「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

災害時の乳幼児栄養救援活動と授乳のあり方:母と子の育児支援ネットワーク(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会)より

2018-12-25 23:00:00 | 防災・減災
 たいへん重要な内容であり、掲載させていただきます。

 具体の防災拠点の運営にいかせるようにしていきたいと考えます。

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母と子の育児支援ネットワーク(災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会)
12月21日 12:48 ·
【災害時の乳幼児栄養救援活動と授乳のあり方】その2

小さじ1杯(5 cc)の母乳には、菌を殺す細胞が300万含まれています。
それまで母乳をあげていた女性は母乳をあげ続けることで赤ちゃんが感染症にかかりにくくなり、またかかっても軽くすみます。
災害時は病気が蔓延しやすいので母乳を飲んでいない赤ちゃんは特別に配慮し守らなければなりません。そうした赤ちゃんが乳児用ミルクを安全に継続してあげられるようなアセスメントと丁寧なフォローアップが必要です。
同時に母乳をあげている女性が少しでも多く長く母乳をあげ続けられるような配慮と温かいエモーショナル・サポートが必要です。

(2)母親への個別性のあるサポート体制が不可欠

すべての母親への援助(100%)
• 乳児と母親を引き離さない
• 安心して授乳・安全に調乳できる場の確保
• 乳児用ミルクは専門家の助言により必要な場合のみ安全性に気を付けて使う製品:一律配布しない
• 平常時も災害時もWHO「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」を遵守

災害前と災害後(現在)の栄養法のアセスメント

1. 母乳だけで育てている母親(51-54%*)

• 母乳で育てることに自信をもたせるようなエモーショナル・サポート
① ストレスで母乳の分泌はとまらない**(流れだすのが遅くなるのは一時的)
② 一時的に食物不足でも母乳で十分栄養がとれると母親に伝え安心させる
③ 傾聴・受容・母親どうしのピアサポート
④ 母乳に関する心配ごとがある場合の専門的援助
• 優先的に母親に栄養を
• 乳児用ミルクは母乳分泌に影響するので母乳だけで育てている母親に配布しない** 

2.母乳をあげながら乳児用ミルクも併用している母親(27-45%*)⇒ 母乳育児継続支援

• 母乳をあげ続けることに自信をもたせるようなエモーショナル・サポート
① ストレスで母乳の分泌はとまらない(流れだすのが遅くなるのは一時的)
② 一時的に食物不足でも母乳で十分栄養がとれると母親に伝え安心させる
③ 傾聴・受容・母親どうしのピアサポート
④ 母乳量を増やしたい母親への専門的援助
• 優先的に母親に栄養を、赤ちゃんに必要な分の乳児用ミルクを
• 安全な調乳・授乳の確認
• 紙コップ授乳、もしくは哺乳びん交換制度
• 乳児用ミルクは常温(25℃以下)で安全に貯蔵し、必要としなくなるまで継続的に支給

3. 乳児用ミルクのみで育てている母親(4-19%*)

• 災害時は病気が蔓延しやすいので母乳を飲んでいない赤ちゃんは特別に配慮(医療体制と連携)
• 優先的に赤ちゃんに乳児用ミルクを
• 安全な調乳・授乳の確認
• 紙コップ授乳、もしくは哺乳びん交換制度
• 母乳分泌の再開を考えている場合は特別な援助
• 乳児用ミルクは常温(25℃以下)で安全に貯蔵し、必要としなくなるまで継続的に支給

*母親の割合%は乳児栄養調査(厚労省, 2015)の生後1か月~6ヵ月までのデータより

次回は(3)よくある質問 (**の説明を含みます)

「(1)災害時の乳幼児栄養救援活動の国際ガイドラインが求めていること」はhttps://www.facebook.com/Hahatoko/photos/a.209289512433745/2389014964461178/ 

「災害時の乳幼児栄養救援活動と授乳のあり方」の資料はこちら:https://i-hahatoko.net/?p=851
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