本書は、ずいぶん前に出た本だが、結構売れたから、読んだ方も多いだろう。
私は、ずいぶん遅れて読んだが、それからでも、一年ぐらいたっただろうか。
正直、親の世代が、盲目的に憲法九条を崇拝していることに対し、もうちょっと現実を直視すべきなのではと思っているのだが、本書を読んで、さらにまたいろんな考え方があるのだなと再認識させられた。
憲法九条は、現実にそぐわないと理解した上で、守るべきという理論展開?だ。
アメリカ主導で作られた憲法だから変えるべきという意見については、合作でいいものはできる例を取り上げ、一蹴している。一蹴するかどうかは別にして、アメリカ主導でできたからダメというわけではないかもしれない。
憲法九条が、日本にたった一つ残された拠り所なのだという見解が出ている。わかるんだけど、オプティミスティックですべてがうまく行くのかという議論には、立ち入っていない。
そこにチベットの僧院の話がポジティブな材料として出てくるのだが、この辺りが、今後、もっと議論を進める必要がある部分かと思う。なぜならチベットは、そのために中国の軍事力に蹂躙されてしまったからだ。
理想と現実のディべートをするのに、憲法九条問題は格好の材料だが、やはりチベットのようにはなりたくないというのは、本音ではないか。
島国日本だから、このような議論ができるかもしれないとも思える。