こんにちは。16期生の八木原です。
このところ、気温の下がり方があまりに急すぎると感じませんか?今朝は、寒さで起きてしまいました。
私の周囲にいる方は、調子を崩されている方が多いようです。皆さん、お体の調子はいかがですか?
さて、本日のお題は健康状態とは関係ない音楽産業(CDパッケージ)よもやま話です。
音楽CDの市場規模は1998年のピーク時には7,000億円あったものが、現在では、2000億円を切る状態まで落ち込んでいます。その間に、かつて若者文化の象徴のように扱われたHMVやタワレコをはじめ多くのCDショップが街から姿を消しました。特に洋楽市場の落ち込みは顕著です。
作り手も、様々なレーベルが消滅したり、BMGなどの世界的なレーベルでさえ資本力のある大手レコード会社に吸収されるなどの再編策で生き残りを図ってきましたが、坂を下るがごとき市場シュリンク状況は底を打つことも無く、多くの友人がこの仕事から去ってゆきました。
衰退要因の一つとして、団塊ジュニア層(現在40~45歳前後の塊)の移動が挙げられます。CD市場規模がピークだった頃、団塊ジュニア層は23~27歳位でした。彼らが、市場を牽引しCD産業の最盛期を作ってきましたが、人間なので当然年をとってゆきます。まこと、わかり易い既にある未来。
稼げるプロコンメンバーも団塊ジュニア層の方が多いような気がします。マーケティングの視点から、ターゲット層の高年齢化に対応した提供価値の変化という事例について、車を例にとれば、クラウンやコロナなどは、ターゲットの年齢上昇に対応した提供価値の変化を目論み、趣向の変化、高級化、高価格帯へのシフトや、より細かいセグメントへの車種拡大を通じた横展開を行いました。これに対し、音楽業界ではこのような対応で成功した事例をみることはできませんでした。単にプロダクトの流行・趣向の変化対応に終始してきたのみ。アメリカでは日本よりも、もっと酷い状況だと聞きますので、人口構造の変化が決定的な要因と言いきることはできません。問題は、プロダクトアウト志向にあると思われます。
一方インターネットが急激に普及し出したのも1997年頃からです。2000年前半からCDメーカーはパッケージの売上不振を配信でカバーしようと躍起でした。このころから、違法ダウンロードや不正コピーも横行しはじめCD市場の縮小に拍車をかけることになりました。
その傍らで、嵐やAKBなどのアーチストは新譜配信の有無やタイミングなどをコントロールし、プロモーションの一環としてのみそれを利用し、例え小さな顧客群であってもも全国のコンサート活動や握手会など、地道でリアルな活動を積み重ねた結果、熱狂的なファンが生まれ、安定したCD売上を支える力となりました。(握手会チケットなど邪道な面もありますが)新しいフレームワーク?
これとは、やや趣が異なりますが、最近アルバムを出した(十数年ぶりだと思いますが)ハイ・スタンダードは、配信どころか通販まで行わず、店頭での販売のみに絞ったことが奏功し、アルバムがヒットしていると聞いています。かつて、ワクワクしながらCDショップに行き、見知らぬアルバムと出会う楽しさ、体験的な価値を大切にしているのではないでしょうか。大きなリスクに立ち向かった骨と勇気を称えたい!本当にエライ!この対極にいるのが、アルファベットの初めの〇社です。再販制度を潜り抜けるため、CDに敢えてDVDをつける姑息な手段でNET通販チャネルでは極端な値引き販売を行っている。刹那的、薄っぺら、破滅的なやり方!
また、アナログ盤も規模は小さいながらも年々着実に市場を拡大しています。ハイレゾって本当に良いのですか?私にはまったくわかりません。それよりも、温かみのある音源を聞きく、リアル感のある体験をしたいという欲求があるとすれば、それに共感します。
潮目が変わろうとしていることは確かだと思います。新しい市場に対応した新しいプレーヤーが出てくることを期待したいと思います。
ところで、皆さんはNAXOSという有料音楽配信サイトをご存知ですか?
主にクラッシック音楽全般と一部ジャズなども扱う、世界的規模の音楽配信サービスです。
コンテンツ数が充実していて、リコメンドも一日のうちで何回か変わり、新しい音楽と出会うことができる点も素晴らしい。音源もハイレゾ用にリマスタリングされた高品質なもの(良さが分かりませんが)も含まれています。
私は、毎日無料でこの配信サービスを利用しています。千代田図書館に登録しているとホームページから入れます。その他の地域の方もNAXOS提携図書館を探せば近くにあるかも知れません。使わない手はありません。どれだけ聞いてもタダです!NAXOSを知らなければ聞くことが出来なかった、素晴らしい作品がたくさんあります。
こんな風に、情け容赦なく急激な変化をみせる環境に、スピード感を持って対処しなければならないのは、人の体も産業も一緒。
さっ、冬物を衣装箱から出さなくては!