
次回の国内は、熊野か、吉備ぐらいと目算を立てている。まだ、いつ行けるかわからないが。
そういった中、本書が出た。
熊野古道については、多くの本があるが、最新版ということで、ゲットしてみた。
元、和歌山県立博物館学決A現在早大准教授の方が書いた本だ。
旅のお供というには、ちょっと細かすぎる感じもするが、熊野古道とはどのようなものかの概要がわかってきた。
元々、熊野古道は、神話の世界と思ったら、そうでもなくて、奈良時代の修験道から始まったもので、一番盛んだったのは、平安時代後期の天皇家による熊野詣での頃だったという。
本当に、遠路はるばる何回もお参りした記録が残されている。途中で、歌会なども催され、その時の記録も残っている。
そして、お伊勢参りが盛んになり、やや廃れたものの、綿々と続いて、今にいたってという。
平安時代の熊野詣では、京都・大阪から始まり、紀伊路を下るルートがほとんどだったのだという。もちろん、伊勢路、吉野経由もあるのだが、それこそ修験道の道で、紀伊路が通常だったのだ。
そして、途中に王子と呼ばれる社が、延々と続いており、その社も、記録によると微妙に変化していったらしい。
本書は、紀伊路を中心に、なるべくかつての熊野古道を歩き、史料と比べながら、分析している。伊勢路をイメージしていたので、ちょっと意外だったが、どんなものかは、大体わかった。
王子が、数多く残ってはいるものの、特定しきれないものも多く、多くの災害、特に豪雨で、かつての様子が大きく変わってしまっているところも多い。
そういった意味で、熊野古道は、ずっと連なる道というよりは、断続的に残っている道のようだ。しかし、長い間修復が続けられ、原型をとどめているところも多い。
本書は、地図の方も、断片的で、旅のガイドブックとしては使いにくいが、もう一冊、もっと単純なノウハウ本をゲットして、2冊片手に熊野路を巡る日が来るのを、楽しみにしている。