
ヘルパーの大野さんは、相手がどれだけ傷つくか気にもしない他人の言葉なんか、発憤の材料にこそなれ、そんなもので傷つく必要は無いという。
人間に喜んでもらうことが大好きな子猫「ねむりっこ」。
自分は天使なのに、何もできないと悲しむネコだけれど……。
命を狩るのに1年の猶予を与えてしまう死に神と、死ぬつもりだったのにその1年で死にたくない理由ができてしまう人間たち。
人々に幸せを与えようとする天使なネコと、そのネコに甘えて無理難題を持ちかける人間たち。
子猫と死神がさまざまな人々とすれ違う、愉快でせつない物語です。
それなりにきちんとした良い終わり方ではあるのだけれど、ワイルドの『幸福な王子』を読んだ時と同じような、行き場の無い腹立たしさが読後感に残るのです。なんというか、誰かを、何かを犠牲にしなければ、人はしあわせになれないのかと。
【あなたのために、ネコはゆく】【永田ガラ】【jyajya】【メディアワークス文庫】