付け焼き刃の覚え書き

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「ホーンテッド・キャンパス:4」 櫛木理宇

2014-08-22 | ホラー・伝奇・妖怪小説
「家って、そんなに大事なもんなんでしょうか。それはあくまで外の殻であって、ほんとうに守るべきなのは、中身の家族の方だと思うんですけど」
 八神森司はそう絹代に問いかける。家のために個人が抑圧されるのは本末転倒だろうと。

 歯学部の小山内がオカルト研に入り浸るようになった。灘こよみとなんとか親しくなりたいらしい。ところが森司の方は今ひとつひとみに対して踏み切れない。藍は森司を見守っていてくれるというが、あくまで観察対象であって積極的に応援するつもりはないらしい。
 そんな状況で大学も夏休みに突入。
 オカルト研も夏合宿ということで黒沼部長の実家の別宅に泊まり込むことになった。人数は多い方が良いと結花や璃子、そして小山内も同行して……。

 黒沼さん家や灘さんとこの過去話もからめながら、人体発火現象やら憑依やら5編のオカルト話が語られますが、今回も誰かのトリックとか思い違いということもなく、ホンモノの怪奇現象が起こります。
 でも、5人のオカルト研のメンバー中、霊を感じられるのが2名。知識はあっても、退魔とか除霊とかすることができるわけでもなく、なにかすごいアイテムを所持いるわけでもなく、ただ語りかけ、原因を排除していくだけというのが特徴。
 オカルト研のスタンスは、“泉水ちゃん”が「せっかく忠告してやったってのに、耳を傾けないあいつが悪い。おまえもなにか言ってやったんだろ? こっちがやれるのはそこまでだ」というように手助けまでというのが基本なんですよね。よくそれで逆に祟られたりしないよね。そういう意味で凄いです。
 そして、あいかわらず森司のへたれかげんにイライラ。「いいか。おれと、ずっといっしょにいろ。離れるな」と言うところまではいいのにね。『めぞん一刻』の五代とかのパターン。そう思えば、ひとみが美人なのにいつも怖い顔をしているところとか、助けてくれるのか引っかき回しているのかわからない藍の言動とか、それっぽく見えてきますね。こういう物語の登場人物配置の基本なのかな。

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