今日は、(たぶん)生まれて初めて金沢文庫に行った。
鎌倉に住んでいた小学生時代は、両手で、口を横に広げて、「鎌倉文庫!」と言ってみろ、という遊びにいそしんでいたのにもかかわらず、今までたぶん一度も行く機会に恵まれなかった。
鎌倉文庫の隣にあるのが、称名寺で、その赤門から入った。
二王門も立派。
鎌倉北条家の菩提寺として、創建された。廃れた時期もあるようだが、今は、浄土庭園とともに、美しい姿を誇っている。この庭園は、昔のものを1986年に再建したものだ。
金沢文庫の展示に創建当時の称名寺の絵があったが、それとそっくりに再建された。
誰かと思ったら北条実時公。お侍さんか、お坊さんか。このような胸像は珍しい。
金堂側から見るとこんな感じ。奥に見えるのが二王門。鎌倉時代というよりは、平安時代の雰囲気がする。
金沢文庫の展示に、金堂内の壁画の展示などもあるが、平安貴族の思想に沿ったものだ。
鐘は、去年の大みそかから、つけなくなったらしい。逆にいえば、鎌倉時代以来、毎年つかれていたということだ。ご苦労様。
金沢文庫は、称名寺から、丘一つ隔てた、文庫ヵ谷(ぶんこがやつ)というところにある。
北条家によって造られた金沢文庫は、後の将軍様に蔵書をどんどん持ちだされ、廃れてしまい、今の金沢文庫は、80年ほど前に再建されたものになる。
左に見えるのが、旧トンネル。そして、右が新トンネル。今は、称名寺から、新トンネルを通って、金沢文庫に抜ける。
新しい金沢文庫は、二階建てになっていて、1階が常設展、2階が企画展会場になっている。
今回の目的は、運慶展。
写真の右側に見える称名寺の大威徳明王像が、平成19年の修理で、運慶作と判明したのが、きっかけとなり、全国から運慶の仏像を9体集めた展示会開催につながった。
目玉は、何と言っても、写真の左側の円成寺の大日如来像。運慶の若いころの作と言われるが、THE 大日如来という感じ。平安後期のものだが、素晴らしいの一語に尽きる。
もうひとつ面白いのは、数年前、真如苑がNYのオークションで、落した大日如来像。こちらは、少し小振りだが、やはりすばらしい。それにしても、14億円!
これが、14億円であれば、円成寺の大日如来像は、値段のつけようもない。
厨子に入った栃木の光得寺の大日如来像もいい。密教文化が、一番高いレベルに達したころの作品群と言ってもいいのだろう。
鎌倉幕府に縁の深い金沢文庫で、開催されたという点でも、意義深い展覧会だと思う。
仏像ファンにはお勧め出来る。