付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「のうりん4」 白鳥士郎

2012-09-06 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「浮気は極刑」
 林檎ちゃんFCの鉄の掟。

 夏休みに帰省することになった耕作と農、そして2人に付いていくことになった林檎だが、行く手には限界集落目前の寒村の魔の手が待ち受けていた……。

 検疫とか自然災害とか、真面目な農業テーマを盛り込みつつ、話はただのうたりんな農業高校を舞台にした青春コメディ。なんと4巻。すごいなー。イラストもがんばってるなー。
 今回は福井まで行かない越美南線とか鉄関係も少し。

 山村では新鮮な海の魚が食べられないものと思っていましたが、飛騨高山あたりまで行くと逆に都市部より新鮮な魚が食べられるんだとは、名古屋市内から白川郷へ転居した知人の話。流通が発達したものですから、むしろ岐阜の山奥の方が日本海側で水揚げされた魚が早く届くのだそうな。
 耕作くんたちのところはもう少しだね。

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「ゲート(5)冥門編」 柳内たくみ

2012-09-05 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 皇帝が居所を移したイタリカで、NGOがデモを繰り広げる新宿で、誰も彼もが死亡フラグを立てまくりながら死闘を繰り広げ、戦闘メイドの屍が山となる最終巻。

 自衛隊は、彼の地にて、斯くのごとく戦った。

 そういうお話。この一言に尽きるんですね。海軍陸戦隊を送り込めるわけでもなく、かろうじて幹部数名を送り込めただけの海自は残念。
 残念と言えば、結局、レレイの銀貨1000枚分の情報が具体的に街の発展にどう活かされたとかいう話はなく、そういう点でも残念。話としてはいろいろ語り足りない部分がある気がするのだけれど、主人公・伊丹の「まあ、いいんじゃない?」スタンスでごまかされちゃった感じです。良い意味で。

「人は地位に従うのではありません。その人に従わせるだけの力があるから従うのです。地位はそれを周囲に納得させるための飾りでしかありませんわ」
 シェリー・テュエリ伯爵夫人の言葉。
 ミーカーの「指揮官というのは、おまえらが彼らに持たせておいてやるだけしか、権限を持たないんだ」という言葉の裏返しでもありますね。
 そして、シャンブロウかと思ったら物体Xであったという顛末。なむなむ。

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「さくら荘のペットな彼女(7.5)」 鴨志田一

2012-09-04 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「お前が裸にならなきゃ、彼女も脱いでくれないぞ」
 男女の問題は常に本音で語れと、高津先生の言葉。

 生徒会長・館林総一郎を主人公にした「生徒会長のはうはうな彼女」、さくら荘の病気騒動の一幕を語った「風邪を引いたペットな彼女」、そして序盤の物語を七海視点で再話した「青山七海のもっと乙女なスプリング」を収録した外伝的短編集。
 あくまでサイドストーリーであって、本編の内容を知らないと、「かたぶつな生徒会長が部下に恵まれ、かわいい彼女ができるまでの顛末」というような、ひねりもなにもない掌編ばかりだけれど、ほのぼのしてるからいいか。 面白くて、幸せではありました。

【さくら荘のペットな彼女】【鴨志田一】【溝口ケージ】【電撃文庫】【青春学園ラブコメディ】
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★バーチャルリアリティー(仮想現実世界に封印されて)

2012-09-03 | ランキング・カテゴリー
 現実世界の主人公が物語の世界に入り込んでしまって冒険する……っていうのはファンタジーのパターンの1つで、ミヒャエル・エンデの「はてしない物語」(1979)、少女マンガだと渡瀬悠宇の「ふしぎ遊戯」(1992)、最近の児童文学だとメアリー・ポープ・オズボーンの「マジック・ツリーハウス」(1992)とか。
 それが欧米におけるテーブルトークRPGの普及やコンピュータRPG、そしてMMORPGの出現によって、不特定多数の人間が架空世界を共有するタイプの物語が生まれてきましたが、つまるところ「往きて帰りし物語」の電脳バージョンにすぎません。新しそうに見えて、サイコスリラーや仮想戦記に振れたりしていても、実はファンタジー王道パターン。
 そんな物語の系譜を少し拾ってみました。また「VR-(仮想現実体験型)MMORPG(多人数同時参加型オンラインRPG)」というのも長すぎるので「VRMMO」としておきますし、年は原書・ウェブ版の発表開始時期です。

