かねやんの亜細亜探訪

さすらうサラリーマンが、亜細亜のこと、ロックのこと、その他いろいろ書いてみたいと思ってますが、どうなることやら。

事業再生

2010年10月05日 | Books



「どこまで堕ちた企業を救えるのか」は、この8月に出た本。

一時期、企業再生の話は、たくさんあったが、段々世の中せちがなくなって、なかなか好事例が報道されなくなってきた。
債権者は、体力も無くなってきて、金融庁の方針もあり、容赦なく債権を二束三文で売ってしまうし、一方、金融円滑化法で、ゾンビ企業が延命している。二束三文で債権を買ったファンドは、早期換金だけを考えて行動する。
倒産は、大体が、経営者の責任だが、一番被害が大きいのが、従業員。もっと、企業再生を真剣に考えるべきではないかというのが、本書の原点だ。

本書は、わかりやすく、でもかなり高度な知識も織り交ぜながら、事業再生を説明してくれる。
舞台は、あるバス会社。まさにありがちな構図だ。
リストラには、ます①コミュニケーションの確立②費用の適正化③人件費の削減が避けられないという。人件費の削減というと、またかという感じだが、企業再生には、生産性を上げる必要性があるということだ。①、②は議論を待たないだろう。

もうひとつは、企業再生は、社員の幸せを限りなく中心に置いた企業再生でないと、世の中に受け入れられないということだ。
何を甘っちょろいことをと思う向きもあろうが、この付加価値の有無が問われる世の中、社員の活性化が企業価値そのものと言っても過言ではない。

再建のため乗り込んだ主人公は、オフサイトミーティングを開催。その時のルールは、①人の話にじっくりと耳を傾ける②肩書をはずして、立場を離れる③一人称で、自分の言葉で語る④正論(あるべき論)ばかりをいわない⑤異論や反対意見を歓迎する⑥結論を出すことをノルマにしない⑦無理に流れを仕切らない。

なーあんだ。どの普通の会社にも当てはまるルールではないか。
本書が、それでも読まれる理由は、その当たり前が、当たり前でない会社がいかに多いかを示している。

ひじょうに読みやすい本なので、企業経営、企業リストラに興味のある幅広い人にお勧め。

コメント
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