皆さん、こんにちは。 稼プロ!18期生の小野澤です。某事典の原稿執筆もようやく一段落し、ほっと一息ついているところですが、今日は、その関連で耳にした日本の観光産業について少し触れてみたいと思います。先日の日経新聞に2018年度の訪日観光客の数がとうとう3,000万人を突破したという記事が載っていました。ほんの7、8年前までまだ800万人程度だったものがあっと言う間に3,000万人を超えるまでに急成長したのですから驚きです。この数字は国別の観光客数ランキング(2016年統計)に当てはめると、世界11位に相当します。しかし、これは陸路、水路、空路を経由して流入する観光客の総数の比較なので、陸路経由の流入のない日本に合わせて水路、空路に限定して観光客数を比較すると、1位はスペインで約6200万人、2位が4700万人の米国、3位が3300万人の英国の順になっており、日本の3000万人は世界6位に相当します。政府はこの数字を2020年に4000万人、2030年には6000万人に拡大する目標を掲げていますから、もし実現すると2020年は世界3位、2030年には世界2位か1位になるかもしれません。観光収入も2017年で4兆4千億円程度でしたが、政府は2020年に8兆円を目指しています。と言うわけでいつの間にか日本は観光立国、観光大国を目指す国になっているようです。
急成長の背景には安倍政権によるビザの発給の緩和策や観光振興策等の日本の自助努力もさることながら、中国や東南アジア諸国の急速な経済成長に伴うインバウンド需要の成長が寄与しています。近年、電機産業のように国際競争力を落としている産業があるなかで、数少ない有望な成長産業として期待がかかります。特に小売業、宿泊業、飲食業、運輸業等の我々診断士にも関係の深いサービス産業には非常に大きなインパクトがあります。
しかし、観光産業を本当に持続可能な日本の産業の柱として定着させるには、今診断実習で勉強中の飲食業などと同じで、顧客である観光客の満足度を高め、リピータとして固定客になってもらうことが非常に大切です。また観光資源の中身ももっと充実、整備して行く必要があるでしょう。その観点から現状を顧みるとまだまだ心もとないところが沢山あります。
まず来日観光客の内訳ですが、国別で見ると、中国、韓国がそれぞれ約25%、それに台湾、香港が続き、アジア諸国からの訪日客が全体の85%を占めており、東アジア諸国からの観光客に非常に偏っていることが分かります。昨今の情勢から考えてみても、もっと分散していることが望まれます。
また日本の観光資源は東京、大阪、京都と言ったいわゆるゴールデンルートに偏っていますが、海外からの観光客を持続的に引き付けるためには、もっと地方の観光資源開発を進め、多様性や魅力度を高める努力も欠かせないと思います。
それから宿泊施設や観光案内所、空路や水路の交通インフラの整備等の努力もまだまだ不足していると思います。政府が目標としている4000万人、6000万人の観光客を本当に受け入れるつもりなら、もっと抜本的な対策が必要なのではないでしょうか。
日本政府にはもっと頑張ってもらって平和な観光立国を目指してほしいと思います