久し振りに、洋書を読んだ。
ブッシュ前大統領の自伝。まだ、翻訳本も出てないかな?
本書を読んだ第一印象は、イラクの失敗で、評価は散々だったブッシュさんだが、日本の政治家に比べれば、100倍ぐらい、勉強し、考えているということと、ひじょうに信心深い、人間味あふれるキャラの人だということ。人間の好き嫌いもかなり率直に書いている。
面白いのは、お父さんのことを、Dadと書き、お母さんのことを、Motherと書いていることだ。翻訳本では、どうその辺のニュアンスを出すのかな。
自伝と言っても、時系列的、網羅的ではなく、本の題名が示すとおり、重大な決断をおこなったイベント毎に、書いてあるので、読みやすく、面白い。
とにかくたいへんな時代だった。9/11から始まって、リーマンショックで終わった。その間にも、様々なことが起こったが、特に、外交がたいへんだった。ハリケーンも。ハリケーンについては、初動の遅さを悔いている。
ブッシュさんの外交は、Face to Face の関係が、軸になっていることがわかる。その中でも、イギリスのブレアさんと、日本の小泉さんは、盟友扱い。特に小泉さんの父と、ブッシュさんの父は、WWⅡで敵同士だったから、因縁深い。
一貫しているのは、実際に、何度も会って、心を割って話をしないと、信頼できる人物かどうかはわからないという姿勢だ。人間関係が構築されていないのに、本当の外交などできる訳がない。前原さん、ロシアで大丈夫かな?
イラクの戦争は、ブッシュさんの、9/11を二度と起こすまいという信念と、フセインに対する異常なほどの激しい憎しみが、起こしたものだという感を強くした。
イラクの石油狙いとか、イスラエルのためとかいう説は、完全に否定している。
Dadのパパブッシュさんは、”You know how tough war is, son, and you've got to try everything you can to avoid war."と、息子のブッシュさんに告げたという。
大量破壊兵器(WMD)が見つからなかったことは、痛恨の極みだったが、フセイン政権を打倒したことについては、完全に肯定している。まぁ、肯定するしかないだろうが。
”自由”を得るために、どれだけの血を流さねばならないのだろう。
小泉さんは、何回出てきただろうか。やはり、イラクへの介入に、多くの国が慎重な姿勢をとった中、ブレアさんと小泉さんのサポートは、大きな支えになったに違いない。
9/11直後に(真珠湾攻撃をした国の首相が)電話をくれた時、アフガン復興支援に貢献してくれた時、イラクの脅威について同意してくれた時、アフリカについてシラクと議論している時にうなずいてくれた時。なぁんだ、要するにブッシュさんをいつもサポートしてくれたということね。
小泉さんの写真は、もちろんプレスリーの家を訪れた時のものだ。
いろいろ言われたが、アメリカが極めて困難な時期に、一生懸命かじ取りをした人ではある。本書を読む限り、おつむがそう弱いとも思えない。
ブッシュの時代のアメリカの歴史を振り返るには、そして、これからの世界を考えるには、絶好の書。
経済のことについては、リーマンショックのことが中心だが、ほとんどポールソン回顧録に書いてあることと重複する。一体で、動いていたと言えば、聞こえはいいが、なかなか自分で、判断することは、できなかっただろう。あのローラーコースターのような状況では。
明日から、出かけるから、途切れ途切れの更新になるかも。すんまへん。