


なぜなら、私の最初のPCは、SHARP製だったからだ。
MZ700。記憶媒体は、カセットテープ。印刷は、4色ボールペン。それらが、コンパクトにまとまったすばらしいPCだった。ディスプレイは、TV。平仮名、片仮名は打てた。当時は、MSのOSもなく、BASICというソフトで、ゲームを作って遊んだものだ。手作り感があった”マイコン”の時代の話。

白州正子さんの、新潮社曰く”十一面観音巡礼愛蔵版”が出た。白州さんの本は初めて読んだが、すばらしい。
もちろんまだ仏像がそんなに尊ばれなかったころから、探訪していたということもあるが、いろんな文化、歴史の知識が、仏像を見るたびにほとばしるよう。でも、自然な書きぶりで、全然いやらしさがない。和辻さんの、古寺巡礼もそういった意味では同じ書きぶりだが。
ついこの前見たばかりの聖林寺の十一面観音から始まるのがうれしい。ただ、白州さんが最初に見た時は、まだ、観音様のお堂はなかったのだが。全国至るところの観音様をご覧になっている。有名人の特権?で、秘仏なんかもちゃっかり見せてもらったりしている。
でも、お寺が、観光地化していると、気に入らなくて、訪れなかったりして。とっても、人間的でもあるのだ。
観音菩薩と、地蔵菩薩についての、考察もユニークだ。
仏像ファンだったら、是非一読したい本だ。装丁もよい。愛蔵版と呼ぶにふさわしい。
これだけの、文化的知識を身につけるのは困難だが、仏像という切り口に絞っていけば、ちょっとは白州さんに追いつけるかもしれない。