入管法の問題について、もっと知り、問題提起をしていく必要性を感じています。
******朝日新聞2023.6.30******
https://digital.asahi.com/articles/ASR6Y513GR6PPTIL016.html
高橋一さんのスピーチ全文
こんばんは、初めまして。多くの方がご存じないかと思うんですが、思い出野郎Aチームというバンドをやってます。売れないミュージシャンの高橋一です。よろしくお願いします。
きょう、このお話を頂いて、最初、僕のような人間よりも、もっと難民の当事者の方に多く語って頂いた方がいいんじゃないかと思って、悩んだんですけど。でも、もう一度思い直して。このいま起こってる、入管だったり、この国が抱えてる差別や暴力の問題の当事者って誰なんでしょうか? 当事者じゃない人っているんでしょうか?
先ほど西山さん(西山温子弁護士)も言ってましたが、この問題を起こしてるのはなにも、宇宙からやってきた謎の組織じゃないんです。我々が参加した選挙で選ばれた、俺たちの代理人であり代表である人間たちが進めている問題です。だから俺たちが止めなければいけない。そういう責任があると思って……。
いま僕は37歳で、両親も日本人で、結婚して子どももいる。要するに超一般的な、特権性を持つマジョリティー男性なんですけど、こういう僕みたいな人間に責任があると思ってます。俺たちはこの問題を一刻も早く止める責任がある。
ウィシュマさんをはじめ、入管で命を奪われてしまった人たちのニュースを見たときに、強い後悔に襲われました。なぜならどの方も、我々が救えた命だからです。
あのとき、もっと仕事とか休んで、このデモに参加していたら。今日来て頂いたみなさんのように、もっと声を上げていたら。SNSでもっと発言していたら。一番動員があったライブのステージでもっとこのことを訴えていたら。ここに今、ウィシュマさんや、亡くなってしまった方々が立って、僕なんかよりももっと、我々が聞かなければいけない言葉を届けてくれていたんじゃないんでしょうか?
我々が救えた命を、僕は、見捨ててしまったと思っています。そしてこの後悔はもう、一生消えることはないでしょう。だけど、だからこそ、もういい加減こういった問題を我々で止める必要があると思います。
残念ながらこの国では、ただ生活しているだけでは、国家ぐるみのレイシズムと暴力の片棒を担がされる。
みなさんのように、こうやって実際行動に移してこの問題と闘うのか。差別と暴力の奴隷になるのか。その二択しかないんじゃないでしょうか?
そして後者を選べば、我々は仮初めのの平和な、穏やかな人生を歩めるかもしれない。だけどそんなものに何の価値があるんでしょうか? 何の罪もない隣人の苦しみを差し置いて、幸福になれる道などあるのでしょうか?
先ほど皆さんも話していましたが、必ずこの問題は我々が止められるものだと思っています。
僕の娘はいま7カ月なんですけど、僕には、娘がもっと育ったときに、人種や国境に関係なく、様々な人たちと、もっと自由で平等な社会で、豊かな人生を送っている、そういう娘の姿が……ありありと思い浮かべることができます。
必ずこの問題は終わらせることができる。そして、この問題を終わらせるのは、他でもなく我々です。
僕も全然売れないミュージシャンではありますが、まだステージやCDなど、そういった機会を与えて頂いているので、自分のやれるところで闘いたいと思います。
みなさんもそれぞれ自分の場所で、諦めずに闘いましょう。ありがとうございました。
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