付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「[映]アムリタ」 野崎まど

2013-03-27 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 『2』から始まる野崎まどを読み返す週間。

「天才監督はね、スゴイ映画を作る人だよ。過程なんかどうでもいい。フィルムが何より凄いんだ。どう凄いのか誰にも説明できない。だから誰にも真似できない。でも絶対的で唯一で無二の映画」
 ビデオレンタル・販売店『映画館』の店長は語る。
 まるで「牛の首」みたいだなあと思ったけれど、当たらずといえど遠からず。

 二見遭一は手渡された自主制作映画のコンテを読み始め……気がついたら2日間が経過していた。中身は普通の恋愛映画だったはずなのに、なぜ自分は50時間以上も読み返していたのか?
 混乱したまま大学に向かった二見は、そこで映画の監督を担当することになった最原最早に出会う……。

 真実を追い求める者と天性の大嘘つきの物語。
 芸大の映画サークル話というと、細野不二彦の『あどりぶシネ倶楽部』が大好きで、あの「好きなことを好きなようにやれる喜び」と「自分のめざす理想と自分の能力という現実のはざまであがく苦悩」が醍醐味だと思っているので、ついこの作品にもそんなテーマを期待していて足をすくわれました。この作者は、いつも導入部からの読者の予想を裏切るミスリーディングが好きだと思います。

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