1954 
・『指輪物語』刊行開始。

1966
・ディックの短編『追憶売ります』発表。仮想体験で火星旅行の記憶を買った男の物語。

1973
・ライブRPG的な、西部劇や騎士の時代を体験できる遊園地でロボットの叛乱が起きる映画『ウエストワールド』公開。

1974 
・世界初のテーブルトークRPG『ダンジョン&ドラゴンズ』発売。

1976 
・アップルコンピュータ設立。

1977
・トリップムービーで望み通りの夢を見ようとしたことから事件が始まる、寺沢武一の『コブラ』開幕。 
・テレビドラマ『ファンタジーアイランド』放送開始。プレイヤーの希望に沿った物語を用意し体験させる不思議な島の冒険。

1980 
・コンピュータRPG『ウルティマ』発表。

1981 
・コンピュータRPG『ウィザードリィ』発売。
・ライブRPGの運営が目的の巨大テーマパークを舞台にした『ドリームパーク』刊行。

1982 
・映画『トロン』公開。物質転送機によってネットワークの世界に入り込む物語。プログラムの擬人化が特色。

1983 
・テーブルトークRPGの世界にプレイヤーが転移して帰還困難になる『眠れる龍』刊行。

1984
・電脳都市チバを舞台に電脳空間でのハッカーの冒険を描いた、ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』刊行。サイバーパンクの原点。

1987
・『スタートレックTNG』にて仮想現実を体験するレクリエーション施設ホロデッキが登場。しばしば暴走。

1989 
・VRアドベンチャーゲームをテーマにしたSFミステリー『クラインの壷』刊行。
・電脳内部の仮想現実空間をメジャーにしたコミック『攻殻機動隊』の発表開始。
・仮想現実空間ではないにもかかわらず、キャラクターの経験値が冒険者カードによってレベル管理される深沢美潮の『フォーチュン・クエスト』。

1990
・『追憶売ります』を映画化した『トータル・リコール』公開。記憶を売る娯楽ビジネスから始まる物語。話全体が現実か夢か不明。

1992 
・サイバーワールドで冒険するアメコミ『ハーシュ・レルム』(フドナール&パケット)刊行。

1993
・NHKアニメ『恐竜惑星』放送。VR技術を応用して恐竜世界での冒険を繰り広げるが、そこは仮想現実ではなく別次元の世界だった。

1994 
256人同時プレイのVRMMOの世界から帰還不可能となる『クリス・クロス』刊行。
・NHKアニメ『ジーンダイバー』放送。VR技術を応用して恐竜絶滅の謎を解き明かしたり、人類の進化の歴史を守ったり。

1997
・NHKアニメ『救命戦士ナノセイバー』放送。VR技術とナノテクを応用してミクロ世界で患者の治療に挑む。

1999
・PSゲーム『デジモンワールド』発売。
・映画『マトリックス』公開。仮想現実空間を支配する人工知能と戦う。  
・『ハーシュ・レルム』がテレビドラマ化。米軍が構築した仮想現実空間を支配する男を殺すために送り込まれた兵士の物語になり、仮想現実世界の死はリアルでも死に。

2001
・映画『アヴァロン』公開。VRMMOの世界での戦争を語る押井守版『ウィザードリィ』。

2002 
バンダイナムコがVRMMOの世界を舞台にした『.hack』をメジャーミックスで展開。
VRMMOの世界から帰還不可能となる『ソードアート・オンライン』発表開始。

2005 
・夢の中でVRMMOのような世界に転移しては冒険する『シフト~世界はクリアを待っている』刊行。ゲーム内で死ぬと二度とゲームに復帰できない。

2006
・TVアニメ『ゼーガペイン』放送。人類が仮想空間でしか生きられなくなっている世界での戦い。

2007
・現実世界にそのままVRMMOの世界が重ねて表示されるNHKアニメ『電脳コイル』放送。

2008 
・教育カリキュラムの一貫としてVRMMOの世界で戦争体験することになる『女子高生=山本五十六』刊行。

2009 
・自在にVRMMOの世界に転移しては勢力争いを繰り広げる『アクセル・ワールド』刊行。ゲーム内で死ぬと二度とゲームに復帰できない。
・アニメ映画『サマーウォーズ』公開。

