岡野友彦 2003年 講談社現代新書
きのうまでとは何の関係もなく、最近読んだ本の話。
そもそもこれは、『落語の国からのぞいてみれば』で、堀井憲一郎が参考文献として挙げているところから、読んでみようと思った。
そのホリイ氏の著書には「名前は個人のものではない」という章があって、名前に関する本をいろいろ読んだようで、私もそこに挙げられてた『読みにくい名前はなぜ増えたか』を読んだりしたんだけど、
>この分野で圧倒的に面白かった一冊は岡野友彦のこれ。すごく面白かった。これと同じ講談社現代新書に入れるだけで光栄だ。
とまで言われては、こちらも読まないわけにはいかない。
ところが、そう思ったときには、どうやらこの本、絶版らしいってことがわかった。
ネット上で中古を探せばあるんだろうが、それぢゃおもしろくないので、これについては、自分の足で探すことにした。
べつに急ぐ必要もないし、運だけが頼りで、古本屋を見かけるたびに新書の並んだとこでタイトルをジーッと見て探す日々が続いた。
なかなか見つかんなかったんだけど、先日とうとうあるところで見つけることができた。意外と近いとこだったんで、とっくに来りゃあよかったのにとは思ったけど、まあ、探し物って、そういうもんである。
んで、私の古本屋めぐりはいいとして、本書のなかみなんだけど、冒頭の“はしがき”の最初に「征夷大将軍という地位は、日本の国家主権を示すものではなかった」ってことが、いきなり強調したいテーマとして書いてある。
“足利家は源氏だから将軍になれたけど、織田信長は違うからなれなかった”とか、“徳川家康は将軍になりたいから源氏になった”とかってのは、ちょっと違うよって話。
ただの将軍ぢゃなくて「日本国王」ってのになるためには、「源氏長者」というポジションになんなきゃいけない。家康は将軍職を秀忠に譲ったあとも、源氏長者の地位にありつづけたんで、実質上の「日本国王」は家康だったということらしい。
まあ、いろいろややこしいんだけど、「武家が日本の政権を獲ったんだったら、なんで天皇を滅ぼしちゃわなかったんだろう?」ってのは、日本史の重要なテーマだよね。
中沢新一の『僕の叔父さん 網野善彦』にも、生徒にそう訊かれて、律義に悩む網野善彦の姿が書かれてたけど、これに明快に答えるのは難しい。
どーでもいーけど、“織田信長や豊臣秀吉は、源氏ぢゃないから将軍になれなかったのではなく、将軍になろうとはしなかった。なぜなら、彼らの目標は、中国から一地方を治めることを命ぜられる「日本国王」になることぢゃなくて、中華皇帝そのものになることだったから”ってのは、いいね。ちょうど今私は『へうげもの』を読んでて、そういうくだりを半信半疑で楽しんでるもんで。
きのうまでとは何の関係もなく、最近読んだ本の話。
そもそもこれは、『落語の国からのぞいてみれば』で、堀井憲一郎が参考文献として挙げているところから、読んでみようと思った。
そのホリイ氏の著書には「名前は個人のものではない」という章があって、名前に関する本をいろいろ読んだようで、私もそこに挙げられてた『読みにくい名前はなぜ増えたか』を読んだりしたんだけど、
>この分野で圧倒的に面白かった一冊は岡野友彦のこれ。すごく面白かった。これと同じ講談社現代新書に入れるだけで光栄だ。
とまで言われては、こちらも読まないわけにはいかない。
ところが、そう思ったときには、どうやらこの本、絶版らしいってことがわかった。
ネット上で中古を探せばあるんだろうが、それぢゃおもしろくないので、これについては、自分の足で探すことにした。
べつに急ぐ必要もないし、運だけが頼りで、古本屋を見かけるたびに新書の並んだとこでタイトルをジーッと見て探す日々が続いた。
なかなか見つかんなかったんだけど、先日とうとうあるところで見つけることができた。意外と近いとこだったんで、とっくに来りゃあよかったのにとは思ったけど、まあ、探し物って、そういうもんである。
んで、私の古本屋めぐりはいいとして、本書のなかみなんだけど、冒頭の“はしがき”の最初に「征夷大将軍という地位は、日本の国家主権を示すものではなかった」ってことが、いきなり強調したいテーマとして書いてある。
“足利家は源氏だから将軍になれたけど、織田信長は違うからなれなかった”とか、“徳川家康は将軍になりたいから源氏になった”とかってのは、ちょっと違うよって話。
ただの将軍ぢゃなくて「日本国王」ってのになるためには、「源氏長者」というポジションになんなきゃいけない。家康は将軍職を秀忠に譲ったあとも、源氏長者の地位にありつづけたんで、実質上の「日本国王」は家康だったということらしい。
まあ、いろいろややこしいんだけど、「武家が日本の政権を獲ったんだったら、なんで天皇を滅ぼしちゃわなかったんだろう?」ってのは、日本史の重要なテーマだよね。
中沢新一の『僕の叔父さん 網野善彦』にも、生徒にそう訊かれて、律義に悩む網野善彦の姿が書かれてたけど、これに明快に答えるのは難しい。
どーでもいーけど、“織田信長や豊臣秀吉は、源氏ぢゃないから将軍になれなかったのではなく、将軍になろうとはしなかった。なぜなら、彼らの目標は、中国から一地方を治めることを命ぜられる「日本国王」になることぢゃなくて、中華皇帝そのものになることだったから”ってのは、いいね。ちょうど今私は『へうげもの』を読んでて、そういうくだりを半信半疑で楽しんでるもんで。
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