付け焼き刃の覚え書き

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「生徒会探偵キリカ(1)」 杉井光

2011-12-18 | 学園小説(ミステリ)
「必要なだけのお金が、必要なときに、必要な場所にあることが幸せということ。それ以上の幸せは心の中にしかない」
 キリカの母の言葉。ひとことでいうと「幸せってお金のこと」なんだそうな。

 なにを間違ったか、中高一貫の巨大学園「白樹台学園」に高等部から編入してしまった牧村ひかげ。勝手が分からずクラスでも浮きまくっていた彼は、生徒会長の天王寺狐徹に強引にスカウトされて庶務を務めることに。
 庶務の仕事とは、雑用で、使いっ走りで、会計の少女・聖橋キリカのもう1つの仕事の助手を務めることだった……。

 生徒数8000人、年間の生徒会予算が8億円という、破天荒にならないギリギリの巨大学園もの。面白い。超巨大学園でも、校内に電車は走っていないし、戦車も潜水艦も持っていないし、警察・司法権もありません。
 そんな学校の生徒会を主役にした、日常の謎+学園小説。タイプとしては『子ひつじは迷わない』と同じかな。単に生徒会メンバーで謎を解くということではなく、少女が謎を解くけれど、謎を解くだけでは事件は解決せず、凡庸な少年が詐欺まがいに収拾をつけるという構図が同じということ。単なる名探偵+助手(または記録者)ではないところが面白いですよね。二段構えのミステリ。
 巨大学園の生徒会ものとしては、誇大妄想気味だけれど、それを達成しかねない天才肌の生徒会長を中心にした物語で、異能バトルにならなかった『めだかボックス』といえないこともないかな。なんにせよ、登場人物それぞれの物語の中での役割がきちんとしていて、読んでいて心地良いです。

 ところで、生徒会長といえば時代劇なら殿さま、現代日本なら総理大臣とか社長。有能な者もいるかもしれないけれど、現実世界をみていれば実力ではなく派閥の年功序列とか家柄でなっちゃったとか、人柄は良いけど無能とか、いくらでもいるわけです。それを思うと物語の生徒会長って、主役かライバルか脇役かにかかわらず、有能だけれど人格に難ありというパターンが鉄壁すぎてつまらんなあと思います。

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コメント
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