「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

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議案第98号『中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例』に対する意見

2018-12-04 23:00:00 | 月島三丁目 北 地区第一種市街地再開発問題
 議案第98号『中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例』に対する意見を、環境建設委員会で、委員外発言の時間を頂き陳述致しました。
 陳述時間が5分以内であったため、理由の記載は簡潔になっています。

 問題意識として、

 〇区民の皆様の大切な生命・健康・財産を直接的・間接的に奪う強制力をはたらかせる政策を作る場合の手続きの公正であるべきこと

 〇中央区や権利者と利益相反関係のある建設会社主導と思われても仕方のないまちづくりの真のあるべき方向性

 があります。

 実際に述べた内容は、後日の議事録でご参照願います。
 

******陳述要旨******

 議案第98号『中央区地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例』(以下、「本条例案」という。)に対する意見を述べる。

 第一、手続き上の重大な瑕疵について。

●1、区道821号線が廃道されないままでの条例提案
本条例案のA地区には、区道821号線も含まれ、区道上にも建築物ができる前提で、建築物の制限をかけている。区道廃止を議会が認めたわけではなく、本条例案だけでは、まちづくりにおける「総合性・一体性の確保」がなされておらず、是認できない。

●2、都市計画決定が未実施の段階での条例提案
 月島三丁目北地区第一種市街地再開発事業(以下、「本件事業」という。)が、7月30日開催の都市計画審議会(以下、「都計審」という。)における答申が出されたのみであり、本来区長ができるはずの都市計画決定の告示が本委員会当日12月4日までになされていない。都市計画決定後に条例提案されるという従来区がとってきたまちづくりの手続きへの違背があり、時期尚早であるため本条例案は是認できない。

●3、『月島ガイドライン』を上位計画とする地区計画の変更は無効
 当該都市計画決定の重要な根拠として、新基本構想作成以前の平成28年9月に策定された『月島ガイドライン』を上位計画とする理由づけがなされている。都計審でも議論されたように、本来下位の位置づけである『月島ガイドライン』を法的根拠なく上位計画としながら導いた地区計画の変更は法の建てつけに失当があり、たとえ、都市計画決定がなされたとしても、その決定自体、無効である。

●4、本件事業の都市計画案自体の作成過程における重大な手続き上の瑕疵について
 本件事業の都市計画案は、一民間の任意団体である「月島三丁目地区再開発準備組合」(以下、単に「準備組合」という。)が作成した案を、そのまま区の都市計画の原案として中央区が採用したものであるが、その過程において重大な手続き上の瑕疵がある。
まず、住民有志で準備組合の事務局を担うならともかく、株主の利益と、地権者や区の利益と利益相反する場合が生じることが明らかであるにも関わらず、準備組合の事務局は、〇〇建設社員が中心となって運営を担っている。「建設会社の提案を区が受け入れて、多額の補助金が投入される都市計画案を作成した」と懸念が生じてもおかしくなく、建築会社社員など利益相反を明らかに生む可能性のあるものを除外した準備組合運営で都市計画案作成をやり直すべきである。
 そして、実際に、公正中立であるべき準備組合の運営においては、上述都計審で明らかになった事実として、「7年間で2回しか準備組合から面会に来なかったという権利者がおられた」という。一部権利者を恣意的に排除して都市計画案を作成したことが疑われることから、再度、関係する権利者に平等に情報が行き届くことを担保したうえで、都市計画原案の作成段階からやり直すべきである。実際に「個別利用区制度」や「土地区画整理事業」の活用を望む権利者の声もあり、代替案の検討が十分に行われたかどうか疑わしい。
 さらには、本件事業では、区民の重要な財産である児童遊園の縮小と二階移設及び区道821号線の廃止がある。周辺地域への説明においても、それら重要な財産であるにも係らずそのありかたについて、準備組合及び区が主体的に運営する準備組合の前段階の会議体において、周辺住民に対する周知をきちんとした上での公開の議論がなされていない。憲法15条2項が謳う“全体の奉仕者”である中央区は、あらためて関係する住民に広く計画を周知し議論を深めたうえで、都市計画原案の作成をやり直すべきである。

●第二に、本条例案及び前提としての本件事業の内容面においても「容積率の最高限度を1000%、建築物の高さの最高限度199m」を許容することに規模の妥当性を欠いた重大な瑕疵があり、是認できない。施行区域設定も考慮すべきことを考慮せず指定した重大な瑕疵がある。
 すなわち、月島地区においては、本件事業住戸1160戸合わせて三つの超高層住戸2413戸が計画されており、それらによる急激な人口増加に応じた、社会的インフラがまったく追いついていない。月島の路地への車両流入が一日推計二千台増加し、交通事故・騒音・排ガスの問題が生じる。月島第一小学校の増築も必要になるとされているが、同校に増築の余地はない。災害時に対応できる人口規模も大幅に上回っている。
 高さ199mであることは、周辺地域にも、受忍限度のひとつの基準とする4時間を超す日影を広範囲にわたって生じ、かつて、日影規制があった場所も含まれている。
 建てられて日の浅い集合住宅や、中央区の街並み誘導型地区計画を信じ自らの力で建て替えをした権利者の住宅も、彼ら権利者が望む代替案の検討がなされることなく取り込んだ施行区域の設定のやり方は、明らかに経済合理性に反するとともに、信義則に反する中央区の対応と言わざるを得ない。

以上

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