2010 
MMOそのままの世界へ転移して帰還不可能となる「ログ・ホライズン」発表。

2011
VRMMOの世界から帰還不可能となる「アルカナ・オンライン」刊行。

2012 
VRMMOの世界から帰還不可能となる「スカイ・ワールド」刊行。

 多くはないけれどバーチャルリアリティ(仮想現実)空間を舞台にした作品は定期的に存在しています。でも、物語世界に入り込む話と定義すると一気に増えますが、仮想現実空間から戻れなくなり、その世界での死は現実での死……とまで限定すると数本になります。
 その全体的な特徴というかよく使われるテーマとしては、まず何が現実で何が仮想か虚実がひっくり返るかもしれない「胡蝶の夢」の思想。「クリス・クロス」も「クラインの壺」もタイトルの意味としては「胡蝶の夢」と同じです。どちらが現実かあやふやとなるのが1つのテーマです。
 その延長でゲーム内での死が現実世界での死または意識不明となって現れたりします。
 次に、仮想現実と言うことで、現実世界では四肢が不自由だったり精神的に追い詰められているプレイヤーが仮想空間で自由な肉体と精神を手に入れたとき、虚実どちらの世界を選ぶのかという命題。『ドリーム・パーク』でもゲームは精神療法の一環として活用されていました。
 そして、架空世界に存在しているモンスターや怪物は生きているのかいないのかということ。もしプレイヤーのキャラクターがその仮想現実空間で本当に生きていると感じられるのだとしたら、自分たち以外の怪物やNPCだって生きていると考えちゃいけないのか、考えないといけないのではないか、自分たちの都合の良いように動かせると考えてはいけないのではないかというテーマです。
 面白い話は、このあたりはきちんと押さえてますね。

 リスト化しながら、なにか忘れているような?と懸命に思い出し確認しては「ゲームのプレイ内容をさも現実であるかのように描写しているだけで、仮想現実空間の話じゃないや」とかまとめてます。
 漏れがあればご指摘よろしくお願いします。
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「オーバーロード1~不死者の王」 丸山くがね

2012-09-03 | VRMMO・ゲーム世界
 MMORPGをプレイしていたはずなのに、ログアウトできなくて、気がついたらゲームがリアルになっていた……という最近流行の異世界召喚のバリエーションでファンタジーの王道。

 一大ブームを巻き起こしたMMORPG“ユグドラシル”も、10余年を経過して今宵のサービス終了を待つばかりに。最盛時は1000に近いギルドの上位10強に食い込んでいた『アインズ・ウール・ゴウン』も、ギルド拠点に残っているのはギルドマスターであるモモンガだけだ。
 ところが終了時間をすぎても強制終了しないはログアウトできないはの異常事態。しかもノンプレイヤーキャラクターであるギルドの下僕たちは意志を持って話し始め、いつの間にか拠点ごと見知らぬ土地に飛ばされていた……。

 平日夜に2時までかけて一気読み。
 先に読んだ『ソードアート・オンライン』や『ログ・ホライズン』などと違うのは、主人公の所属していたギルドがPKありの怪物属性のプレイヤー専門のグループだったということ。主人公の容姿も漆黒の衣装に身を包んだ骸骨で、つまりは『ワードナの逆襲』なんですね。
 そろそろこういうのも面白い。
 カルチャーギャップ的なやりとりもいろいろあって愉しいけれど、もともと家族も友人もいなかった主人公が骸骨の見た目を持つ大魔法使いの姿で固定されてしまい、これがリアルなのだと納得しつつも、美女の胸をもんでも愉しくないし、目の前で人間が死んでもなんでも思わなくなっていますので、この先どうなるかという不安に笑ってばかりもいられません。

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「クトゥルフ神話への招待」 J・W・キャンベルJr.他

2012-09-02 | ホラー・伝奇・妖怪小説
 映画「遊星からの物体X」の再々映画化や映画「エイリアン」の前日譚的な「プロメテウス」の公開に合わせて、キャンベルJr.の「遊星からの物体X」を新訳で、クトゥルフ神話の代表作とも言うべきラブクラフトの「クトゥルフの呼び声」、そして邦訳の少ないラムジー・キャンベルのブリチェスターの街を舞台にした作品を中心に5作収録した中短編集。
 クトゥルフ神話というか、コズミックホラーへの入門編として、けっこうお薦め。
 アンソロジーとしては良い出来と思うけれど、映画「バトルシップ」が「海底に太古から沈んでいた巨大な立方体が浮上する話」という解説はどうなんだろう?

