many books 参考文献

好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

彼岸先生

2010-02-21 21:24:27 | 好きな本
島田雅彦 平成7年 新潮文庫版
きのうのつづき、島田雅彦。
カテゴリーを「好きな本」に入れちゃったけど、ほかの好きな本に比べたら、それほど繰り返して読んでないという点では劣ります。
しかし、やっぱりこの小説の存在は、私にとって大きいものでした。
十代後半にいろんな、いわゆる文学を読んでたんですが、大学に入って、特に後半の3・4年生のときに、文系だったんですが、いわゆる社会科学を一所懸命学ぶことになって、そのテの本ばかり、いっぱい読むことになりました。
卒業して、就職してからも、そういう傾向は変わらなくて、仕事の役に立ちそうなものとか、そう、趣味の読書が減って、必要に迫られた本を多く読む時期が長く続きました。
んで、仕事以外にも、プライベートっつーか、個人的な環境の変化から起因する嗜好への影響もいろいろあったりして、ほんと「小説」を読まなくなって久しくなったときがあったんです。
そんな時期に、たまたま手にとったのが、この本でした。書店で見かけて、ああ、島田雅彦、前はボチボチ読んだことがあったなー、ぐらいだったかもしれませんが。
読んでくうちに、独特の表現による、独特の世界にグイグイ引き込まれちゃいました。すごく(たぶんに個人的な受ける感覚かもしれないけど)力があるんです、島田雅彦の小説って。(このへん、島田雅彦と平野啓一郎は私にとって、白眉っつーか、特別な作家なのかもしれない。)
あー、(日本の)小説って、まだまだ面白い!って思ったものでした。
なにが、どう面白いのか、語るのは難しいです。本書は、よく「平成の“こころ”」(言うまでもなく「こころ」は夏目漱石のアレね)とか称されますが、「こころ」は難しいんで、私には単純な比較などできません。
そんなこんなの個人的体験だけが根拠かもしれませんが、私を、小説・文学に引き戻してくれたものとして、私はこの作品をフェイバリットに挙げざるをえません。
コメント
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