付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「外交特例」 ロイス・マクマスター・ビジョルド

2014-04-20 | その他SF(スコシフシギとかも)
 原題を直訳すると「外交特権」。「Immunity」には免疫とか免責の意味もあるからダブルミーニングもあるのだろうけれど、なんでこんな収まりの悪い造語を邦題にするかな?

「最終的には誰でも、子どもを世界に委ねることを求められているんじゃないだろうか」

 新婚旅行に旅立ったマイルズとエカテリンだったが、その帰路で急報が入った。
 あるステーションに停泊していたコマール船籍の商船団から警護のバラヤー士官が消え、その捜索のために上陸した部隊とステーション警備隊が武力衝突。その後始末をしろという皇帝の勅命だった……。
「ぼくは捜索令状を要求なんかしない。こっちが出すほうだ」

 たとえ新婚旅行であっても星間戦争の危機の1つや2つクリアしないと終われないのがマイルズ・クオリティです。

 出生直前のテロによって障害を持って生まれた少年も、立派な青年になりました。彼の女性関係って、悪女に欺されるということはないし、女性陣に嫌われるということもないのだけれど、「マイルズの出会う女性はみんなそれぞれ有能で素晴らしい人ばかり、ただ誰か他の人や仕事に夢中なだけ」という気の毒な状況でしたが、やっとこさ自分と結婚してくれる女性と出会えて……の続きです。

 事件の方は、読者が予想するようなことは登場人物もちゃんと理解していて、しっかりそれに対応していくのだけれど、その想定の斜め上方向に事態が拡大していく……というか拡散していく、痛快さとユーモアとスリルがほどよく混ざったSFミステリ風サスペンスでした。

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コメント (2)
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