おはようございます。アドラー心理学に基づく勇気づけの研修(外研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
私は、前回の終わりの部分を次のように書きました。
安倍首相はなぜトランプ大統領とこんなに親密になれたのでしょうか?
そのことについて私は、アドラー心理学の立場から(1)安倍晋三首相という人の生育環境ー主に誕生順位ーと(2)政治家になってからのキャリアを切り口に分析を試みたいと思います。
1954年9月21日 生まれの安倍総理は、現在64歳。
毎日新聞の記者を経て政治家になった安倍晋太郎氏(外務大臣や自民党の幹事長などを歴任)と、岸信介氏の娘の洋子さんの次男として東京都で生まれました。
父方の祖父は衆議院議員の安倍寛氏、母方の祖父は首相になった岸信介氏で、大叔父にはこれまた元首相・佐藤栄作氏がいます。
いわゆる政治家一家の生育環境にあったことになります。
兄の安倍寛信(あべ・ひろのぶ)さんは、1952年5月30日生まれで、今日で67歳、安倍総理より2歳4カ月年上になります。
寛信さんは、安倍総理と同じく成蹊大学を卒業し、三菱商事に入社、政治家にならずに商社マンとして活躍し、今は三菱商事の関連会社の社長を務めているようです。
そうなると、政治家一家の安倍家は、家族価値として次の政治家候補を探し、次男の安倍晋三さんに白羽の矢が当たっていたと推測されます。
弟は岸信夫さん、1959年4月1日生まれで、今年の4月で60歳になったので、安倍総理より5歳年下になります。
ただし、弟の信夫さんは生後間もなく岸信和・仲子夫婦に養子として迎えられたため、安倍総理とは名字が違うし、その上、安倍総理と兄弟であることも知らずに育ち、慶應義塾大学進学時に戸籍を見て、自身が養子であることを知ったそうです。
ということは、実質的に安倍総理は安倍家の中で「末子」として扱われていたことになります。
ただし、兄の寛信さんと競合意識があったとしたら、「第二子」としての性格傾向もあります。
そこで、第二子と末子の性格傾向を調べてみることにしましょう。
ここからがアドラーの出番です。
『生きるために大切なこと』(A.アドラー著、桜田直美訳、方丈社)によれば、第二子と末子の性格傾向として次のようなことが書かれています(一部割愛部分あり)。
第二子
・彼らは「中心人物」ではなく、上の子どもを「ペースメーカー」にして前に進んでいく。
・つねに上の子どもに追いつこうとしている。
・権威を認めないが、権力の座を狙ってもいる。
・負けず嫌いで、競争ではつねに勝ちを目指す。
・革命家のような性格だが、政治家ではなく、社会生活や対人関係で革命を起こそうとしている。
末子
・絶対に地位を失うことがないという意味で、有利な立場にある。
・エネルギーがあり、負けず嫌いなところは、2番目の子どもに似ている。
・同じ分野で争わないほうが楽だと受け止め、自分だけ違う道に進もうとする。
安倍総理の国会答弁や記者会見などを聞いていると、かなり負けず嫌いなところがあって、そのことで物議を醸すこと ― モリカケ問題や民主党政権時代を「悪夢」と言って引かないところなど― があります。
ただ、第二子や末子には、第一子や単独子にない、状況を観察しながら上の立場の人に合わせることができる「フォロワーシップ」の素養があります。
対人関係は得意です。
そのところが、安倍首相がトランプ大統領とこんなに親密になれているヒントの1つになっています。
なお、どのように「フォロワーシップ」の素養を磨いたかについては、次回に書きます。
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