江戸時代にも、社会秩序維持のため建前的な調整方法が存在していました。
『壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分』尾脇秀和著 NHK出版2019年より
秩序立った社会とは、秩序に反する者が存在していないことではない。そのような者が存在していても、表面上、従来の秩序に反していない形をとることで、これまで同様の平静が保たれている状態全体のことをいうのである。秩序は、それに反する存在そのものではなく、その存在が表向き問題視され衆人の前に露呈することによって、脅かされるのである。
但しこのような調整行為の本質は、真実に即して言えば明らかに虚偽・不正である。その本質による危うさもやはり見逃してはなるまい。この建前的な調整方法が、表向き堂々と明言されたり声高に推奨されたりしないのは、偏にその本質ゆえである。
『壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分』尾脇秀和著 NHK出版2019年より
秩序立った社会とは、秩序に反する者が存在していないことではない。そのような者が存在していても、表面上、従来の秩序に反していない形をとることで、これまで同様の平静が保たれている状態全体のことをいうのである。秩序は、それに反する存在そのものではなく、その存在が表向き問題視され衆人の前に露呈することによって、脅かされるのである。
但しこのような調整行為の本質は、真実に即して言えば明らかに虚偽・不正である。その本質による危うさもやはり見逃してはなるまい。この建前的な調整方法が、表向き堂々と明言されたり声高に推奨されたりしないのは、偏にその本質ゆえである。