「中央区を、子育て日本一の区へ」こども元気クリニック・病児保育室  小児科医 小坂和輝のblog

感染を制御しつつ、子ども達の学び・育ちの環境づくりをして行きましょう!病児保育も鋭意実施中。子ども達に健康への気づきを。

☆イベント開催における感染対策 高山義浩先生より2020.7.1

2020-07-01 06:27:34 | 医療と法、医事法

 感染症がご専門の高山義浩先生よりイベント開催における感染対策の記載2020.7.1がなされていましたので、転載します。

 中央区もイベントが増えてきます。
 感染制御し、開催を行っていきたいと思います。


********転載***********************

―― 高齢者や基礎疾患を有する方の参加をお断りした方がよいか?

おそるおそるのイベント再開になるので、たしかに当初は参加をお断りした方がよいのかもしれません。
ただ、ゆくゆくは、そういう人たちにも安心を提供できる場所であってほしいと思います。コロナ禍は数年続くかもしれないので、リスクある人たちが参加できないイベントではなく、(リスクはゼロではないとしても)ユニバーサルに参加できるイベントを目指してください。
たとえば、高齢者や障がいを有する方用に、周囲から飛沫が入らないようにアクリル板で隔離したり、風の流れの上流であると確認できる場所など工夫した特別エリアを設置するなど検討してもよいのではないでしょうか? 私の病院でも、抗がん剤治療中の患者さんなど、事前に連絡があった場合には、その人たち専用の待合エリアを準備しています。


―― 満員電車と比べればイベント会場の方が安全だ。そこまでやる必要があるか?

満員電車を減らすべきであって、比較の基準とすべきではありません。実際、高齢者や基礎疾患を有する方は、満員電車など都会にあるリスクを避けて暮らしておられるでしょう。そういう方々でも安心して参加できるように考えてください。


―― スタッフの健康管理はどうしたらよいか?

イベント当日、スタッフに症状がないことを確認するのは、最低限のルールだと思います。会場で症状確認をするのではなく、自宅で症状確認をして報告させるのが安心でしょう。
なお、スタッフの家族が発熱しているだけで休ませる必要はありませんが、スタッフの家族が新型コロナに感染している場合には、スタッフは濃厚接触者となるので休ませた方がいいかもしれません。あと、イベント前の2週間は、できるだけ流行地へと渡航しないように求めることも検討してください。


―― イベント会場で発熱者を見つけたときは、どうすればよいか?

体調不良者を発見したときは、風通しの良い別室に案内することになります。そして、帰宅して療養するように促すか、医療機関への受診を勧めてください。
このとき、案内する人はマスクのほか、手袋とプラスチックエプロンを着用するなど、飛沫予防だけでなく、接触感染予防をとることが求められます。また、体調不良者が座っていた場所の消毒も必要になります。


―― トイレ利用のルールについて、どこまで求めるべきか??

何はともあれ、手指衛生をきちんとしていただくこと。これに尽きます。可能であればペーパータオルを設置してください。エアドライヤーはお勧めしません。
一方、靴を脱ぐようなイベントでなければ、トイレでスリッパに履き替える必要はありません。トイレの床も会場の床も汚いという前提に立ちます。
また、トイレ使用後に蓋を閉じて流すよう求める必要はないと思います。たしかに、蓋を閉めずにトイレを流すと、病原菌がエアロゾル化して環境汚染される可能性を示唆する研究はあるのですが(E L Best, et al. J Hosp Infect 2012 Jan;80: 1-5)、それは欧米のトイレが水ハネしやすい「洗い落とし式(じゃばーん)」だからであって、日本のトイレは渦巻きで流れていく「サイホン式(じゃじゃ~)」なので条件が違います。
むしろ、お尻をぬぐったあとの「汚染された手」でいろんな人が触っている「汚染されたトイレの蓋」を触ってしまいます(←むちゃくちゃ生物学的に汚い行為)。別に研究したわけじゃないのですが、トイレ使用後に蓋を閉じて流すのは良くないと私は思ってます。
このあたり、どうしてもルールにすると言うのなら、日本の優れたトイレでも必要なのか、きちんと研究いただけると嬉しいです。



―― イベント会場では会話を控えてもらうべきか?

マスクを着けているのであれば、会話を控える必要はないかなと思います。もちろん、マスクを着けていても、大声を出さない、歌わないなどの配慮は必要です。


―― マスクが着用できない子供の参加は断るべきか?

小さな子供に限らず、発達障害のある方など、マスクをつけられない人はいます。個人的には、そういう人を守るために、周囲がマスクをつけるんだと思っています。もうひと工夫するなら、たとえばコンサート会場であれば、マスクが着けられない人のためのエリアを設定することも考えてみてください。
最近、外来でお会いした患者さんから聞いた話ですが、沖縄県の水族館が再開したということで、楽しみにしていた2歳のお子さんを連れて行ったそうです。すると、マスクを着けられないならダメですと、入り口で帰されちゃったとのこと。そのお子さんは、ものすごいショックを受けていたとのことです。
お断りするという考え方を否定はしませんが、せめて、マスクを着けられない人は入場できないことを事前に周知しておくことは大切だと思います。


―― 感染者が出ていない地方でも、これだけの対策が求められるのか?

感染者が出ていない地域で、その地域の人たちが参加するイベント・・・ たとえば、村祭りなどをイメージしますが、これと県をまたいで集まってくるようなイベントでは、明らかにリスクの程度は異なります。東京のような都会でのイベントであれば、いつでもリスクがあると考えた方がいいでしょうが、地方では必ずしもそうではありません。
もちろん、地方でなぜ広がっていないかというと、このようなイベントが少ないからとも言えるでしょう。ですから、地方であってもイベント開催する以上は、感染対策は必要です。ただ、環境や密度だけでなく、参加者の性質によっても、対策のレベルを段階的に考えることが望ましいと私は思います。
都会の満員電車でマスクが必要だからといって、感染者が出ていない地域のエイサーで、皆がマスクを着けて踊るべきとはなりません。ただし、その日ばかりは、都会から若者たちが帰ってくるとなれば、また話は別です。これからのイベント企画者には、このあたりの見極めが求められるでしょう。

以上
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