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★学園祭

2012-09-01 | ランキング・カテゴリー
 学園祭とは、楽しかった学生生活の象徴であり、学生がその全力を注ぎ込める一大イベント。
 そこで学園祭がメインの舞台となる作品を並べてみました。文化祭と体育祭のどちらでも良いけれど、できれば1冊の最初から最後までが準備期間から後夜祭くらいまでの期間であること。でも、単に学園祭から物語が始まるとか、みんなで学園祭にも参加してみた……くらいのものは含みません。 

『“花散里”~ヒカルが地球にいたころ……(8)』 野村美月
 文化祭なんて興味がないし、クラスメイトだって自分が顔を出すと嫌がるだろうとわかっているのに、なぜか委員長の推薦で是光はクラスの文化祭実行委員にされてしまう。さらに日舞研や生徒会からも役目を仰せつかっててんてこ舞いだが、差出人不明の手紙がなにをすべきか途方に暮れている是光を救う……。


『いわゆる天使の文化祭』 似鳥鶏
 文化祭の準備期間に出現した、謎の大量のラクガキ。犯人の真意はどこに?
 文化祭で悪のりがエスカレートすることが校風になってしまった学校の日常系ミステリ。普通の学園でここまでやるのか!?という限界点。


『クドリャフカの順番』 米澤穂信
 いよいよ待望の文化祭が開幕。だが、古典部の面々は思わぬ大問題に頭を抱えていた。20部印刷予定の文集「氷菓」を印刷所が200部納品してきたのだ……。
 凡人が努力に努力を積み重ねても手の届かない高みにまであっさり到達しておきながら、そんなことはたいした価値のあることじゃないと簡単に斬り捨ててしまう天才を前にした凡人はどうすべきなのでしょうか……。
 同シリーズでは、他に前日譚的な『愚者のエンドロール』も。


『オオカミさんととっても乙女な分福茶釜』 沖田雅
 模擬店で売上勝負したり美人コンテストとかあったり障害物競走で生着替えとか、ゲストキャラ総出演の文化祭絵巻。


『マリア様がみてる』 今野緒雪
 学園祭が終わるまでの慌ただしい2週間の学園を舞台に、少女たちが自分の居場所を見つけるまでの物語。内容的には舞台劇とかカレー屋さんとかいたってオーソドックス。
 同シリーズでは、その1年後の『特別でないただの一日』も。


『ハレーション・ゴースト』 笹本祐一
 寮の廊下に雪女が出現したり、クラスメイトが吸血鬼に連れ去られたり、学園祭準備期間から学園祭にかけて巻き起こる怪事件の連続。
 文化祭の企画でミニ核実験とか、怪事件が起きなくても十分に危険です。 


『ハレの日は学校を休みたい!』 陸凡鳥
 学園祭が嫌いな響川晴は「学園祭を中止しろ」という脅迫状の容疑者にされ、生徒会長タチアナの前に引き出される。潔白を証明するために、学園祭までに犯人を見つけなければいけなくなるが……。
 二段構えの犯人捜し。バカバカしくもシンプルな構成がツボ。


『12DEMONS』 御堂彰彦
 学園祭の学校から異世界へ連れ去られた12人は、それぞれの身体に埋め込まれた悪魔の部位の争奪戦を強いられるのだが……。
 楽しい学園祭とは縁がなくなってしまった話。しかし、生徒会長ならかくありたい。


『ベン・トー6~和栗おこわ弁当310円』 アサウラ
 烏田高校の文化祭。槍水先輩の年の離れた妹・茉莉花が登場し、16歳高校生と20歳超えているだろう男子がそろって、10歳の女の子の下半身を仁王立ちでガン見する話……ってまとめると最低だな! 
 同シリーズでは、他に丸富大学付属高校の文化祭での手作り弁当争奪戦を描いた『箸休め~燃えよ狼』も。


