見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

名家の名宝/三井記念美術館

2005-12-21 22:28:53 | 行ったもの(美術館・見仏)
○三井記念美術館 開館記念特別展 I『美の伝統 三井家伝世の名宝』

http://www.mitsui-museum.jp/

 10月に開館した三井記念美術館を、ようやく見に行った。展示品は、陶磁器、茶道具、書画、拓本、工芸、刀剣、切手など、バラエティに富んでいて、しかも予想以上の高水準だった。財閥の財力(と趣味)をナメてはいけないね。

 最も印象深かったのは、陶磁器である。私は近年、陶磁器の魅力に目覚めたとは言え、色絵や染付が主で、志野とか織部とか、”大人の焼きもの”は、まだ敬遠していた。ところが、この展覧会の「陶磁器」セクションは、簡素な造形と焼きの風合いを愛でる作品ばかりである。あっ、これはまずい(私の鑑賞力を超えている)...と思った。

 しかし、一瞬の不安は杞憂に終わった。どれもいいのだ。理屈抜きの魅力が、ダイレクトに心臓まで飛び込んでくる。気に入った作品に丸を付けていたら、「流釉輪花健水」(野々村仁清)「銹絵染付笹図蓋物」(尾形乾山)「大名物粉引茶碗」など、カタログに丸ばかりが並んでしまった。とりわけ気に入ったのは「黒楽茶碗・銘雨雲」。 不用意に口をつけたら唇を切りそうな、ワイルドな縁辺がたまらない。同じく黒楽茶碗の「銘俊寛」もいい。簡素の極み。小ぶりで、炭を丸めたように真っ黒な茶碗である。3つ送ったら2つは返されて、1つだけ相手の手元に留まったので「俊寛」という名乗りも洒落ている。あ~我知らず、底なしに深い世界にハマッていく感じである。

 書画では、室町時代の「日月松鶴図屏風」が今季の見ものだった。見慣れた白鶴ではなく、赤い顔、黒い胸、濃緑の背をした鶴が数羽、思い思いの姿勢で佇む様子は、仏画に描かれた菩薩たちのようだと思った。

 さらに、今週も古筆の名品を見ることができて眼福。三井文庫の至宝・古筆手鑑「高松」は、初めて本物を見ることができた(三井文庫別館では、写真パネル展示しか見たことがなかった)。

 最後になるが、入ってすぐの展示室は、重役たちの食堂だったそうで、重厚なインテリアをそのまま残している。三つ子のキノコのようなランプがかわいかった。

関連:こんなサイト(↓)見つけました。いいなあ~。

■名作茶器ウットリ展示室
http://kajipon.sakura.ne.jp/bijyutu/tyaki.htm
コメント
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