付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「パラプラ学園」 木村航

2015-05-28 | 学園小説(不思議や超科学あり)
「子どもは最低ふたり。でないと人類、滅ぶから」
 人口を維持するだけでも大変なのは自覚しろと文芸部部長の津和野さん。

 大地と海と空気が汚染され、科学文明が崩壊してしまった未来。人類は共生植物パラプラによって世界にあふれる毒素への抵抗力を身につけたが、世界は植物が覆い繁る世界となった。
 そして時代は流れた。
 町唯一の学校である自立ユマニテ学園には幼児棟から研究棟まで7つの建物が点在し、この町の子供は全てこの学校で子供時代を過ごす……。

 『ジャンクル』の後日譚でもある、青春学園連作短編集。前作を知らない人は、そのまま不思議な未来世界で普通の学校生活をおくる少年少女の物語として読めますし、知っている人は少女ハレタが探し求めていた「パラプラに頼らず人間が生きている世界」ってのは結局存在しえなかったんだなあと嘆息したり。
 「おなかがすいたら、光合成」というお気軽なキャッチコピーと共に「パラプラな人々の日常を綴ったハッピーライフな短編連作」と帯に書いてあって、確かに「パラプラな中学生」にとっては日常なんだけれど、頭上に寄生する千差万別なパラプラは自立して意識があるし、人間もやがて樹となって生涯を終える……ってなんか重いよね。
 それでも明るく愉しく、恋に悩んだりしながらも生きてくわけですが。

【パラプラ学園】【木村航】【やむ茶】【スニーカー文庫】【戦争】【信長公記】
コメント
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