『電波女と青春男(6)』 入間人間
 1年以上前に学校をやめて、それ以来引き篭もりになっていたエリオだが、最近は少しずつ社会復帰も進み、今日はこっそり文化祭へと出かけるのだ……。
 展示発表やら物販にゲストを呼んでのステージまで、愉しいドタバタ学園祭編。でも他人には理解してもらえないかもしれないけれど、みんなそれぞれに頑張っているのだ。


『むやみに分裂!!~邪神大沼6』 川岸殴魚
 守銭奴の生徒会長が文化祭のネーミング権をスポンサーに売り飛ばしたり、露骨なタイアップ路線で私腹を肥やそうと画策し……。


『アイドライジング!3』 広沢サカキ
 戦うアイドルの学園祭。
 タキ・ユウエンからの借りを返すため、学祭期間中、モモはタキとデートするはめに。
 学園祭自体はごく普通のお嬢さま学校の文化祭でした。


『あそびにいくヨ!5』 神野オキナ
 地球の各国政府との外交チャンネルを開こうとする騎央たちだが、素人ゆえにまったく進展していいかない。だが、騎央たちの高校の学園祭にキャーティア人が参加するらしいということが伝わるや、マスコミはもとより世界各国からスパイや非合法工作員が群がり……。


『悪魔のミカタ666~スコルピオン・デスロック』 うえお久光
 悪魔のアイテムの影響が日炉理坂高校全体に広がってしまい、生徒たちのみなぎる気合いは自らの肉体を勝つための身体へ変貌させていくが、もはや教師や観客も異常を異常と認識することはなく、体育祭はどんどん進んでいくのだった……。


『彼女がフラグをおられたら~こんな女子ばかりの体育祭に出られるか、僕は二人三脚に出させてもらう』 竹井10日
 今年の体育祭は1週間ぶっ通し。通学電車内でのパン食い競争から7日間駅伝やら奇妙な試合がてんこ盛り。クエスト寮の面々は寮廃止を阻止するため、弓道娘やロボ少女の助っ人を迎えながら挑むのだが……。


 個人的には超常現象とかお金持ちがいるからというものではなく、普通にありそうだけれど、現実にはちょっとないかなあというあたりが好きです。紙幅は多くないけれど『いわゆる天使の文化祭』くらい。
 あのどこにでもありそうな学園祭が、年ごとにエスカレートしていくバカバカしさが好きです。
 現実には、こういう学園祭企画が世代を超えて次の年に引き継がれていくというのは難しく、カリキュラムの時間割編成の都合で文化祭や体育祭の日程はどこもかしこも短くなっていくのが流れのような気がします。自分が学生の頃は、期間が週末を絡めて2日かや3日は普通にあったものが、今は平日1日のみで、どう考えても他校生に来て欲しくない感がありありの学校ばかり。
 まだ小学校の方がにぎやかかなあ。

 地元の地区行事を観ていて思うのは、みんな大人になっても文化祭とか体育祭とか学園祭っぽいものが大好きだよな!ということ。地区の住人の交流を深めて防犯や防災に備えようとかお題目を唱えていても、結局みんな「お祭り」が好きなんですよ。
 そりゃあ、全部が全部そうではないし、ぼくもどちらかといえば面倒くさいのはキライ。でも、がんばる人は頑張るし、そうなると大人のコネとツテと技術と財力は児童・学生とは桁違いだからなあ……。
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「月光」 間宮夏生

2012-09-01 | 学園小説(ミステリ)
「様々な生き方を自分の意思で選べると人は言うが、俺からすればそんなの素敵な勘違いだ。何せ俺は今の生き方しか選べなかった」
 違う生き方を選ぶと言うことは、今の自分を捨てて違う人間になることだと虎南。

 面白いけれど、狭かった。
 バイト先の凶暴なお姉さんも、食えない軽薄そうな刑事も、まっすぐで明るい同級生も登場し、時にストーリーに深く関わりそうになるけれど、結局は主人公である野々村と謎多きクラスのアイドル・月森葉子の会話劇に回帰して、そこで完結してしまう。
 いちばん面白い2人の会話のかけひき以外は、(事件の真相も含めて)すっぱり切り落とす豪快さが魅力な作品でした。

【月光】【間宮夏生】【白味噌】【遺書】【殺人レシピ】
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