事務局の高橋です。
15期生の出版企画で、福島県いわき市の複数の企業家を取材し、東日本大震災から再興を図るべく取り組んでいる姿を紹介したいと考えています。
明日・明後日に取材訪問すべく準備しています。
私は、いわき湯本温泉の温泉旅館、古滝屋を担当します。
いわき市の温泉は、観光客数が震災前の4分の1の水準で推移しています。
近くに小名浜漁港がありますが、漁獲高は震災前の15%程度です。
温泉旅館といえば、温泉に浸かって、美味しい地元の海産物を食べるイメージがありますよね。
ところが、魚がとれないので、肴料理を出すこともできず、観光客を呼び込むこともままなりません。
装置産業の典型である温泉旅館は固定費負担が大きいビジネスモデルです。損益分岐点は高く、一定数以上の宿泊客を確保しなければ利益が出せない事業構造となっています。宿泊客確保のため、地元の特産品料理が不可欠です。
廃業か継続かの分かれ目となった古滝屋は、徹底した合理化で生き残りを図りました。固定費を削減するため、従業員の大リストラを実施、仲居さんのおもてなしをなくし、宿泊料金を低価格化しました。
古滝屋のビジネスモデルは単に低価格化を図ったものではありません。手頃な料金にすることで、地元住民にとってのサロン的な場を提供するという、新たな価値をつくりだしました。ロビーにはみやげものだけでなく、地域の活動紹介にも力を入れています。
あまりにも大きく変化した外部環境のなかで、生き残るために新たなビジネスモデルを構築した古滝屋。
これは決して特殊な事例ではないでしょう。
全国には、経営不振の温泉旅館が多く存在しますが、旧態依然の経営を続け、環境変化に対応できていない旅館が大半だと思います。
そうした全国の温泉旅館にもヒントを与えられる事例を紹介できればと考えています。