フーパー&ジェレミー・ホルフォード他著、鈴木義也訳、一光社、1,500円+税)の52ページには次のように書かれています。
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初めてのアドラー心理学 |
Anne Hooper,Kathryn Hyatt,Jeremy Holford,鈴木 義也 |
一光社 |
11月2日の日曜日、フロイトは他の医師にも招待状を送った。それは、公衆衛生にも関心を抱き、ずば抜けた診断家との評判を聞いていたものの、まだ会ったことはなかったアルフレッド・アドラーだった。
『フロイト―視野の暗点』に戻ります。
初めの頃の会合は、熱気に満ちていて、5人の間には完全な一致があったようです。
シュテーケルは、1903年1月の「プラハ日報」に水曜会の最初の記事を載せています。
それによれば、参加者の5名はそれぞれ偽名にされ、次のようだったようです。
フロイト・・・・主人
アドラー・・・・社会主義者
カーハン・・・・のびのび
ライトナー・・・・無口
シュテーケル自身・・・・いらいら
アドラーは、この頃は生粋の社会主義者だったのですね。
今後もこのように裏話を紹介していきます。
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