稼プロ18期の市原です。
今回も棚卸シリーズではなく、年末年始で読んだ書籍と今年の北米家電ショー(CES2019)の話をお伝えします。異なるネタではあるものの、情報にも旬があるため、合わせてご紹介します。
はじめは書籍について。
ご紹介するのは「土木と文明(合田良実)」、土木工事を切り口に、文明に迫る名著だと思います。
歴史や為政者の話は、体制樹立までの動乱に目を奪われがちです。しかし、それは一面に過ぎず、為政者の役割は、地域に富をもたらすこと。この手法に、農作物の生産力を高めるための灌漑等の土木工事があります。先の書籍は、この痕跡を丁寧に整理し、人類誕生から現代をつないでいます。
我々の祖先は、狩猟中心の不安定な状況から、農耕による安定的なものへ変わる過程で、集落を作り、為政者を輩出し、文明化を進めしきました。そして、為政者は、体制維持のため、灌漑用の水路、下水道の完備、防壁、運河等々の土木工事を行うのです。
年始のブラタモリでローマが紹介されていたため、こちらもローマ帝国を例にします。映画テルマエロマエには、公共浴場で水がふんだんに使われるシーンがあります。しかし、これは紀元前から上下水道、特に下水道が完備されていた!という驚愕の事実です。優れた統治の証拠です。
残念ながら、争いのたび、それら優れた技術が破壊され、下水が完備されない時代には疫病等も流行りました。未だ下水道の完備の無い地域は、世界に多く存在します。
技術の多くは、人々の暮らしを確実に豊かにし、文明を育みます。そのため、技術をしっかりと引継ぎ、その上に新たな技術を積み重ねること、これが今の我々の務めだと考えます。
他にもご紹介したいことはありますが、二つ目のお話し。
CES2019で、様々な今年の新技術・新商品が紹介されました。
一生活者として面白かったのは、LGのテレビや一瞬でお湯が沸くケトル。これらは目にされた方も多かったと思います。
テレビ:https://japanese.engadget.com/2019/01/07/lg-ces-2019/
ケトル: https://japanese.engadget.com/2019/01/08/heatworks-duo-1/
今年、注目していたのは中国の電気自動車メーカー、Bytonです。設立わずか3年の企業ですが、レベル3(条件付運転自動化)の電気自動車の発売を宣言しました。素晴らしいスピード感です。製造が順調に進むなら、もたつくテスラを超えていくでしょう。
このスピード感は、内燃機関の開発セオリーを過去のものにします。部品の組合せによる自動車生産が確立されるなら、5年後に自動車という製品を取り巻く付加価値は、急速に変化しているはずです。
https://japanese.engadget.com/2019/01/06/byton-ev-ces2019/
他にも、5GとAI関連。5Gは、国内でも試験サービスの展開が予定されていますし、AI関連は生活に確実に広がっています。これらの普及期は目前です。
今回、文明を支える技術を、異なる二つのイベントから触れました。文明も技術も、その多くは積み重ねです。新たな文明を生み出せる強い影響力を持つ者や、革新的な技術を生み出せる天才は、なかなか生まれません。そのため、文明や技術を丁寧に観察することで、ある程度は次が構想できます。この構想から具体化が、経営だとも言えます。