付け焼き刃の覚え書き

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「坂の上の雲(4)」 司馬遼太郎

2014-08-23 | 戦記・戦史・軍事
 日本は最初から物資の消費量をあまく見積もっていた。旅順の要塞攻略戦で、1ヶ月分と見積もっていた弾薬を最初の1日で使い果たしたのだ。今からでは工場の生産ラインを増やすことも間に合わない。そもそも日本には金がない。食料すら滞りがちになっていた。
 それでも日本がロシアに対してなんとか互角の戦いに持って行けたのは、ロシアの陸軍と海軍の対立、陸軍内部の命令系統の混乱があったからで、決して日本の兵士や兵士が取り立てて優秀でも優勢でもない。
 しかも海軍と異なり、日本の陸軍には「陸軍はどうあるべきか」という構想もそれを実現させようとする人物もいなかった……。

 薄氷を踏む戦いが続きます。
 司馬遼太郎の見解では、軍神と呼ばれるようになる乃木大将もカリスマはあっても指揮官としては愚将で、伊地知参謀長は無能ということになってますし、大阪師団もここでは弱いということになってます。
 このあたりは解釈の相違もあるかもしれませんので、司馬史観という前提で腹に収めておきます。ドラマ化する時に、このあたりに苦労したことは疑いません。
 なんにせよ、面白いミリタリー群像劇なんですよ。

【坂の上の雲4】【司馬遼太郎】【文春文庫】【クロパトキン】【黄海海戦】【機雷】【明石元二郎】【鷹匠】【退却将軍】
コメント
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