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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

ヘルタースケルターを観てきた

2012-07-17 18:18:08 | Weblog
ちょっと迷ったんだけど、「ヘルタースケルター」(蜷川実花監督、沢尻エリカ主演 2012年7月公開)を観にいってきた。
もちろん、私が観に行ったのは、岡崎京子ファンだからであって、沢尻エリカのハダカを見たかったわけではない。
“迷った”というのは、当然のことながら、ヲカザキのマンガが好きなので、実写映画であんまりイメージ狂うことやられて、ガッカリしたらヤだなって気持ちがあったから。
(この作品に限らず、映画化ってのは、とかく原作ファンの期待に応えらんないものでしょ、ちがう?)
でも、まあ、ヲカザキ作品の映画は初めてなんで、やっぱ観とこうと決めて、それだったらあんまり余計な評がアチコチから情報入ってこないうちがいいと思って早めに映画館まで足を運んだ。
(映画は平日の午前の回に越したことはない。)
うーん、感想としては、まあいいんぢゃないのって感じです。
そんなにガッカリということでもなくて、まあ、こういうのもアリかなっていうか。
私は映画のことはそんな詳しくないんで、これでもかってくらい色づかいしてビジュアル重視みたいなつくりを何と評価していいのか分かんないんだけど。
マンガと映画では表現方法がちがうんで、原作と同じもの求めてもしょうがないし。
こういうことがやりたかったんでしょう、ってのは分かってあげられるような気がする。
最初に「最初にひとこと 笑いと叫びはよく似ている」ってモノローグが入ってきたとき、ウワッ、やるの!?って一瞬身構えた。
ってのは、マンガにはマンガの、小説には小説の、セリフとか会話とかのリズムがあって、それは読んでると心地いいんだけど、実際に口に出してみると、ひどく浮ついた感じがするフレーズってのがあるもんである。
だから、妙に原典に忠実にやられると、もうなんかスベスベした紙でテーブルにこぼした液体拭いてるときのような、上滑り感があふれちゃって、聞いてるほうが気恥ずかしくなることがある。あるでしょ?ない?
で、どーかなー、シラジラしいのは勘弁してほしいなあと思って、観てたんだけど、これが意外とそんなことなくて、よかった。
そこは何と言っても、沢尻エリカが上手だったと思う。
このひとの出た映画は「手紙」しか観たことないんだけどね、たぶん。
役に入り込むとか何とか話題作り先行した感じの報道は見てたんだけど、ちゃんと演じてたと思います。壊れてく過程の叫ぶようなセリフを浮かないで言ってたと思います。
それと、桃井かおり、彼女の女社長も(原作と同じかどうかを抜きにしてもいいくらい)雰囲気ありました。
私がダメだなと思ったのは、麻田検事。これはキャラが確立されてないというか、そんなこと検事が言うわけないじゃんって感触が残されちゃった。
あとは、ところどころでバックに流れる音楽がよかったですね。妙にシーンとされちゃうよりは、大音量で音楽が鳴ってたほうがイメージをつくってんだなって感じがします。
でも、やっぱ劇場で観るからいいんだろうね、うちのテレビ画面で観ても、ちょっとここまで集中できたか自信ない。
ということで、全体としては、まあアリということで。
もちろんヲカザキのマンガと違って、真っ黒なバックのモノローグが挿入されたりはしないから、主人公の内面みたいなもんは見えにくいけどね。そこは映画だから、しょーがない。
美しさにこだわってるだけぢゃなくて、自己とは何かって問うような、そういうのってマンガぢゃないとね、描けないでしょ。
これはこれで、マンガとは別物としてお楽しみくださいってとこかな。「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」と「ブレードランナー」は別物だけど、それはそれでいいぢゃない。(だから、ホントはもっと変えてくれて、映画版ストーリー的なものがあってくれたほうがよかったのかもしれない。)
ただ、私は原作を知ってるからいいけど、知らないで観たひとは、たぶん何のこっちゃって思うひともいるんぢゃないかなと。
ただただ、それって原作のあるどんな映画でも、そんなもんだから。映画観たあとで原作読んで、あー、そーゆーことだったのかって体験は誰でもあると思う。
しょーがないよね、映画だけで満足させたかったら、それ専用の脚本を書くべきなんだから。

コメント
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