本書は、本屋で、見つけた。
長野さんの本は、3冊目だろうか。
理系出身で、土木関係の知識が深く、独特の考察が面白い。
本書で、ますます、その特殊性が、極まったように思う。
各地を足で歩いた結果や、地元の人からの聞き取り、古墳など古代の人々の痕跡等から、日本書紀をずたずたにする。
ここまでずたずたは、かなりのものだ。
特に、海洋技術の歴史から、神功皇后の遠征は不可能と断定。日本海側と近畿との交流も、今のイメージほど簡単ではなく、日本書紀に書かれていることは、実は、日本海側で、起こっていたものを、大和で起こったように描いているものだ等々。
各代天皇の業績が記されているが、これは、日本各地でその地の豪族が行った事象を、当てはめていったものだという。
確かに日本書紀以前の記録は、世の中に存在しておらず、いかように描くことが可能であった。かつ、全国に散らばる古代の痕跡を検討すると、かなり日本書紀とのズレは大きい。
これは、関さんの本でもよく言われることだ。
そして、当時の海洋技術、日本海側の古代人の痕跡を勘案すると、大和朝廷の業績のかなりの部分は、日本海側の巨大勢力によるものを、大和朝廷の業績にしたものだと。
このような大胆な切り口からの考察ができるのも、古代史の面白いところ。