付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「魔の都の二剣士」 フリッツ・ライバー

2015-05-15 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「機転と慎重さ--さよう、それに知恵を入れてもいいが--それだけでは、文明と五分に渡りあい、なんらかの満足を見出すことはできん」
 若者には卑しい狡知が必要なのだと冒険家ヴェリックス。

 アメリカの大衆小説ジャンルとして1920年代に誕生したヒロイック・ファンタジーは、1960年代になって「剣と魔法」の物語として一気に加熱します。当時の代表作と言えば、トールキンの『指輪物語』がアメリカでも人気となり、ここにハワードの『野蛮人コナン』シリーズの復刻が加わり、それに「エターナル・チャンピオン」「ファファード&グレイマウザー」のシリーズが続きます。
 その中でも、この「ファファード&グレイマウザー」の価値というのは、作品自体の面白さはもちろんとして、主人公が主従ではない2人組というバディものファンタジーの先駆けであり、盗賊ギルドの生みの親というあたりにあるんでしょう。
 盗賊ギルド、この作品では「盗賊結社」と称されますが、これは文明社会にあらゆる都市に古くから存在している闇の組織で、「刺客同盟」や「娼婦組合」とも連携して必要な人材の斡旋をしたり……というだけなら、他にも昔からあるのかもしれません。でも、この組織の特徴は構成員を単なる上下関係ではなくランク付けしている点がゲーム的なのです。「夜盗2級」とか。
 日本にTRPGが紹介されてしばらくは、プレイやシナリオ作りのための参考書籍として必ず挙げられていた作品です。
 この巻には「雪の女」「灰色の魔術」「凶運の都ランクマー」の3編が収録されていて、2人が腐れ縁になるまでの顛末が語られています。

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コメント
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